生理中は、腹痛や頭痛、腰痛などさまざまな痛みがあらわれます。生理痛が続くと、目の前の大事な仕事にも集中できなくなりますよね。
また、生理痛がひどいときに、働く女性がどのように対応しているのか気になる方もいるでしょう。
そこで今回は、生理痛で仕事に集中できない女性の現状や対処法を解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
生理で仕事に支障がでた割合は過半数に及ぶ
日経BP総合研究所が働く女性に対して行ったアンケートによると、生理によるつらい症状を「我慢している」と66.4%の人が答えています。
※参照:日経BP 総合研究所「働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活 2021」調査/『ウェルビーイング向上のための女性健康支援とフェムテック』(日経BP刊)
また、生理の影響により「仕事の効率低下を感じている」と75%の人が答えており、仕事の出来についても生産性が6割も低下しているとアンケート結果がでています。
業務の効率化を考えた上でも、生理に伴う症状に対処することが大切です。
生理痛がひどいときどんな対応をしている?
連合東京(日本労働組合総合会東京都連合会)が1,340人の働く女性を対象としたアンケートを実施しています。
生理痛がひどいとき、多くの女性は我慢していることが多く、37%の人が生理痛があったとしても「何もしない」と答えています。
4割弱の人が生理痛があっても我慢をして過ごしていますが、61.9%の人は、通院やお薬の服用などで生理痛に対処していると回答しました。
特に、20〜30代の比較的若い年代では、「通院、お薬の服用」を選んでいる傾向が高いという結果になっています。
また、生理痛がある中で仕事を行うことがつらいと感じる人もいるかと思いますが、生理休暇を取得したことがあるかという質問に対しては、「ある(有給)」で13.5%でした。無給の生理休暇を取得したことがあるという人はいませんでした。
制度としてあっても、なかなか取得できていない現状があることがわかります。
生理休暇の利用率は低い
生理痛がひどく、仕事を継続することが難しい場合は、生理休暇を取得することもできます。
労働基準法にも「生理休暇」が定められており、生理休暇を申請した女性に対して、企業は休ませる必要があります。
しかし、生理休暇を利用する女性は少なく、令和2年度の生理休暇の利用率は0.9%にとどまっており、多くの女性が生理休暇を利用していません。
生理休暇を利用しにくい要因として「男性上司に申請しにくい」「利用者が少ないので申請しにくい」と答えている人が多く、生理休暇を利用する心理的ハードルが高いと感じている人は多いといえます。
仕事に支障が出るほどの生理痛は病気の可能性も
仕事ができないほど生理痛がひどいときは、病気の可能性も考えられます。
生理痛がひどいときに考えられる病気として「月経困難症」があります。月経困難症には、特定の病気と関係しない「機能性月経困難症」と特定の病気を原因とする「器質性月経困難症」があります。
機能性月経困難症は、経血が通る子宮口が小さかったり、生理痛の原因物質のプロスタグランジンが過剰に分泌されたりすることで、子宮が異常に収縮することで起きます。
機能性月経困難症は初経後2〜3年後に始まるとされています。思春期の月経困難症は機能性月経困難症であることが多く、その場合は年齢を重ねたり、妊娠出産を経験したりすることで改善する場合もあるようです。
器質性月経困難症は、子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの疾患が原因です。器質性月経困難症は、20〜40歳から多くなるといわれています。
いずれの月経困難症も医療機関で治療することで改善する場合もあるので、生理痛がひどい場合は婦人科へ受診するようにしましょう。
生理痛がひどい場合の対処法
仕事が継続できないほど生理痛がひどい場合は、我慢をせずに治療することも大切です。生理痛は婦人科を受診し、症状や原因に応じた治療を受けることで改善する可能性があります。
生理痛で仕事に集中できないときは、下記の対処法を試してみてください。
鎮痛薬を服用する
生理痛が起こる原因は、プロスタグランジンという物質の働きと考えられています。何らかの理由でプロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮が強く収縮して痛みがあらわれます。
鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、生理痛の原因物質のプロスタグランジンの産生を抑制することで痛みを抑えてくれます。成分としては、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあげられます。
市販薬としても販売されているので、簡単に入手できるのがメリットです。
ただし、鎮痛薬が効かないほどのひどい痛みがある場合や続く場合は早めに婦人科へ受診するようにしましょう。
また鎮痛薬は、胃に負担がかかることもあるので胃粘膜を保護する成分が配合されているものを選ぶのがおすすめです。
低用量ピルを服用する
低用量ピルには2種類の女性ホルモンが配合されています。体内のホルモンバランスを整えることで生理に伴うつらい症状を改善します。
低用ピルは医師の判断のもと処方されるお薬ですが、さまざまな種類のピルがあるので、医師に相談して身体の状態や症状にあったものを処方してもらうのがおすすめです。他にも、肌荒れや生理不順の改善、生理予定日を調整できるなどさまざまなメリットもあります。
漢方薬を服用する
生理痛を緩和するには、血の巡りを良くしたり血を補ったりする漢方薬が有効です。
代表的な漢方薬としては「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)などがあります。
ただし、漢方薬は体質や体調にあったものを選ぶ必要があります。
漢方薬の選択を誤ると、身体に負担がかかることもあるので、漢方薬の知識を持った医師から自分にあった漢方薬を処方してもらうと安心です。
無理せず休む
生理痛があまりにもひどい場合は、無理をせずに休むのも選択肢に入れてみてください。
「生理休暇」は、労働基準法で定められた権利であり、1日単位ではなく、半日・時間単位で取得することもできます。
生理痛がつらい時間帯だけ休むことも制度として認められているため、事前に企業に相談してみるのも良いでしょう。
生理痛で悩んでいるならまずはスマルナにご相談ください
多くの働く女性が生理に伴うつらい症状を我慢しており、仕事の効率も低下しています。
生理痛がつらいときは、無理をせずに生理休暇を利用するのも対処法になります。しかし、生理休暇の利用率は0.9%と低く、上司にも相談しにくいと答える女性も多いのが現状です。生理休暇を利用したいと思ったら、事前に企業に相談してみると良いでしょう。
生理痛がつらくて、仕事にもうまく取り組めない場合は、「月経困難症」など病気の可能性もあるので、まずは婦人科へ受診して生理痛の原因を特定しておくことも大切です。
生理痛は、鎮痛薬や低用量ピル、漢方薬などで治療できるので、医師に診察してもらい、自分にあったお薬を処方してもらいましょう。
スマルナでは無料オンライン相談もしているので、まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
生理やPMS、更年期……職場における女性の健康課題を徹底調査|働く女性のウェルネス向上委員会(東京都産業労働局)
生理痛がある女性のなかで「生理休暇」を取得した人の割合は約1割。半数が更年期障害の症状がつらくても「何もしない」|労働政策研究・研修機構(JILPT)