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生理痛を和らげる食べ物はある?栄養素や取り入れやすいメニューを紹介

生理がくるたびに苦しむ生理痛。痛みの程度は人それぞれですが、少しでも痛みを抑えて快適に生理期間を過ごしたいものですよね。生理痛への対処法はいくつもありますが、食事の面からも生理痛緩和にアプローチができることをご存知でしょうか?

今回は、生理痛の緩和が期待できる栄養素を説明します。日頃の食生活における改善ポイントを知って、普段の食事の栄養バランスも意識してみましょう。

生理痛の原因

まずは生理痛の原因から見ていきましょう。

一般的に、生理痛は生理時の子宮の収縮によって現れます。


そもそも女性の身体では、妊娠の準備として毎回の生理周期で子宮内膜を厚くさせて受精卵が着床しやすい状態にしています。妊娠しなかった場合は、この子宮内膜がはがれて血液と共に「経血」として体外に流れ出ていきます。これが「生理」です。

経血を押し流すために、「プロスタグランジン」という物質の働きにより、子宮が収縮します。体内で分泌されたプロスタグランジンの量が多いと、必要以上に子宮が収縮してしまい、これが生理痛の原因となります。

生理痛を和らげるとされる栄養素と食べ物

生理痛のひどい痛みはなんとかしたいと思うものです。生理痛を和らげる対処法のひとつとしては3食をしっかりとバランスよく食べて、エネルギー不足にならないようにすることが上げられます。

その上で、生理痛を和らげることが期待できる栄養素や食べ物をご紹介します。

オメガ-3

オメガ-3はヒトの生命維持に必要な脂肪酸(必須脂肪酸)です。体内で合成することができないため、食べ物などから摂取する必要があります。

  • オメガ-3の働き:中性脂肪値の低下や、血栓が原因となる病気のリスクを減らす可能性が知られており、生活習慣病の予防にも寄与すると考えられます。
  • オメガ-3が多く含まれる食品:マグロ・サバ・サンマなどの魚介類、アマニ油・えごま油などの植物油など。

魚介類に多く含まれる脂であるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)もオメガ−3の一種です。オメガ-3脂肪酸には抗炎症作用もあり、プロスタグランジンの生成を抑えることにも関与すると考えられています。毎日オメガ-3を摂取することで、生理痛が改善されたとの報告もあります。

ビタミンE

ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンです。4種類のトコフェロールと4種類のトコトリエノールという種類に大別され、体内では主にα-トコフェロールとして存在しています。

  • ビタミンEの働き:体内の脂質の酸化を防ぐことで、血管を健康に保って動脈硬化や血栓の予防に寄与したり、紫外線などの外的刺激から肌を守ります。
  • ビタミンEが多く含まれる食品:アーモンドやヘーゼルナッツなどのナッツ類、油脂、魚介類など。

実際にビタミンEをサプリメントとして毎日摂取し、生理痛が緩和されたという研究結果もあります。さらにオメガ−3も同時に摂取すると、さらなる生理痛の緩和が期待できることも報告されています。

亜鉛

亜鉛は身体の中で、筋肉や骨、肝臓、膵臓など多くの臓器で酵素の構成要素として存在しています。生体内のさまざまな反応に関与しているミネラルです。

  • 亜鉛の働き:各種ホルモン合成、DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに関与します。
  • 亜鉛が多く含まれる食品:牡蠣、赤身の肉類など。

亜鉛は女性ホルモン分泌にも関与しています。亜鉛が不足すると、女性ホルモンの分泌も減少して生理不順の原因となったり、ホルモンバランスが崩れるため生理痛を引き起こしやすくなると考えられています。そのため、亜鉛の摂取は生理痛の緩和も期待できます。

簡単に摂取できるメニューはある?

主食・主菜・副菜を組み合わせた栄養バランスの良い食事や、先に説明したような生理痛を和らげるとされた栄養素がたっぷり入った食事を日常生活に取り入れてみましょう。

しかし、身体に良いことはわかっていても、毎回の食事を準備するとなると、なかなか難しいですよね。

紹介した食品を少し意識して選ぶだけでも十分です。コンビニでおにぎりを買う際は鮭おにぎりなど、魚が含まれるものを選んだり、おやつにはアーモンドなどのナッツ類を選んでみたり。最近では、鮭フレークやサバ缶、小さめのチルドカップのお惣菜などもバラエティ豊かに揃っています。海藻類が入ったサラダや、温かいスープやお味噌汁をもう一品として選んだりするのもおすすめです。ちょっとした工夫で栄養素を簡単に摂取できます。

まとめ

日頃の食生活も生理痛が悪化する要因のひとつとなります。普段から外食やコンビニばかりだと、栄養素が偏ったり不足しがちになりやすいので、特に注意が必要です。

栄養素まで細かくこだわるのが難しいといった方は、身体を温めるような食事を意識することをおすすめします。冷たい飲み物は控えめにして温かいハーブティーを飲んだり、普段の食事にスープやお味噌汁を加えたりするだけでも構いません。少しの意識が、生理痛の悪化を防ぐことにつながります。

食生活を工夫したり、鎮痛薬を服用しても我慢できないような生理痛は、何らかの病気が原因である可能性もあります。痛みを我慢せず、医療機関を受診するようにしましょう。


参考資料

有田 誠. ω3脂肪酸の代謝と抗炎症作用に関する研究. 脂質栄養学. 2017;26(1):27–34.

Vitamin E and fish oil, separately or in combination, on treatment of primary dysmenorrhea: a double-blind, randomized clinical trial

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