つらい生理痛に対して、鎮痛薬を活用している人も多いのではないでしょうか。よく耳にする鎮痛薬のひとつに「アセトアミノフェン」があります。そもそもなぜアセトアミノフェンが生理痛に効果を示すのか、考えたことはありますか？
今回は、アセトアミノフェンが生理痛に効く理由や副作用などを説明していきます。アセトアミノフェンを服用しても効果が感じられない場合の対処法も説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
生理痛はなぜおこる？
女性の身体は、妊娠の準備のために毎回の生理周期で子宮内膜を厚くさせて、受精卵が着床しやすい状態にしています。受精卵が着床すれば妊娠成立となりますが、妊娠しなかった場合は、厚くなった子宮内膜がはがれて血液とともに「経血」として体外に流れ出ていきます。これが「生理」です。
生理期間中は、経血を押し流そうと子宮が収縮します。子宮内膜で生産されたプロスタグランジンという物質が子宮の収縮を促進させているので、プロスタグランジンの生成量が多かったり、効きすぎたりすると、必要以上に子宮が収縮することになります。これが生理痛が起こる原因の1つとして考えられています。
また、プロスタグランジンは生理痛だけではなく全身の痛みや炎症の原因物質でもあります。そのため、生理時に子宮内膜で作られたプロスタグランジンが全身に運ばれて下腹部痛や頭痛などの原因にもなります。
アセトアミノフェンが効く理由
アセトアミノフェンの作用する仕組みはまだ詳しくはわかっていませんが、脳の中枢神経系に作用して解熱・鎮痛作用を示すと考えられています。
中枢神経系に働きかけて生理痛の原因であるプロスタグランジンの生成も抑制することで、生理痛に効果を発揮すると推測されます。
また、プロスタグランジンは全身の痛みや炎症の原因物質でもあるため、アセトアミノフェンは頭痛や腹痛、関節痛などの全身の痛みを和らげることもできます。
アセトアミノフェンの特徴と副作用
薬を服用する時は、副作用が気になりますよね。
アセトアミノフェンの一般的な副作用としては、
- 血小板減少
- 出血時間の延長
- チアノーゼ
- 悪心・嘔吐
- 食欲不振
- 過敏症
などが報告されています。
頻度は決して高くありませんが、重大な副作用として
- アナフィラキシーなどのショック
- 中毒性表皮壊死融解症
- 皮膚粘膜眼症候群
- 急性汎発性発疹性膿疱症
- 喘息発作の誘発
- 劇症肝炎
- 肝機能障害
- 顆粒球減少症
- 間質性肺炎
- 間質性腎炎
- 急性腎障害
- 薬剤性過敏症症候群
などが報告されています。
また、アセトアミノフェンと同じく鎮痛効果のある薬の成分として有名なものに「ロキソプロフェン」があります。
ロキソプロフェンはNSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）のひとつで鎮痛作用、解熱作用、抗炎症作用を示します。アセトアミノフェンは、NSAIDsと比較すると鎮痛効果は穏やかなお薬ですが、NSAIDsのよくある副作用として知られる胃腸障害が起こりにくい特徴があります。また、妊婦や子どもでも使用されることのあるお薬です。
アセトアミノフェンが効かないと感じたら
アセトアミノフェンをはじめとする鎮痛薬は、「ちょっと痛くなってきたかな」と思うぐらいの痛みを感じ始めたときに服用するのが効果的です。
痛みが強くなったときというのは、痛みの原因物質であるプロスタグランジンがすでに大量に分泌されてしまった状態です。このタイミングで鎮痛薬を服用しても十分な効果を感じづらくなってしまいますので、服用するタイミングを見直してみましょう。
ロキソプロフェンなどの鎮痛薬を服用する
アセトアミノフェンを服用しても痛みが治まらない場合、さらに鎮痛効果が強いロキソプロフェンなどのNSAIDsの服用を検討してみましょう。ただし、思わぬ副作用の恐れもありますので、アセトアミノフェンとNSAIDsとの併用は避けるようにしてください。（市販されているアセトアミノフェンの添付文書の「してはいけないこと」の欄にも、他の解熱鎮痛薬との併用はできない旨の記載があります。）
病気の可能性がある
生理のたびに鎮痛薬が必要であったり、鎮痛薬を服用しても効果が感じられないほどの痛みの場合は、病気が隠れている可能性があります。痛みを我慢せずに、婦人科を受診するようにしましょう。受診せずにそのままにしておくと、不妊の原因となる可能性もあります。どんな病気であっても早期発見・早期治療が大切です。
ひどい生理痛には低用量ピルも選択肢のひとつ
「低用量ピル」は、生理に関係する2種類の女性ホルモンが配合されたお薬です。低用量ピルを服用することで子宮内膜の増殖を抑え、子宮内膜を薄い状態で保つことができます。
生理痛の原因であるプロスタグランジンは子宮内膜がはがれる際に分泌されるので、子宮内膜が薄い状態だとプロスタグランジンの生成量も減ることになります。そのため、生理痛の軽減が期待できます。
生理痛のお悩みはスマルナに相談しよう
生理痛のつらさは他人と比べることができません。生理痛には鎮痛薬を服用すればいいと思っていても、「そもそも鎮痛薬を飲むほどの痛みなんだろうか」「そのうち薬が効きにくくなったりするのでは？」と不安がつきものです。
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参考資料
