生理のとき、お腹の痛みや腰の痛み以外にも頭が痛いと感じることはありませんか?
頭痛の中でも片頭痛は、男性よりも女性の方が多く、生理が大きく関係しているといわれています。
その中でも、生理中に起きる頭痛は、仕事や家事に集中することも難しくなり、日常生活にも大きく影響を受けているという人もいるのではないでしょうか。
今回は、生理と頭痛の関係と生理中の頭痛の対処法を解説します。ぜひ参考にしてみてください。
女性に片頭痛が多いのはなぜ?
片頭痛は、頭の片側が痛むことからそのように呼ばれています。脈打つような痛みや、ズキズキとする痛みが起こり、頭の片側で起こることもあれば、両側で起こることもあります。
片頭痛の痛みは日常生活にも支障をきたすほどであり、15歳以上の人口のうち8.4%にみられる、患者数が多い病気です。また、女性患者が多いといわれています。
※有病率 =ある一時点の患者数 ÷ 観察人口 (参考:公益社団法人 日本薬学会)
どうして女性に片頭痛が多いのでしょうか。
女性ホルモンの影響
女性の片頭痛患者において、60%は生理周期に関連して片頭痛が起きているといわれています。さまざまな調査から、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が生理周期の中で変動することが関係していると考えられています。
遺伝的要因
家族の中に片頭痛を持つ人がいる場合に、片頭痛を発症することが多く、遺伝的要因もあるのではないかとも考えられています。
女性の片頭痛においても、とある研究では生理中に片頭痛が起きる人と片頭痛を発症していない人では、女性ホルモンの血中濃度に差がみられませんでした。女性ホルモン量自体に要因があるのではなく、卵胞ホルモンの外部からの刺激を受ける感受性が異なることで、片頭痛の有無に影響が出るということが報告されています。
さまざまな研究がおこなわれていますが、実際には片頭痛が起こる要因となる、原因遺伝子や疾患感受性遺伝子が明確に解明されていません。
生理と片頭痛の関係
生理周期の中で、女性ホルモンの分泌量は大きく変動しています。女性ホルモンには、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類が存在し、片頭痛と関係しているといわれているのが卵胞ホルモンです。
卵胞ホルモンは、生理が終わってから排卵まで分泌が増えて、排卵後に分泌が減していきます。
片頭痛は、卵胞ホルモンが減少していくことで、脳内の神経伝達物質のバランスが変化し、神経が刺激されて片頭痛が起きやすくなるのではないかと推測されています。
PMS(月経前症候群)でも頭痛が起こる
PMSは、生理前3〜10日の間続く精神的、身体的症状で、生理が始まると症状の軽減または消失する場合のことをいいます。PMSであらわれる症状として、抑うつやイライラ、腹痛、腰痛などがあり、頭痛も症状の一つです。
PMSの原因は明確にわかっていませんが、排卵から生理までの期間に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が急激に低下することで、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで起こると考えられています。
PMSを軽減する方法として、医療機関の受診やセルフケアなどが挙げられます。気分転換やリラックスする時間を確保したり、カフェインやアルコールの摂取、喫煙を控えたりすることなど、日常で意識することで軽減することもあります。
生理に伴う頭痛の対処法
生理中に起きる頭痛は、日常生活にも大きく影響するので早めに対処したいですよね。
こちらでは、生理中に頭痛が起きたときの対処法を解説します。
3鎮痛薬を服用する
生理中に頭痛が起きたら、鎮痛薬を服用することで改善することもあります。
一般的に広く使われている鎮痛薬は非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)であり、生理痛や頭痛など多くの痛みを軽減する働きがあります。
また、ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴である片頭痛に対応した鎮痛薬が存在します。ひどい頭痛がある場合や鎮痛薬を飲んでも効果を感じないような頭痛がある場合は、我慢せずに医師に相談してみましょう。
受診するときは、頭痛専門の医師が在籍している脳神経外科や脳神経内科などの医療機関、頭痛外来を開設している医療機関などがおすすめです。
低用量ピルを服用する
生理にともなって頭痛などの不快な症状が起っている場合、低用量ピルを服用することで症状が軽減する可能性もあるとされています。
低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが配合されているお薬です。
低用量ピルを服用すると、女性ホルモンの急激な変動が抑えられるため、生理に伴うつらい症状を軽減すると考えられています。
ただし、頭痛の前にギザギザの光が見える、視界が狭くなるなどの前兆を伴う頭痛がある場合は、低用量ピルを服用することができないので注意しましょう。
なるべく安静にする
痛みを感じたら暗い静かな部屋で安静にすることも対処法の一つです。
また、痛む部分を冷やすと痛みが和らぐともいわれています。
低用量ピルによる副作用での頭痛
低用量ピルを服用することで、副作用として頭痛が出ることもあります。
低用量ピルの副作用は飲み始めの1〜3シートの間に出ることが多く、飲み続けることでおさまることがほとんどです。また、痛みを感じても鎮痛薬を服用することで対処することもできます。
飲み続けても症状がおさまらなかったり、痛みがひどかったりする場合はお薬を変えることで軽減することもありますので、我慢せずに医師に相談しましょう。
なお、頭痛の中には注意が必要な場合があります。
例えば、頭痛の前にギザギザの光が見える、視界が狭くなるなどの前兆を伴う頭痛がある場合やふくらはぎの痛みやむくみ、手足のしびれなどの症状を伴う場合は今後の対応について速やかにピルの処方医に確認しましょう。
もしくは、循環器内科や血管外科などを受診してみましょう。
その際ピル服用中であることを医師に伝えた上で診てもらうことをおすすめします。
生理中の悩みはスマルナに相談しよう
生理が起きると、女性ホルモンのバランスが急激に変化してさまざまな症状があらわれます。生理によって下腹部の痛みだけでなく、頭痛も起きることもあります。
片頭痛は、男性よりも女性の方が発症しやすく、生理周期が影響することが報告されています。
低用量ピルを服用することで女性ホルモンの急激な変化によって起こる頭痛の改善が期待できます。
体質や症状などによってその人にあった低用量ピルの種類が異なるため、婦人科に受診して医師の診察を受けることが重要です。
生理に伴う頭痛やお薬の選び方にお悩みの方は、スマルナにご相談ください。スマルナでは、オンラインで医師の診察を受けられるため、婦人科に受診することに抵抗を感じる方にもおすすめです。スマルナでは助産師・薬剤師に無料で相談できる「スマルナ医療相談室」もありますので、まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)ー公益社団法人日本産科婦人科学会