生理が始まると、子宮のあたりがチクチクしたりズキズキ痛んだりする方がいます。生理痛に悩まされている女性は少なくありません。しかし、生理じゃないのに子宮のあたりが痛くなると、「何か病気なのかな?」と不安に思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
生理のとき以外に子宮のあたりが痛む原因はいくつかあります。本記事では、生理じゃないのに子宮が痛いと感じる原因や対処方法について詳しくみていきましょう。
生理じゃないのに子宮が痛む原因
生理じゃないのに子宮が痛む場合、病気なのではと不安になる方がいるかもしれません。しかし、特に病気がなくても子宮に痛みを感じることがあります。
チクチクした痛みの「排卵痛」
排卵痛とは、排卵するときに生じる痛みのことです。卵巣を突き破って卵子が排出されるため、人によっては痛みを感じることがあります。軽い腹痛であることが多いといわれていますが、鎮痛薬の服用が必要な方もいるため、症状の程度は人によってさまざまだといえるでしょう。
排卵は、生理が始まった日からさかのぼっての約14日前に起こることが知られています。この時期に子宮がチクチクするような痛みがある場合は、排卵痛の可能性も考えられます。
ギューッと締め付けられる「蠕動痛(ぜんどうつう)」
蠕動痛(ぜんどうつう)とは、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)によって起こる痛みのことです。腸が収縮したりゆるんだりを繰り返し、消化した食べ物を移動させて体外へ排出しようとする動きのことを蠕動運動といいます。
蠕動運動が必要以上に行われると、お腹がギューッと締め付けられるような痛みが生じることがあるのです。
痛みを引き起こす女性特有の病気
生理じゃないのに子宮が痛い場合は、何かしらの病気が隠れている場合があります。ここでは、特に女性にみられやすい病気の種類や症状について詳しくみていきましょう。
PMS(月経前症候群)
PMSとは、生理前に起こる身体や精神の不調のことです。腹痛のほか、イライラや不安、眠気や集中力の低下、頭痛、腰痛が起こることがあります。
PMSが起こる原因については、はっきりと解明されていません。今のところ、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が黄体期の後半に急激に低下することが関係していると考えられています。
症状があらわれる期間は生理の前、3~10日ほどです。生理が始まると症状が軽快または消失します。過度のストレスによって症状が悪化してしまうこともあるため、ストレスを溜め込まないことも大切です。
骨盤内炎症性疾患
子宮や卵巣、卵管などを含む骨盤内の臓器に起こる感染症のことを骨盤内炎症性疾患といいます。症状として特徴的なものとしては下腹部痛や圧痛、発熱、おりものの量や性状の変化が挙げられます。腟や子宮頸部から侵入した微生物が原因で起こります。
重症の場合は卵巣に炎症が起きたり卵管に膿が溜まったりすることもあるため、注意が必要です。骨盤内炎症性疾患にかかったことがある女性の約3人に1人が再発するといわれています。
性感染症による子宮頸管炎
性感染症のうち、クラミジアや淋菌への感染により、子宮頸部が炎症を起こし、「子宮頸管炎」となることがあります。子宮頸管炎となると、おりものの異常や不正出血、下腹部痛が生じ、さらに感染が進むと骨盤内炎症疾患などに変化します。
子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がん
子宮体がんや子宮頸がん、卵巣がんなども腹痛の原因となることがあります。
子宮体がんは子宮内膜がんとも呼ばれており、自覚症状として最も多いのは、生理ではない期間の出血(不正出血)です。
子宮頸がんは子宮頸部にできるがんのことを指します。進行すると子宮頸がんでは生理中でないときに出血が起こることや下腹部に痛みが生じることがあります。
卵巣がんは卵巣にできるがんのことで、卵巣がんの自覚症状として服のウエストがきつくなることや下腹部にしこりが触れることもあります。
子宮頸がんや卵巣がんは初期症状がほとんどないため、早期発見のためには定期的な検診が大切です。
子宮以外の下腹部あたりに痛みを伴う病気
生理じゃないのに子宮が痛いと感じる場合、子宮以外の部分に原因があって痛みが生じるケースもあります。下腹部の辺りに痛みがある場合は、腸疾患や尿路疾患の可能性も考慮しましょう。
虫垂炎などの腸疾患
虫垂炎(ちゅうすいえん)は、「盲腸」と呼ばれることもある、虫垂が炎症を起こして生じる病気です。虫垂とは大腸の一部で、右側の下腹部あたりにあります。腹痛のほか、吐き気や発熱などの症状がみられます。虫垂炎の痛みは、上腹部やへそ周りから始まり腹部の右下に移動することもあるとされています。ただし、すべての人でこのような痛み方がみられるわけではありません。
その他、大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)というような腸の病気や便秘、下痢などの「便通異常症」でも下腹部あたりに痛みを伴うことがあります。
尿路結石や尿路感染症などの尿路疾患
尿路結石(にょうろけっせき)は、腎臓から尿道にかけて石のように固い塊(結石)ができる病気です。小さな結石なら症状が出ないこともありますが、大きな結石ができた場合は強い痛みを生じることがあります。
尿路感染症(にょうろかんせんしょう)は、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路に起きた感染症のことです。腹痛や排尿時の痛み、残尿感、発熱、悪寒、側腹部痛などの症状がみられることがあります。
ピルの服用で下腹部痛が起きることもある
低用量ピルの副作用で下腹部痛が起こることがあります。低用量ピルの飲みはじめは、体内のホルモンバランスが変化します。このホルモンバランスが整うまでの間に下腹部痛が起こることがあります。
副作用による下腹部痛は、ピルを2~3か月ほど服用すると自然に落ち着いてくることがほとんどです。
痛みの対処法はある?
生理じゃないのに子宮が痛いと感じる場合、鎮痛薬の服用などで対処できる場合があります。しかし、痛みの原因によって対処法が異なるため、自己判断でお薬を服用するのはおすすめできません。
子宮の痛みが気になる場合は、医療機関を受診しましょう。婦人科でとくに病気が見つからなかった場合は、その他の要因で痛みが起こっている可能性も考えられます。他の診療科への受診が必要か、診察を受けた婦人科の医師に相談してみましょう。
不安な痛みはスマルナで相談しよう
生理じゃないのに子宮が痛いと感じるときは、排卵痛や蠕動痛のほか、PMSなどの原因が考えられます。とくに問題ないこともありますが、病気が隠れていることもあるので痛みが気になるときは早めに医療機関を受診しましょう。
スマルナでは、365日いつでも医師や助産師、薬剤師に生理などに関する悩みを無料で相談できます。オンライン上で医師の診察を受けられ、処方された薬は自宅まで郵送されるので忙しい方でも受診しやすいでしょう。少しでも気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
参考資料
一般のみなさまへ 女性の病気について 排卵時期の腹痛・腰痛・性器出血|日本女性心身医学会
【医師監修】生理と排卵日を予測する方法|生理用品のソフィ(ユニ・チャーム)
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|日本産科婦人科学会
骨盤内炎症性疾患 (PID)|MSDマニュアル プロフェッショナル版
クラミジア感染症 (くらみじあかんせんしょう)とは | 済生会