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PMSの症状は?PMSセルフ診断や対処法、PMDDとの違いも紹介

生理が始まる前は、いつもよりイライラしたり肌荒れに悩んだり…。そんな生理の前に起こるさまざまな不調のことをPMS(月経前症候群:Premenstrual syndrome)といいます。

今回は、PMSの症状や原因、自分でできる対処法について説明します。また、PMSのうち、精神的な症状が強くあらわれる場合をPMDD(月経前不快気分障害)といいます。

PMSとPMDDの違いも説明しますので、気になる方はぜひご一読ください。

PMSの症状は?PMSセルフ診断

まずは、そもそも「私ってPMSなの?」と気になった方は、以下のセルフチェックで確認してみましょう。①〜④すべての項目が当てはまる場合、PMSの可能性があります。

①直近の過去3回の生理で、生理が始まる前の5日間に以下のような症状は1つ以上ありましたか?

  • 精神的症状
    • 憂うつな気分になる
    • 怒りの感情をコントロールできるなくなる
    • イライラする、怒りっぽくなる
    • 不安を感じる
    • 突然悲しくなったり、涙が出たり、落ち着きがなくなったりする
    • 家族以外の誰とも会いたくない、人と関わりたくない
  • 身体的症状
    • 胸の張り
    • お腹の張り
    • 頭痛、頭重感がある
    • 関節痛や筋肉痛がある
    • 体重が増える
    • 手足のむくみ
    • 下腹部が張る・痛む

②それらの症状は飲酒やお薬の服用などに関係なく、通常の生活をしている中で起こりますか?

③それらの症状は、生理が始まって数日以内(概ね4日程度)に改善されましたか?

④それらの症状が日常生活に支障をきたしていますか?

PMS(月経前症候群)とは

PMS(月経前症候群:Premenstrual syndrome)とは、生理開始の3〜10日前ぐらいから始まる身体症状および精神症状のことをいい、生理が始まるとそれらの症状が軽くなったり、治まったりします。

日本では、生理がある女性の約70〜80%が生理前に何らかの症状があるといわれています。また、症状は約200種類ほどあるといわれており、人によってあらわれる症状はさまざまです。

治療ができる病気であるという認知度が低く、病院を受診し治療を行っているのは全体の2.2%ほどといわれています。

PMSの症状

PMSとしてよくみられる症状には身体的症状と精神的症状があり、具体的には以下のようなものがあります。症状のあらわれ方は、人によってさまざまです。

身体的症状

PMSであらわれる、主な身体的症状は下記が挙げられます。

  • 下腹部の張りや痛み
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 浮腫みやすくなる
  • 乳房の張りや痛み

など

精神的症状

PMSであらわれる、主な精神的症状は下記が挙げられます。

  • イライラしやすい
  • 憂鬱な気分になる
  • 集中力が下がる
  • 情緒不安定になる
  • 眠気や不眠がひどくなる
  • 人との関わりを避け、引きこもりたくなる
  • 突然涙が出たり、悲しくなったりする
  • 不安を感じやすくなる

など

PMSの原因

PMSの原因は、はっきりとはわかっていません。

女性の身体では、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンがその分泌量を変化させながら、生理周期の中で妊娠の準備を行っていきます。

現時点では、PMSの様々な症状の原因はこの2種類の女性ホルモンの変化に関連していると考えられています。

PMSとPMDDとの違い

PMS症状の中でも、特に精神的な症状が重く、日常生活に支障をきたすようなほど深刻なものをPMDD(月経前不快気分障害:Premenstrual  Dysphoric Disorder)といいます。

PMDDの診断は、アメリカ精神医学会で規定された診断基準を参考に下記の内容で行われます。

A. ほとんど毎回の生理周期において、生理前約1週間前に、BとCの症状のうち少なくとも5つの症状があらわれ、生理開始後は軽くなり、生理が終わる頃には症状が最小限になっているか、なくなっている

B. つぎの症状のうち、1つ以上が生理前にあらわれる

  • コントロールできないほど感情が不安定になる(突然悲しくなる、涙もろくなる、など)
  • コントロールできないほどのイライラや怒りがあり、対人関係でトラブルが起こる
  • コントロールできないほどの憂鬱な気分、絶望感、自分を否定するような考えがある
  • コントロールできないほどの不安、緊張や気持ちの高ぶり

C.また、下記の症状のうち1つ以上が生理前にあらわれ、Bと合わせると症状が5つ以上になる。

  • 仕事や学校、趣味など、日常生活への興味が湧かなくなってくる
  • 自分でも認識できるほどの集中力の低下
  • 疲れやすさや倦怠感を感じ、気力が全くでない
  • 食欲が著しく変化し、過食や、特定の食べ物への欲求がコントロールできなくなる
  • 過眠や不眠
  • 何らかの圧力や目に見えない強い力を感じ、自分自身をコントロールできな感じがする
  • 胸のはりや痛み、筋肉痛や関節痛、むくみや体重増加がある

