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中学生の生理痛はどう対処すればいい?原因や対処法、婦人科での流れを紹介

中学生で生理痛に悩んでいる人は少なくありません。しかし、どう対処したら良いのか分からない人も多くいらっしゃいます。

生理痛がひどい場合は子宮内膜症などの病気が隠れている可能性もあるため、放置せずに医師の診察を受けることが大切です。

今回は、生理痛が起こる原因から対処法まで詳しく解説します。婦人科での診察の流れも紹介しているので、参考にご覧ください。

中学生女子の約6割が「生理痛がつらい」と回答

中学生にとって、生理痛はとても身近なものです。産婦人科を受診した女性を対象に行われた調査では、中学生155人のうち、生理痛を感じたことがある人の割合は83.9%でした。

生理痛の程度について見てみると「少しの痛みがありちょっとつらい」と答えたのは21.5%、「痛みがありつらい」は31.5%、「かなりの痛みがありとてもつらい」は16.9%「耐えられないほどの強い痛みがある」は5.4%と、生理痛があると回答した中学生全体の75.3%が生理痛がつらいと感じているという結果になりました。

生理痛に悩む中学生は多いことが考えられます。

生理痛の原因

生理痛が起こる一つの要因として、子宮内膜からプロスタグランジンという物質が産生されることが挙げられます。

プロスタグランジンには子宮を収縮させる働きがあるため、生理のときに経血を子宮から体外に押し出すのに役立ちますが、人によっては過度に子宮が収縮して生理痛が起きてしまうことがあるのです。

生理痛に個人差があるのは、プロスタグランジンの分泌量が人によって違ったり、プロスタグランジンが強く作用してしまったりすることが考えられます。

思春期のひどい生理痛は子宮内膜症の可能性も

あまりに生理痛がひどい場合は、子宮内膜症の可能性も考えられます。子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織や子宮内膜が子宮の内側以外の場所で発育する病気のことです。

発症のピークは30〜34歳といわれていますが、実際、思春期に持続した生理痛がある人の62%は、子宮内膜症を合併しているといわれています。

子宮内膜症になると、生理痛が生じやすいことが特徴の一つです。子宮内膜症の患者のうち、約90%に生理痛の症状がみられるとされています。

子宮内膜症の診断が遅れたり、月経困難症がみられたりする場合、子宮内膜症の発症リスクが上がるため、進行を予防するためにも早めに婦人科を受診することが大切です。

早めに婦人科を受診しよう

つらい生理痛がある場合、子宮内膜症などの病気が隠れている場合もあります。気になる症状や不安な症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

婦人科の診察では、まず問診でどのような症状があるのかを確認し、必要に応じて内診や尿検査、血液検査などが行われます。

初めて婦人科を受診する人は不安を感じるかもしれません。内診や検査方法がわからず怖い場合は、内診以外の検査方法や、行う検査方法について医師から説明をうけることもできるため、不安がある方は相談してみてください。

また、婦人科では直近の生理日や性交渉の有無、ダイエット状況などを聞かれることもあるため、すぐに確認できるようにしておくと安心です。病院のホームページに問診票が公開されているところもありますので、一度チェックしてみるといいかもしれません。

婦人科の受診は未成年の場合、保護者の付き添いが必要なことろもあります。病院のホームページや受付への電話などで事前に確認しておきましょう。また、1人で受診した場合も、病状によっては次回の診察時に保護者の同席を求めるケースもあります。

生理痛の治療方法

「生理痛は誰にでもあるものだから…」と我慢する必要はありません。治療によって生理痛を改善できる可能性があるため、少しでもつらいと感じている人は治療を受けることを検討してみましょう。

ロキソプロフェンなどの鎮痛薬

生理痛には、アセトアミノフェンやロキソプロフェンなどの成分が含まれた鎮痛薬が効く場合があります。

お薬は年齢によって服用できる成分が異なりますので、服用可能年齢を確認するようにしましょう。15歳未満の場合はアセトアミノフェン、15歳以上の場合はロキソプロフェンやイブプロフェンが使用可能です。

鎮痛薬は、婦人科などの病院で処方してもらうほか、薬局で購入することもできます。薬局で購入する場合、ロキソプロフェンは第1類医薬品のため、薬剤師から説明を受けたうえで購入するようにしましょう。

漢方薬

漢方薬は女性の不調に良く使われています。体質や症状に適した漢方薬を飲み続けることで、体質そのものから改善を図ります。

生理痛に効果が期待できる漢方薬としては、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などが挙げられます。

鎮痙薬(ちんけいやく)

鎮痙薬とは、痙攣を抑える効果があるお薬のことです。鎮痙薬のブチルスコポラミン臭化物という成分は子宮が過剰に収縮するのを抑える効果があるので、生理痛をやわらげる働きが期待できます。

低用量ピル

低用量ピルには、子宮内膜が厚くなるのを抑える作用があります。子宮内膜が薄く保たれることで、プロスタグランジンが作られにくくなり、生理痛の改善効果が期待できます。

中学生も低用量ピルを飲んでよい?

世界保健機構(WHO)の定めによると、生理が始まっていればピルの服用は可能とされています。

生理が始まっていれば、中学生でも低用量ピルを服用して問題ないと考えられますが、健康状態などを確認したうえで、医師が服用可能かを判断します。

健康のためにも、必ず医師の診察と処方を受けるようにしましょう。

中学生の生理痛の悩みは医師に相談しよう

中学生で生理痛に悩まされている人は多くいらっしゃいます。生理痛がつらい場合は、鎮痛薬や漢方薬、鎮痙薬や低用量ピルなど、自分に合った治療方法を医師と一緒にみつけていきましょう。

婦人科を受診するハードルは高いかもしれませんが、病気が隠れている可能性もあるので、早めに検査して生理痛の原因を確認すると安心です。

参考資料

月経痛のある女子中高生の対処行動とコントロール感|日本教育保健学会年報
(1)月経困難症|公益社団法人 日本産婦人科医会
産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023
子宮内膜症|公益社団法人 日本産科婦人科学会

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