ピル服用中は、排卵が抑制され、偽薬・休薬期間中に消退出血という生理に似た出血が起こります。
では、ピルをやめた後は「次の生理はいつ来るの?」「いつから妊娠できるの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
今回は、ピルをやめた後の生理と妊娠について詳しくまとめました。
まず、ピルをやめたいと思ったら...
「ピルをやめたい」というタイミングや理由は人それぞれですが、やめる際には注意しておきたい点がいくつかあります。どんなことに注意しておけばいいのでしょうか?
※ここでいう「ピルをやめる」とは、休薬期間や偽薬期間(一時的に実薬を服用しない期間)のことではなく、ピルの服用を一切ストップすることを指します。
かかりつけ医に相談しよう
ピルは、基本的にはいつでもやめられるお薬です。ピルをやめるタイミングは、基本的には「1シート飲み切ってから」ですが、自己判断でやめることはおすすめできません。
お薬をやめるときには、まずかかりつけの医師に相談しましょう。そして、病院で診察を受けてからピルの服用をやめるようにしましょう。
ピルの服用目的によって対応はさまざまですが、やめたい理由を医師に伝えておくことで、将来に向けてのアドバイスを受けることができます。
なお、ピルをやめたいと思ったら、今後ピルを再開するかどうかも考えましょう。ピルの中止・再開を繰り返すと、血栓症のリスクが高まると言われていますので、将来の服用についても医師と相談されることをおすすめします。
副作用などですぐに服用をやめたい場合も、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。
生理が再開するタイミング
個人差がありますが、ほとんどの人が服用をやめてから3ヶ月以内に生理が再開します。
お薬の種類によっても差があるようですが、低用量ピルのガイドラインによると約90%以上の人が、服用を中止して3ヶ月以内に生理が再開したと報告されています。
参考:日本産科婦人科学会/日本女性医学学会 発行「OC・LEPガイドライン2020年度版」
なかなか生理が来ないときは
もしも、ピルをやめた後なかなか生理が来ない場合は、下記の3つの可能性が考えられます。
①生理不順
ピルの服用を中止することで、体内は本来のホルモンバランスに戻ります。もともと生理不順でピルを飲み始めた人で、生理不順の要因が改善していない場合には、もとの生理周期に戻り生理がなかなか再開しない可能性もあります。
また排卵障害や子宮内膜症など、何らかの病気が関与している可能性も考えられるので、ピルを飲む前に生理不順があり、ピルをやめて3ヶ月以上生理が来ない場合は、病院を受診しお医者さんに相談しましょう。
②妊娠している
ピルは毎日正しく服用すれば99.7%の非常に高い避妊効果が得られると言われていますが、それでも避妊効果は100%ではありません。
また、ピルは「実薬」を服用中止した時点で避妊効果は下がっていきます。そのため、実薬を飲み終えて休薬期間を設け、次のシートを飲み始めない場合、避妊なしのセックスをすることで妊娠をする可能性は十分にあります。
※通常、次のシートを飲み忘れなく服用すれば偽薬・休薬期間も避妊効果は持続します。
生理が来なくて不安な場合は、生理予定日から1週間後のタイミング、または妊娠の可能性があるセックスから3週間後のタイミングで妊娠検査薬を試すのがいいでしょう。
③病気が隠れている
卵巣や甲状腺などの病気、もしくは脳の異常などの可能性があります。
※脳の異常:脳内でのホルモン分泌の指令がうまく機能していない可能性など
婦人科系の疾患は、放っておくと不妊に繋がってしまうこともあるので、注意が必要です。
3ヶ月以上待っても生理が再開しない場合は、病院を受診し、詳しく検査を受けるようにしましょう。
排卵が再開するタイミング
ピルの服用期間に限らず、約90%の人が服用をやめてから3ヶ月以内に排卵が再開します。
「ピルを飲み続けると将来妊娠しにくくなりそう」というイメージを持っている人もいるかもしれないですが、ピルは長い期間服用しても、将来の妊娠に影響を及ぼすことはありません。むしろ、ピルの服用によって、不妊の原因となる子宮内膜症や卵巣がんなどの発症リスクは低くなることがわかっています。
ピルのガイドラインでは、服用していた期間が2年以上でも2年未満でも、ピルをやめて1年後の妊娠率は約80%と報告されています。
参考:日本産科婦人科学会/日本女性医学学会 発行「OC・LEPガイドライン2020年度版」
妊活を理由にピルをやめる人もいます。
妊娠するタイミングには個人差があります。妊活を始めたいけどなかなか生理が再開しない場合や、生理が再開しても妊娠しない場合には、パートナーと一緒に不妊治療を専門としているクリニックや病院で相談をしてみましょう。
妊娠のための準備
ピルをやめたあと、妊娠を希望される場合は、以下のような準備をしていくのがおすすめです。
①ブライダルチェックを受けよう
パートナーと一緒に今の身体の状態を確認しましょう。
ブライダルチェックとは、結婚や妊活前に行うヘルスチェックのこと。将来妊娠・出産を希望するすべての人が対象となります。妊娠・出産に影響を与える病気を持っていないか、赤ちゃんに感染する病気を持っていないかなどを検査します。
女性だけでなく男性も受けることができるので、パートナーと一緒に現在の身体の状態を確認するようにしましょう。
ブライダルチェックは、不妊クリニックに加え、女性は、産婦人科、男性は、泌尿器科でも受けることができます。
②基礎体温をはかる
基礎体温は、排卵のタイミングを知る手掛かりになります。
基礎体温が低温期から高温期に移る2~3日の間に排卵が起きていると考えられます。
最も妊娠しやすいのは、排卵日の2~3日前、もしくは排卵日当日と言われています。
※ただし、基礎体温の変化は人によってさまざまなので、あくまで目安として参考にできるといいでしょう。
③生活習慣に気をつけよう
規則正しい生活をし、食事は主食・主菜・副菜の揃った栄養のバランスがとれたものを摂取しましょう。
タバコ・お酒は、妊活だけでなく、妊娠後の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠を継続させるためにも禁煙を試みたり、お酒の量を控えたりするよう努力しましょう。
また、なるべくストレスをためないことも大切。妊活に対して、焦りやプレッシャーなどを感じてしまうこともあるかもしれませんが、気張り過ぎず、ゆったりと過ごすことを心がけてみましょう。
まとめ
ピルをやめたいと思ったら、まずかかりつけの医師に相談しましょう。
ピルをやめた後は、ほとんどの人が3ヶ月以内に生理および排卵が再開すると言われています。
3ヶ月以上経っても生理が来ない場合は、妊娠だけでなく、病気が原因になっている可能性もあるので、放置せずに病院を受診しましょう。
また、排卵が再開しても、妊娠できるタイミングには個人差があります。妊娠に向けた準備をしながら、焦らずに赤ちゃんを待つことができるといいですね。