D. あらわれる症状によって、日常生活に支障が出る

E. あらわれる症状は、うつ病やパニック症など、他の精神的疾患の影響で起こっているものではない

F. 症状は、直近の約1年、ほとんどの生理周期であらわれる

PMSの症状を和らげるセルフケア

PMSの原因はわかっていませんが、日常生活の中で意識することでPMSの症状が和らぐこともあるようです。心がけたいポイントをいくつかご紹介します。

休息や睡眠を十分に確保する

十分な休息を取り、質の高い睡眠をとることを意識しましょう。一般的に、理想の睡眠時間は7~9時間程度といわれています。

自分にとって最適な睡眠時間を確保し、日々の起床時間や入眠時間をそろえて、自然と眠りやすい睡眠リズムを整えるようにしましょう。

寝つきが悪い方は、リラックスする香りのアロマオイルなどを使ってみるのもおすすめです。

適度な運動を行う

定期的に適度な運動を取り入れることも、PMSへの対処方法のひとつとして挙げられます。

普段、運動習慣がまったくない方にとってはハードルが高いかもしれませんが、日常生活の中で階段を使用したり、少し歩く歩数を増やすことを意識するところから始めてみてもいいかもしれません。

軽いストレッチやウォーキングなどを行うと、ストレス発散にも効果的です。

ストレスを避ける

ストレスフルな生活は、PMS症状を悪化させることがあります。

この現代で全くストレスのない生活を送ることは難しいかもしれませんが、避けられるストレスは避け、自分なりのストレス発散法を見つけ、ときにはしっかり自分をいたわるようにしましょう。

カルシウムやマグネシウム、ビタミンB6を摂取する

カルシウムマグネシウムビタミンB6などの栄養素をしっかり摂ることでPMS症状が緩和する可能性があります。

女性では、1日あたりカルシウム650mg、マグネシウム270〜290mg、ビタミンB6は1.1mg必要と言われています。

カルシウムは乳製品や小松菜などの野菜、ひじきなどの海藻、ししゃもなどの小魚、豆腐などの豆類から摂ることができます。牛乳コップ1杯(200g)でカルシウムは220mgが含まれています。

マグネシウムはあおさやわかめなどの海藻類に多く含まれ、その他魚介類、キヌアなどの穀類、枝豆などの野菜にも含まれています。

ビタミンB6はかつおなどの赤身魚、ささみなどの脂が少ない肉類、バナナなどの果物や、パプリカなどの野菜、玄米などの穀類に含まれています。

それぞれの栄養をバランスよく摂れるような食生活を意識しましょう。

PMSは治療できる?

PMSの治療法は、あらわれる症状とその程度によっても異なります。具体的には、以下のような治療が行われます。

症状とうまく付き合う認知行動療法

気になる症状を、いつ、どんなときに、どんな症状があらわれているかを記録していくことで、自分がどの時期にどんな症状に悩んでいるのかを気付くことができます。これが「認知行動療法」です。

生理前にあらわれる症状は毎回同じではないかもしれませんが、あらわれる症状を知ることで傾向がつかめたり、どのタイミングで症状があらわれ、いつ症状が軽くなるかを把握することでPMSに対して準備や対処がしやすくなります。

また、PMS症状と付き合っていくために、気分転換やリラックスする時間をつくったり、自分にあったセルフケアの方法をみつけていくこともすすめられます。

低用量ピルなどのお薬を用いた治療

PMSの治療として、低用量ピルや漢方、あらわれている症状に対処するお薬を処方して治療を行うこともあります。医師と相談しながら治療を行っていきます。

PMSの原因はわかっていませんが、排卵が起こり、女性ホルモンが大きく変動することが原因の一つとして考えられています。低用量ピルは排卵を抑制し、ホルモンの変動を少なくすることでPMSを軽減すると考えられています。

下腹部痛などの痛みがある場合は鎮痛薬、むくみなどには利尿剤などのお薬、精神的症状の場合は精神安定剤なども、対処方法として挙げられます。

漢方の場合は、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶつりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などの複数のお薬から、体質などにあわせて医師が処方を行います。

PMSかも?症状で気になることがあればスマルナに相談しよう

生理前に感じているその不調は、PMS症状の可能性があります。約70〜80%の女性は、生理前に何らかの症状を経験しているといわれており、決して珍しいものではありません。

スマルナでは、助産師・薬剤師が365日、ピル・PMS・生理・避妊のお悩みを無料で伺います。スマルナアプリからチャットで簡単にメッセージが送れますので、PMSかも?と一人で悩む前に、お気軽にご相談ください。

また、医師の診察もオンライン上で受けることができますので、あなたに合ったピルの提案・処方も可能です。毎月悩まされるPMSは病気のひとつであり、さまざまな治療法があります。ぜひ医師にお悩みをご相談ください。

参考資料

月経前症候群(PMS)| MSDマニュアル家庭版

女性の健康包括的支援のための診療ガイドブック | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)

産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2020|日本産科婦人科学会/日本産科婦人科医会

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