生理前や生理中になると、日中に眠気を感じる、または夜に眠れなくなるなど、睡眠にさまざまな影響が出ることがあります。
これらの原因には、ホルモンの変化が大きく関係しています。
今回は、日中に眠たくなった時・夜眠れない時の自分でできる対処法についてご紹介します。
ホルモンバランスと睡眠の関係性
ホルモンバランスの変化は身体にさまざまな影響を与えます。その一つが、睡眠です。
排卵後〜生理直前は女性ホルモンの一つである「黄体ホルモン」の分泌が急激に増える時期です。
黄体ホルモンは体温をあげる作用があり、そのため日中ぼーっとしたり眠気やだるさを感じやすくなります。
また黄体ホルモンが体内で分解されると「アロプレグナノロン」という成分が発生します。
これが眠気を引き起こす可能性があると考えられています。
女性ホルモンの変化で脳内神経伝達物質に影響が出て、昼間に眠気を感じる一方、夜に寝つきが悪くなることもあります。
生理前の眠気はPMSの一種
生理前に精神的・身体的に表れる、日常に支障をきたすほどひどいさまざまな症状のことをPMS(月経前症候群)といいます。眠気もPMSの一つの症状です。
PMS(月経前症候群)は、生理の3〜10日前くらいから始まり、生理が来るとだんだんと症状が消えていくのが特徴です。またイライラなど精神的な症状が強い場合はPMS(月経前症候群)の中でもPMDD(月経前不快気分障害)と区別されます。
PMSには眠気以外に下記の症状が現れることがあります。
毎月生理前になるとつらいという方は一度病院の受診を検討してもよいかもしれません。
生理前・生理中の眠気を予防するには?
栄養素を積極的にとる
生理前や生理中に、強い眠気を感じる場合、食生活の見直してみてはいかがでしょうか。
注目したいのはマグネシウムやカルシウムを含んだ食品です。
マグネシウムは睡眠に大切な「メラトニン」という物質をつくることに深く関わっている栄養素です。
一日の摂取推奨量は、成人男性で370mg、成人女性では290mg。海藻類・大豆製品・ごま・ナッツ類・バナナなどに含まれています。
また、カルシウムとそのマグネシウムは密接に関係しており、カルシウム:マグネシウム=2:1で摂取することが理想的です。
外食が多い方やダイエット中の方は栄養が偏りやすいので、バランスのいい食事を心がけましょう。
質の良い睡眠をとるようにする
なかなか難しいことかもしれませんが、質の高い睡眠をとるように心がけることも、日中の眠気を予防する方法の一つです。
お風呂は40度程度のややぬるめのお湯が睡眠に効果的です。熱すぎるお風呂はおすすめできません。眠気は身体が冷めるときに起こるので、ぬるめのお湯にゆっくりつかって身体を芯から温めることがポイントです。
お風呂はストレスを軽減させる効果も高いので、お気に入りのアロマや入浴剤を利用してリラックスするのもおすすめですよ。
また、スマホ・パソコンから出るブルーライトは睡眠障害の原因になります。
ブルーライトは睡眠ホルモンといわれるメラトニンの分泌を抑制してしまうため、眠りの質を低下させます。寝る1時間前にはスマホ・パソコンの使用をやめましょう。
朝起きて太陽陽の光を浴びるのも、身体の体内時計を整える効果があります。
日中に、気分転換に外を軽く散歩するのも眠りの質を高めます。
ピルを服用する
生活習慣を見直すことで改善できることもありますが、生理による症状を直すのは簡単ではないこともありますよね。
その場合は婦人科で相談してみるのもおすすめです。
生理前・生理中の眠気は女性ホルモンが大きく関わっているため、低用量ピルや超低用量ピルの服用で改善されることがあります。
眠たいときの対策4つ
30分以内の昼寝をする
眠ることができる状況である時は、我慢せずに寝てしまいましょう。少し昼寝をすることで、すっきりした気分になることも多いようです。
あまり寝すぎると、夜眠れなくなる可能性があるので、昼寝の時間は30分以内がおすすめです。
軽い運動をする
少し身体を動かすことで、脳に刺激が与えられ、眠気覚ましに効果があります。
仕事中や勉強中に眠くなった場合は、軽いストレッチや散歩などをすると良いでしょう。
ペパーミント系のアロマでリフレッシュ
ペパーミント系の匂いは眠気を冷ますリフレッシュ効果があります。
ペパーミントハーブティーを飲んだり、オイルを首筋に塗り、香りをかいだりするのがおすすめです。
手首や顔を冷やす
人は体温が上がると自然と眠たくなってきます。
ですので、冷たい水で顔を洗ったり、タオルにまいた氷を手首に当てるなど、体温調節をすると良いでしょう。
眠れないときの対策4つ
カフェインをとりすぎない
カフェインを摂取すると、交感神経が刺激され、眠りを妨げる原因となります。
カフェインの効果は8〜14時間ほど続くと言われているので、15時以降は摂取しないようにするのがおすすめです。
夕方以降にコーヒーや紅茶を飲みたい場合は、カフェインレスのものを選ぶと良いでしょう。
寝る前のパソコンやスマホを控える
眠りを妨げる一番の要因となるのが、就寝前にパソコンやスマホを見ることです。
パソコンやスマホの画面から出ているブルーライトは、日中に働く交感神経を活発化させる働きがあり、入眠しにくくなるだけ出なく、眠りが浅くなってしまいます。
これは、生理前・生理中に関わらず眠れない原因となるのでやめることをおすすめします。
ゆっくりお風呂につかる
就寝2時間前にゆっくりお風呂につかることで身体がリラックスでき、スムーズに眠りにつくのを助けてくれます。
お湯は38〜40度くらいのぬるめの温度で、10分から20分程度の入浴がおすすめです。
40度以上の熱い温度で入ったり、長めに浸かりすぎたりすると逆効果になってしまう可能性もあるので、気をつけましょう。
リラックスできる環境をつくる
身体がリラックスモードに入ることで、スムーズに入眠しやすくなります。
「就寝前は間接照明で過ごす」「穏やかな音楽を聞く」「アロマディフューザーを使用する」といった身体をリラックスさせる工夫をしましょう。
日常生活に支障が出てつらい場合は我慢せず受診しよう!
「眠気で相談していいの?」と思うかもしれませんが、もちろん大丈夫です。
日常生活に支障が出る場合は、PMSや月経困難症の可能性も考えられます。
漢方や低用量ピルを服用することで治療できることもあるので、我慢せずに婦人科を受診しましょう。
また、不眠がつらい場合は、睡眠導入剤などのお薬の処方も検討してもらえることもあります。
まとめ
生理前・生理中の強い眠気や不眠症は女性ホルモンの変化によっておこるものです。
もし日中の眠気や夜の不眠症で悩んでいる場合は、上記にあげた対策を一度行ってみて下さいね。
対策が効かない場合や自分ではどうしようもないほどの強い眠気があるなど、日常生活に支障が出るほど症状がつらい場合は、我慢せず、婦人科で相談してみましょう。