左下腹部にのチクチクした痛みや違和感を感じて、不快感や違和感を覚えたことはありませんか?
生理中であれば生理痛の可能性も考えられますが、生理中ではないのに左下腹部にチクチクした痛みを感じた経験がある人もいるのではないでしょうか。
左下腹部がチクチクと痛むとき、考えられる原因は何なのでしょうか?
本記事では女性が左下腹部に感じるチクチクとした痛みの原因について解説します。生理痛以外に、考えられる病気も合わせて紹介しますので詳しくみていきましょう。
女性の左下腹部のチクチクした痛みはなぜおこる?
左下腹部にチクチクとした痛みを感じる場合、その原因を特定するのは難しいことがあります。痛みの場所や程度など、症状を聞いただけでは判断しきれないことが多いためです。
左下腹部にチクチクとした痛みがある場合、その原因はさまざまです。
生理や生理に伴う子宮や卵巣・卵管などの変化が関係していることもあります。また、腸・尿路(尿が通る道)などの臓器、さらにその周囲の筋肉や神経などが、痛みにつながる何らかの影響を与えている可能性もあります。
痛みの原因が病気である可能性もありますが、そうでない場合もあります。例えば、便を排出するときに腸が活発に動いたことが痛みの原因である場合は、病気ではありません。

生理前・生理中に考えられる左下腹部のチクチクとした痛みの原因
生理周期や妊娠などに伴って起こる可能性のあ痛みの原因は次の4つです。
- 生理痛
- 排卵痛
- 蠕動痛(ぜんどうつう)
- 妊娠初期
順に解説します。
生理痛

生理痛の強さは、子宮を収縮させる働きをもつプロスタグランジンという物質の分泌量が関係しています。
プロスタグランジンは、生理中に経血を体外に排出することに役立つ物質ですが、分泌量が多すぎると子宮が過剰に収縮し、強い生理痛や下腹部にチクチクした痛みの原因になることもあります。
PMS(月経前症候群)
PMS(月経前症候群)とは、生理前の3~10日間に続く、精神的または身体的な症状のことです。PMSの症状には個人差がありさまざまですが、左下腹部にチクチクとした痛みを感じることもあります。
PMSの症状は、生理が始まると軽くなったり消えたりします。しかし、生理が始まると生理痛が現れるため、生理前から生理中までずっと左下腹部の痛みが続くこともあります。
排卵痛

排卵痛とは、排卵時に卵巣の膜を破って、卵子が出てくるときの痛みのことです。痛みの程度には個人差があり、軽い腹痛を感じる人もいれば、腰の痛みを伴う人もいます。
また、卵巣は左右に1つずつあるため、左の卵巣から排卵が起こると左下腹部にチクチクした痛みを感じることがあります。
排卵は、生理が始まった日からさかのぼっての約14日前に起こるといわれています。この時期に左下腹部や子宮のあたりがチクチクと痛い場合は排卵痛も原因の一つとして考えられます。
腸の蠕動運動による蠕動痛(ぜんどうつう)
蠕動痛とは、腸が収縮したりゆるんだりを繰り返し、消化した食べ物を移動させて便を体外に排出しようとする動き(蠕動運動)をしているときに感じる痛みのことをさします。
蠕動運動が必要以上に強いときには、お腹にズキズキ・チクチクした痛みを感じることがあると言われています。
妊娠初期
妊娠初期に子宮が大きくなる過程で、周囲のじん帯や筋肉が伸びたり、周囲の神経を刺激したりするために下腹部にチクチクした痛みを感じることがあります。
多くの方は妊娠中期には落ち着くといわれていますが、個人差があるため気になる方はかかりつけの医師に相談してください。

