医師監修コラム一覧へ戻る

低用量ピルの飲み始めに生理が終わらない…症状の原因と対処法

低用量ピル(OC)は経口避妊薬ともいわれるお薬。
毎日決まった時間に正しく服用することで99.7%という高い避妊効果が得られます。避妊効果以外にも、生理痛や生理不順、月経困難症の改善などにも効果があるので治療に使われることもあります。

副作用で一番多い症状は「不正出血」というのをご存じでしょうか。ほとんどの場合が低用量ピルを飲み始めたタイミングで起こります。

今回は低用量ピルの服用を始めたときに起こる不正出血について解説します。ぜひ参考にしてくださいね。

低用量ピルの飲み始めに生理が終わらない…これって大丈夫?

低用量ピルを飲み始めてから生理が終わらず、だらだらと出血が続いたり、生理が終ったはずなのに、休薬期間以外で出血が起こったりすると不安になりますよね。今回は生理が長引く理由とピルの関係について解説します。

可能性として高いのは「不正出血」

低用量ピルの飲み始めに生理が終わらない状態・子宮からダラダラ出血することや、生理期間以外に性器から出血することを「不正出血」といいます。

低用量ピルは2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)が配合されたお薬。飲み始めの時期は体内のホルモンバランスが変化することで、不正出血が起こることがあります。

実は、低用量ピルで一番多い副作用は「不正出血」。服用する人のうち、20%が経験するといわれています。

ただ、この不正出血の多くは一時的なものです。ホルモンバランスはピルの内服開始から徐々に整っていきます。不正出血が出ると不安に思うかもしれませんが、2〜3ヶ月で不正出血はおさまることがほとんどですので、飲み続けて様子をみます。
もちろん、我慢しすぎる必要はないので、不安に感じたらまずは医師に相談してみてくださいね。

ただ、あまりにも出血量が多い場合はお薬との相性が悪かったり、低用量ピル服用の他に原因がある可能性があります。すぐに医師に相談し、服用の継続可否を確認しましょう。

不正出血の特徴

不正出血の出血量や色、出血する期間は個人差があります。中には生理のあと少量の出血が2週間以上続く方もいるようです。

【不正出血の色】
赤、茶色、ピンクなど
※茶色の不正出血は、出血してから時間が経過し、血が酸化している状態。
子宮に残った血が出てきており、問題ないといわれることが多いです。

あまり長く続くようなら何らかの原因が隠れているのかもしれません。病気が原因で不正出血がある場合については「不正出血以外に考えられる可能性」でご説明します。

低用量ピルの飲み始めに不正出血が起こる原因と対処法

低用量ピルを飲み始めると起こる不正出血はホルモンバランスが関係しています。なぜ不正出血が起こるのかを詳しく解説していきます。

低用量ピルによって身体に起こる変化

まずは低用量ピルによって身体にどのような変化が起きるのか説明します。

  1. 低用量ピル(卵胞ホルモンと黄体ホルモン配合錠)の服用↓
  2. 女性ホルモンが十分に分泌されていると脳が勘違い↓
  3. 卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が抑制される↓
  4. 妊娠に必要な「卵子」のもととなる卵胞が育たず、排卵が抑制される ※1~21日間の実薬を服用している期間に②~④の状態が続く ↓
  5. 休薬・偽薬期間7日間に、消退出血(生理)が起こる

ピル服用以外で不正出血が起こる原因

低用量ピルには女性ホルモンが配合されており、服用することで体内のホルモンバランスが変化し、体調の変化を感じる方もいます。

低用量ピルの飲み初めに感じる体(体調)の変化

吐き気・頭痛・下腹部痛・下痢・乳房のはり・むくみ・不正出血 など

低用量ピルを飲み始めたばかりのタイミングで起こる不正出血は、主に「ホルモンバランスの変化」が原因です。

その影響で、下記のようなことが起こります。

  • 子宮内に残った生理の血(経血)が、徐々に排出されている
  • 子宮内膜が生理のタイミング以外で剥がれ落ちて出血

低用量ピルの服用によりホルモンバランスが変化し、本来排出されるはずだった生理の血(経血)が体内に残ることがあります。この血液が少しずつ排出されることで不正出血を起こします。

また、低用量ピルは飲み続けることで子宮内膜を薄く保ちます。
低用量ピルの飲み始めは、まだ子宮内膜厚くなることがあり、子宮内で支えきれなくなることで剥がれ落ちてしまうのです。これも不正出血の原因の一つです。

そのほかにも、低用量ピルを飲み忘れた場合も不正出血が起こることがあります。
飲み忘れると、ホルモンバランスが不安定になるため不正出血を起こしてしまうのです。また、2日以上飲み忘れると避妊効果が下がる可能性もあるので、その場合は服用について医師に相談してみてくださいね。
低用量ピルは7日連続で時間通りに服用したところから避妊効果があるといわれています。それまではコンドームなど、他の避妊法を使用すると安心です。

