「ピルを服用すると太る」といった話を聞いたことがある方も多いかもしれません。
しかし実際には、低用量ピルと体重増加の間には、因果関係がないことが研究で分かっています。(OC・LEPガイドライン 2020年度版)
この記事では、なぜ「ピルの服用で太る」という噂があるのか、またピルの服用開始後に体重増加を感じたときの対処法についても解説していきます。

ピルの副作用全般について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ピルの服用で太ることはない。でも体重増加を感じる理由は?
ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれるお薬です。
これらの女性ホルモンの影響により、一時的に以下のような症状を自覚する場合があります。
ピル服用による一時的な症状①むくみ
ピルに含まれる黄体ホルモンには、体に水分をためやすくする作用があります。
この影響で、手足や顔に軽度のむくみが生じることがあります。
ですが、低用量ピルを3シートほど飲み続けていくと体内のホルモンバランスが整い、症状は次第に落ち着くことが多いとされていますので、ご安心くださいね。
ピル服用による一時的な症状②食欲増加
ピルに含まれる黄体ホルモンの影響により、一時的な食欲増加を感じる場合があります。
これは、生理前に食欲が増加するのと同様の作用です。
こちらも、3シートほど服用を続けることで落ち着くことが多いといわれています。
ピルの服用で太る、体重増加やむくみがあると感じた時の対処法
ピルの服用と太ることに直接的な因果関係はありませんが、一時的な体重増加やむくみに対して「太った」と感じる方もいるかもしれません。
ここでは、そうした自覚症状に対する3つの対処法をご紹介します。
①1~3シート目までは様子を見る
ピルの服用開始から1〜3シート目までは身体が慣れる時期で、この時期には不正出血、吐き気、むくみなどの副作用がみられることもあります。
服用を継続することで自然と軽快することが多いとされています。
まずは3シートほど服用を継続して様子を見てみましょう。
②むくみが気になる場合の工夫
むくみが気になる場合は、以下のような対策も有効です。
- 塩分の多い食事を控える
- カリウム(バナナ、ほうれん草など)を含む食品を摂取する
- 軽い運動やマッサージで血流を促す
ただし、むくみに加えて激しい腹痛や腰痛、頭痛、息苦しさ、ふくらはぎに痛みや腫れ・赤みがある、といった場合は、血栓症の可能性が考えられます。
すぐに服用を中止し、医療機関を受診しましょう。
関連:ピルの重大な副作用「血栓症」とは?リスクや症状について解説します
体重や食欲の変化が激しい場合は医師に相談を
同じピルを飲んでいても副作用が出るかどうかは個人差があり、現れる症状の種類も人によって異なります。
食欲増加やむくみの症状が強いと感じる場合は、ピルの種類を変えてみるのもいいかもしれません。
ピルにはさまざまな種類がありますので、ピルの種類を変更したいときは医師に相談してみましょう。

まとめ
ピルを服用することで直接体重が増加することはありませんが、一時的なむくみや食欲の増加によって「太った」と感じることもあります。
副作用を感じた場合も1〜3シートほど服用を続けることでおさまっていくことがほとんどです。
まずは3シートほど、無理せず服用を続けてみてください。
ただし、1〜3シート目を服用中でも日常生活に支障をきたすほどのひどい副作用がある場合や、他にも気になる症状がある場合は、無理せず医師にご相談ください。
【参考文献】
- 「OC・LEPガイドライン 2020年度版」日本産婦人科学会/日本女性医学学会,2020年
- 「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」日本産婦人科学会/日本産婦人科医会,2023年
【参考資料】
- 「健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「カリウム」」厚生労働省,2025年8月閲覧
- 「日本人の食事摂取基準(2025年版)スライド集」厚生労働省,2025年8月閲覧