子宮や卵巣で考えられる左下腹部のチクチクとした痛みの原因
左下腹部のチクチクした痛みは、子宮や卵巣になんらかの原因が隠れている可能性があります。代表的な病気は以下の通りです。
- 骨盤内炎症性疾患
- 性感染症による子宮頚管炎
- 子宮がん・子宮頸がん・卵巣がん
順に解説します。
骨盤内炎症性疾患
骨盤内炎症性疾患とは、子宮・卵管・卵巣などの骨盤腔内臓器が炎症をおこした疾患の総称です。
なんらかの菌が腟から子宮頸部を伝って骨盤腔内臓器に広がって、子宮頚管炎・子宮内膜炎・卵管炎・卵巣炎・腹膜炎などを発症します。原因菌はクラミジアや淋菌など性感染症のことも多くあります。
左下腹部のチクチクとした痛みは上記病気の可能性が考えられますので、少しでも違和感や不安を感じる場合は、婦人科を受診することが大切です。
性感染症による子宮頸管炎
子宮頸管は腟から子宮を繋ぐ部分で、クラミジアや淋菌、性器ヘルペス・性器マイコプラズマなどが原因で感染症を発症することがあります。
感染すると炎症が起こり、左下腹部にチクチクとした痛みを感じることもあります。
子宮体がん・子宮頸がん・卵巣がん
子宮がんには、子宮体部にできる子宮体がんと子宮頸部にできる子宮頸がんがあります。また、卵巣にできるがんを卵巣がんといいます。
いずれの病気も発症初期には自覚症状がなく、早期発見には定期的な婦人科検診が欠かせない病気です。
病状が進行し、がんが大きくなると周囲の筋肉や脂肪・神経に広がり組織を圧迫し、左下腹部にチクチクとした痛みを生じることがあります。
子宮以外の臓器で考えられる原因
下腹部のチクチクした痛みは、子宮以外の原因で発症することがあり、代表的なものに虫垂炎などの腸疾患と、尿路結石などの尿路疾患があります。
虫垂炎などの腸疾患
虫垂炎(ちゅうすいえん)は、一般的に盲腸(もうちょう)ともよばれる病気です。右の下腹部にある、虫垂(ちゅうすい)に炎症がおこったために、がまんできない腹痛や吐き気・発熱などの症状が現れます。
虫垂炎がひどくなりお腹全体に炎症が広がってした腹膜炎を発症すると、右下腹部だけでなく左下腹部を含むお腹全体に痛みを感じることがあるとされています。
その他に、大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)という腸の病気や便秘、下痢などの「便通異常症」でも下腹部にチクチクした痛みを伴うことがあります。
尿路結石などの尿路疾患
尿路結石(にょうろけっせき)は、左右の腎臓から尿道までの尿路に小さな石=結石(カルシウムのことが多い)ができる病気です。
結石のできはじめはとても小さな塊で、無症状で出ていくこともありますが、腎臓や尿道で大きくなると、尿と共に出ていくときや尿路道を移動するときに強い痛みを生じます。
腎臓や左右の尿管は背中側にある臓器で、腰や背中が痛むことがほとんどですが結石が移動した位置によっては、左下腹部がチクチクと痛むこともあるため注意が必要です。
そのほかにも尿路感染症(にょうろかんせんしょう)といって、腎臓や尿管・膀胱・尿道などに細菌が侵入して発症する病気でも下腹部がチクチクした痛みを伴うことがあります。尿路感染症では、下腹部痛以外にも頻尿や排尿時の痛み・違和感、発熱などを伴うことがあります。

ピルの飲み始めは副作用により下腹部痛が起きることもある
低用量ピルは1日1錠服用することでホルモンバランスをコントロールし、99.7%の避妊効果と生理痛やPMS症状の改善が期待できるお薬です。
低用量ピルを飲み始めた頃は、ホルモンバランスを整えている時期であり、服用中に生理痛のような下腹部痛や腰痛がみられることがあります。
低用量ピルによる痛みは、服用開始後2~3か月するとホルモンバランスが安定してくるので、少しずつやわらいでくることがほとんどです。
左下腹部のチクチクとした痛みが気になったら早めに受診しよう
左下腹部のチクチクした痛みは、生理や子宮に関連する病気以外にも蠕動痛や便秘・腸炎などの腸の病気、尿路の病気が隠れている可能性があります。
とくに問題がないこともありますが、がんなどの病気が隠れていることもゼロではありませんので、痛みが続くときや気になるときは早めに医療機関を受診しましょう。
スマルナでは、365日いつでも医師や助産師、薬剤師に生理などに関する悩みを無料で相談できます。
オンライン上で医師の診察を受けられ、処方された薬はご自宅まで郵送されるので忙しい方でも受診しやすいでしょう。少しでも気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
▼参考資料
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|日本産科婦人科学会