不正出血が見られるときの対処法

低用量ピルを服用している人の20%は不正出血を経験するといわれています。
基本的には不正出血があっても低用量ピルを指示通りに服用し続けます。正しく服用を続けていればホルモンバランスが安定し、不正出血は徐々におさまってくることがほとんどです。

しかし以下の場合は低用量ピル以外に原因があるかもしれないので注意が必要です。処方してもらった婦人科やクリニックを受診し、相談しましょう。

婦人科を受診する方がよい症状

  • 不正出血にひどい腹痛を伴う
  • 不正出血が連続で1ヶ月以上続く
  • 低用量ピルの4シート目に入っても不正出血が止まらない

低用量ピル服用時の不正出血で婦人科を受診する場合は、下記について記録しておくと診察がスムーズです。

  • 低用量ピルを飲み始めた日
  • 低用量ピルの飲み忘れの有無(回数)
  • 不正出血が始まった日、続いている日数
  • 不正出血以外の症状(痛みなど)
  • 生理開始日、生理期間

適切な診察を受けるためにも、正確に伝えるようにしましょう。

不正出血が続くときに考える可能性

低用量ピルを服用中に不正出血が見られた場合、その原因はホルモンバランスの変化ばかりとは限りません。では、不正出血が見られた場合に可能性のある原因はどういったことでしょうか?

病気

低用量ピルの副作用以外の原因で不正出血する場合は、婦人科系の病気が考えられます。

低用量ピルの副作用以外で考えられる不正出血の原因

炎症による疾患

  • 病原菌の感染
  • 萎縮性腟炎
  • 子宮内膜症

良性の腫瘍

  • 子宮頸部のポリープ
  • 子宮内膜のポリープ
  • 子宮筋腫 など

悪性の腫瘍

  • 子宮頸がん
  • 子宮体がん
  • 卵巣がん
  • 子宮肉腫
  • 腟がん など

その他

  • 子宮腟部びらん

低用量ピルの服用を始めたばかりの頃の不正出血はホルモンバランスの変化が原因です。しかし不正出血がだらだらと2週間ほど続く、もしくは毎回の生理で起こるなど、長引くようなら一度婦人科を受診してみましょう。

また受診時には必要に応じて内診があるかもしれません。病状を確認するための診察ですので、よく説明を受けて検査のため診てもらいましょう。
適宜、対象年齢でしたら、子宮頸がん検診も受けておくと安心です。

妊娠

低用量ピルを正確に服用していれば避妊効果は99.7%という高い効果が期待できるため、服用中の不正出血は妊娠以外が原因であることがほとんどです。

しかし飲み忘れると避妊効果が低下しますし、不正出血がみられます。
低用量ピルの飲み忘れがあり、7日間の休薬期間が終わっても生理が来ない場合は念のため妊娠検査薬で確認することをおすすめします。

妊娠検査薬で陰性であっても、念のため医師に服用を続けても問題ないか確認しましょう。もし2シート目が終わっても生理が来ない場合は、再度妊娠検査薬を試す、もしくは婦人科を受診しましょう。

長く続く不正出血には気を付けよう

低用量ピルを飲み始めたころは不正出血がよくみられるもの。これは体内のホルモンバランスが変化するために起こります。

飲み続けているとホルモンバランスは整い、不正出血も3ヶ月程度で徐々におさまってくることがほとんどです。
しかし気を付けたいのは不正出血が2週間以上続く場合や3ヶ月以上経っても続く場合です。病気が原因のケースもあるので、念のため婦人科を受診しましょう。

ピルに関する疑問や悩みについてはアプリサービスの「スマルナ」が便利です。病院に行く暇がなくても、医師からオンライン診療・ピルの処方が受けられます。
医師によるオンライン診療は、ビデオ通話かテキストチャット診察を選ぶことができます。※ビデオ通話は日程調整が必要です。

料金には診察料・処方料・送料が含まれています。登録すればすぐに受診予約ができるので便利ですよ。

そのほかアプリには薬剤師や助産師に直接質問できる「スマルナ医療相談室」があります。ここでは生理やピルにまつわる悩みや疑問を気軽に相談できます。ぜひ使ってみてくださいね。

お気軽にご質問ください

スマルナのサービスについて、何か不安な点やご質問がある場合は、お気軽にご相談ください。
お薬についてはアプリ内「質問」にある、スマルナ医療相談室にて助産師・薬剤師に無料でご相談いただけます。
スマルナ内ご相談先をまとめましたので、下記ボタンよりご確認ください。

相談したい