生理のたびに苦しむ生理痛。つらい痛みも「きっとみんなもこんなものなんだろう」と我慢していませんか?
日常生活に支障をきたすような生理痛には、病気が隠れている可能性があります。放っておくと、不妊の原因になることも。今回は、つらい生理痛に隠れているかもしれない病気や、婦人科を受診すべきタイミングについて説明します。
生理痛がひどい場合は「月経困難症」かも
日常生活に支障をきたすほどのひどい生理痛がある状態は「月経困難症」です。月経困難症は、大きく分けると「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2種類があります。
機能性月経困難症
機能性月経困難症とは、生理痛の原因となる病気は見当たらないけど、日常生活に支障が出るほどの症状があらわれる月経困難症のことをいいます。この場合、痛みは生理が始まって最初の方(初日や2日目)が強く、子宮が過剰に収縮していることが原因の一つと考えられています。生活習慣の乱れや日頃のストレス、身体の血行不良からくる冷えなども、生理痛をひどくする要因と考えられることが多いです。
器質性月経困難症
一方、器質性月経困難症は、何らかの病気が原因でひどい生理痛などの症状があらわれている月経困難症のことをいいます。器質性月経困難症の原因となる病気としては、子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などがあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮の内側の壁(子宮内腔)を覆っているはずの子宮内膜(またはそれに似た組織)が、本来の場所以外の部位に発生・発育してしまう病気です。20〜30代の女性に多くみられ、子宮内膜症ができやすい部位として卵巣や卵管などが挙げられます。子宮以外で発育する子宮内膜は周囲の組織とくっついて、さまざまな痛みをもたらし、不妊の原因にもなります。生理の回数を重ねると、どんどん痛みが強くなってくることもあります。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の筋肉内(子宮筋層)に子宮内膜に似た組織が入り込んで子宮内の壁が厚くなる病気です。生理痛がひどくなったり、経血量が増えたりするなどの症状を示します。出産を経験した人に多い病気とも言われており、30代後半から40代の女性に多く見られます。閉経すれば子宮腺筋症は悪化することがなくなるので、徐々に改善していきます。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮にできた腫瘍のことをいいます。決して珍しい病気ではなく、30歳以上の女性の3〜5人に1人にみられます。いわゆる「がん(悪性腫瘍)」ではなく良性腫瘍です。子宮筋腫ができた部位によっては経血量が増えたり、生理痛がひどくなる原因になります。
仕事や私生活に支障をきたす場合は受診しよう
ほかの人と痛みを比べることができないため、自分の生理痛がひどいのか、判断が難しいかもしれません。ひどい生理痛には、先に説明したような病気が隠れている可能性もありますので、早めに婦人科を受診しましょう。
そこまでひどい痛みではない場合であっても、徐々に痛みが強くなってきている場合や、生理時以外にも痛みが出たり、出血(不性器出血)が見られる場合も受診をおすすめします。
病院(婦人科)ではどんなことをするの?
婦人科は、女性特有のさまざまな病気を専門としています。身近な内科などの診療科に比べて婦人科の受診には抵抗感を持っている人も少なくないかもしれません。
ここでは、婦人科を受診するときの基本的な流れをご説明します。
問診
まずは診察前の問診です。婦人科での問診は、生理周期や直近の生理がきた日、妊娠・出産歴、性体験の有無などを確認します。答えにくい質問もあるかもしれませんが、正確な診断のためにも、きちんと答えるようにしましょう。
診察
問診が終わると、続いて医師の診察です。問診で書かれている内容を確認したり、必要に応じて、内診(腟からの子宮や卵巣の観察)や超音波検査(腟の中とお腹の上からの2種類)、血液検査(採血)が行われます。
内診や、経腟超音波検査は緊張するかもしれませんが、できる限りリラックスして身体の力を抜く方が痛みを感じにくいです。
内診や採血など、検査に不安を感じる場合は、問診に回答する際や、診察室に入った際に医師に相談してみると、別の検査方法の提案や、不安を和らげる説明などを受けることができるかもしれません。
治療
診察後は医師から診断結果や治療に関する説明を受けます。わからないことはその場で質問するようにしましょう。ひどい生理痛には、以下のような薬が処方されることがあります。
ロキソプロフェンなどの鎮痛薬
生理痛は、生理時に子宮の収縮に関与する「プロスタグランジン」という物質が原因となっていることがあります。生成されるプロスタグランジンが多いと、子宮が過剰に収縮して生理痛につながります。ロキソプロフェンなどの鎮痛薬は、プロスタグランジンの生成を抑え、生理痛に効果を示します。
低用量ピル
低用量ピルは、女性ホルモンのバランスをコントロールすることで、子宮内膜の増殖を抑えます。子宮内膜が少ないと、プロスタグランジンの生成量も少なくなり、生理痛を軽減することができます。また、経血量が多い過多月経や生理不順の改善も期待できます。
漢方薬や鎮痙(ちんけい)薬
漢方薬は女性の不調に良く使われています。体質や症状に適した漢方薬を飲み続けることで、体質そのものから改善を図ります。また、生理痛の要因となる子宮の収縮そのものを弱める薬として、鎮痙薬が用いられることもあります。鎮痙薬は痙攣(けいれん)を抑えるお薬で、子宮の収縮しすぎを抑える効果が期待できます。鎮痙薬は胃腸の痙攣なども抑える作用があるので、生理痛以外にも胃痛や腹痛を和らげる作用もあります。
今すぐ出来る生理痛の対処法と注意点
つらい生理痛を和らげるために、今すぐできる対処法をご紹介します。ぜひお試しください。生理痛とうまく付き合う方法を探してみましょう。
痛みを和らげる姿勢をとる
デスクワークで座ったままなど、同じ姿勢を長時間続けたままでいると、骨盤内の血流が悪くなって生理痛がひどくなりやすいです。痛みが強い時は、横になってリラックスするようにしましょう。適度なストレッチや運動をしたりして、身体の血液の流れを良くすることを意識すると、さらに効果的です。
身体を温める
身体を温め、血行を良くすると痛みが和らぐことがあります。身体の「冷え」は、生理痛を悪化させる要因ともなります。カイロなどを上手に活用して、特にお腹や腰のあたりを温めると痛みが和らぎます。
我慢せず痛み止めを服用する
生理痛を我慢する必要はありません。市販されている鎮痛薬を用法用量(1回の服用量や1日の服用回数等)を守って適切に服用するのは、生理痛への対処法の一つです。ただし、毎回の生理で鎮痛薬の服用が必要であったり、鎮痛薬を服用しても痛みが改善されない場合は、婦人科を受診しましょう。
ひどい生理痛はスマルナで相談しよう
日常生活に支障をきたすようなひどい生理痛は、隠れた病気のサインである可能性があります。しかし、婦人科の受診はハードルが高く、ためらう方も多いのが現状です。
まずは、一人で悩まずに相談してみることから始めませんか?
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参考資料