眠りたいのに生理痛がひどくて寝れない…。睡眠にも影響が出るほどひどい生理痛がある場合は「月経困難症」の可能性があります。
今回は寝れないほどの激しい生理痛について、その原因や対処法について説明します。
月経困難症はお薬で治療することもできます。お薬による治療法についても説明していますので、ぜひご覧ください。
生理痛で寝れないときのセルフケアでの対処方法
生理痛がひどすぎてなかなか寝れない…そんな時にできるセルフケアでの対処法を紹介します。もしかしたら生理痛がやわらぐかもしれません。
痛みをやわらげる姿勢を取る
強い痛みを感じると、身体が緊張して力が入ってしまいます。できるだけ身体の力を抜いて、リラックスできるような体勢をとるようにしましょう。
ポイントは下腹部に力が入りすぎないようにすることです。横向きになり軽く膝をまげると、下腹部の力をゆるめやすくなります。
腹部を守るように身体を丸める姿勢や、うつ伏せで寝ると痛みがやわらぐという人もいるかと思います。痛みが強いときは自分が一番楽だと感じる姿勢を探してみましょう。
ただ、ずっと同じ体勢は血行が悪くなる可能性があるので、痛みがやわらいだときに少し下腹部をゆるめるようにしましょう。
身体を温める
生理痛はプロスタグランジンという痛みのもととなる物質が原因で引き起こされることがあります。下腹部あたりの血行が悪くなると、プロスタグランジンが下腹部あたりにとどまってしまうことで生理痛がひどくなることがあります。
下腹部あたりにカイロをあてたり、生理中でも湯船に浸かって身体をあたためたりすることで生理痛がやわらぐことがあります。
また、普段から身体を冷やさないようにして、血行をよくしておくことを意識しておくことも大切です。
ツボを押す
ツボにも、生理痛に効果があるといわれている場所があります。ツボは東洋医学の概念に基づいており、東洋医学では人間が生きるためのエネルギーを「気」と捉え、その「気」が出入りするポイントを「ツボ」と考えています。
ツボを刺激することで、気の巡りを整えて不調を改善させるといわれています。
下記は生理痛に効果があるといわれるツボです。
- 気海(きかい):おへそから指1〜2本分下あたり
- 三陰交(さんいんこう):足のくるぶしの内側から指4本分上あたり
- 血海(けっかい):ひざの皿から指4本分上あたりの内側部分
手の指をつかって、気持ちいいと感じるぐらいの強さで優しく押してみましょう。
お薬を活用する
寝れないほどの生理痛は、我慢せずに鎮痛薬などの薬を活用するのも一つの対処法です。鎮痛薬は用法用量を守り、痛みがひどくなってから飲むよりも、痛みを感じ始めたぐらいの早いタイミングで飲むのがポイントです。
生理痛がひどくなる原因
生理とは、妊娠の準備のために厚くなった子宮内膜がはがれて、血液とともに「経血」として体外に排出されることをいいます。今回は、生理痛が起こる主な原因を説明します。
生理痛を引き起こす病気
生理痛は、生理痛を引き起こす子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因のこともあります。生理が終わっても痛みが続く場合や、生理がくるたびに痛みが強くなる場合などは気を付ける必要があります。
万一、病気であった場合、治療をしないで放っておくと、不妊の原因になる可能性もあります。
プロスタグランジンの過剰分泌
生理のとき、経血を体外に排出するために、子宮を収縮させる働きをもつ「プロスタグランジン」という物質が子宮内膜から分泌されます。
プロスタグランジンが過剰に分泌されると、必要以上に子宮を収縮させてしまい、生理痛の原因となります。それだけでなく、過剰なプロスタグランジンは全身の血管を収縮させて、腰痛や頭痛なども引き起こすと考えられています。
冷えなどによる血行不良
運動不足や身体の冷えなどにより、血行が悪くなると、生理痛の原因であるプロスタグランジンが骨盤内に滞ってしまいます。これがさらに生理痛をひどくさせると考えられています。
子宮の発達が未熟
思春期頃の女性は、子宮の発達が未熟なこともあり、経血の出口である子宮頸部が狭くて固く、その狭い通り道を経血が外に流れ出ようとすることで生理痛を感じることもあります。
肉体的・精神的ストレス
ストレスも生理痛の痛みに関係することがあります。人間関係のトラブルなどの精神的なストレスだけでなく、過労や睡眠不足などの肉体的ストレスも生理痛がひどくなるという研究結果もあります。
また、生理に対するネガティブな感情により、痛みが生じることもあります。
生理痛は我慢せずに医療機関を受診しよう
寝れないほどの生理痛は、隠れた病気のサインである可能性も。「単なる生理痛だし…」と放っておかずに、早めに医療機関を受診しましょう。もしも何らかの病気があった場合は、早期発見・早期治療を行うことが大切です。
月経困難症の主な治療方法
日常生活に支障をきたすほどのひどい生理痛がある場合、「月経困難症」の可能性があります。ひどい生理痛がある場合には、原因を特定して治療を行いますが、主には以下のようなお薬を用いることがあります。
低用量ピル
低用量ピルは、生理に関係する2種類の女性ホルモンを配合した薬です。子宮内膜の増殖を抑えることでプロスタグランジンの分泌量を少なくし、生理痛の軽減が期待できます。
経血量の減少効果も期待できるため、経血量の多い過多月経の治療薬としても使われることもあります。さらに、低用量ピルは偽薬(休薬)期間に出血が起こるため、生理不順の改善効果も期待できます。
鎮痛薬
痛みの原因であるプロスタグランジンの分泌を抑える鎮痛薬として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる薬があります。代表的なのがロキソプロフェンで、鎮痛作用以外にも解熱作用、抗炎症作用もあります。
また、NSAIDsとは異なる働き方を持つ鎮痛薬として、代表的なのがアセトアミノフェンです。痛みを感じる神経に作用してプロスタグランジンの分泌に影響を及ぼすと考えられています。
NSAIDsと比べると効果は穏やかですが、NSAIDsよりも胃の負担が少ない薬です。
漢方薬
生理痛の軽減効果が期待できる漢方薬もあります。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桃核蒸気湯(とうかくじょうきとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが生理の悩みなど、女性特有の不調の改善のために用いられています。
体質や症状にあう漢方薬を飲み続けることで、生理痛の改善が期待できます。
生理痛でお悩みの方はスマルナで相談を
夜寝れないほどのひどい生理痛は、隠れた病気のサインである可能性があります。さらに、生理に関する悩みや不安は、なかなか友人などにも相談しづらいものです。
生理痛は仕方がない、自分だけでなんとかするしかない、と諦めずに自分に合った対処法を医師などの専門家と一緒にみつけてきましょう。
スマルナでは、助産師・薬剤師が365日、ピル・生理・避妊のお悩みを無料で伺います。スマルナアプリからチャットで簡単にメッセージが送れますので、お気軽にご相談ください。生理痛の軽減を目的としたピルの処方についても相談できますよ。
参考資料
生理痛(月経痛)|女性の健康推進室 ヘルスケアラボ(厚生労働省研究班監修)