生理が来ていないのに生理痛のようなお腹の痛みを感じたことはありませんか?生理がきそうでこないのに下腹部痛がある場合、婦人科への受診が必要になることも。
生理に伴う症状がひどくてつらい場合、治療を受けることで改善が期待される可能性もあります。そのため、我慢や無理はしないでください。
今回は、生理が来そうでこないのに起きる下腹部痛の原因と対処法を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
生理(月経)とは
まずは生理(月経)とはなにかおさらいしてみましょう。
生理(月経)とは、妊娠に備えて準備された子宮内膜が妊娠が成立しなかったことで剥がれ落ちて血液と一緒に体外へ排出されることです。12歳ごろに初めて生理(初経)が起こり、50歳ごろの閉経まで生理が周期的に起きます。
次に正常な生理周期と周期が乱れる生理不順についてみていきましょう。
生理周期
生理周期は、生理が開始した日から次の生理開始日の前日の日数のことです。正常な生理周期は25〜38日間隔であり、持続日数は3〜7日間とされています。生理周期が乱れると、生理不順の可能性があります。
生理不順
生理不順は、生理周期が乱れている状態です。生理周期が25日未満の場合は「頻発月経」であり、逆に生理周期が39日以上の場合は「稀発月経」です。
生理が始まったばかりの思春期に生理不順が起きやすいとされていますが、急激な体重変動やストレスが原因で起きることもあります。
生理に伴う主な症状
生理は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンの分泌が大きく影響しています。
これらのホルモンの分泌が急激に変化することで生理が起きるため、女性の身体にはさまざまな変化が伴います。
生理痛
生理痛は「プロスタグランジン」という物質が関与しているといわれています。プロスタグランジンは、剥がれ落ちた子宮内膜を体外へ排出するために子宮を収縮させる物質です。
何らかの理由でプロスタグランジンが過剰に分泌されると、子宮が強く収縮されて下腹部の痛みが起こります。他にも以下の症状を伴う場合があります。
- 頭痛
- 胃痛
- 吐き気
- めまい
- 腰痛
- お腹の張り
- 下痢
など
生理痛があまりにもひどい場合は、月経困難症の可能性もあるので気になる場合は婦人科に受診した方が良いでしょう。
PMS(月経前症候群)
PMSは、生理前3〜10日間に継続して起こる精神的、身体的症状のうち、生理開始とともに改善するものをまとめたものです。
症状として
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- のぼせ
- 腹痛
- 頭痛
- むくみ
などさまざまなものがあります。
原因については解明されていませんが、女性ホルモンの変動が大きく関与していると考えられています。
PMDD(月経前不快気分障害)
PMDDは、PMSの中でもイライラや不安など精神症状が強い状態をいいます。PMDDの症状が強い場合、うつ病などの慢性的な精神、神経疾患と区別して治療することが大切です。
生理が来ないのに下腹部痛があったらどうすればいい?
生理が来そうでこないのに下腹部痛がある場合、さまざまな可能性が考えられるなかで自分で対処する前に確認しておくべき点が2つあります。
- 妊娠の有無を確認する
- 病気かどうか調べる
詳しくみていきましょう。
妊娠の有無を確認する
妊娠が成立すると下腹部痛が起きることもあるので、性交渉がある場合は念のため、適切な時期に妊娠検査薬を使用して妊娠の有無を確認しておきましょう。
なお、妊娠検査薬は、性交渉から3週間後以降に実施することで正しい検査結果を得ることができるとされています。
病気かどうか調べる
生理が来ていないのに下腹部痛が起きた場合は、子宮内膜症など婦人科系の病気の可能性もあります。症状によって対処法も異なります。原因を特定することで適切な治療や対処を受けられますので、まずは婦人科に受診しましょう。
妊娠でも病気でもない場合の対処法
妊娠や病気ではなかった場合は、日常生活の改善や鎮痛薬、低用量ピルを服用する方法もあります。
生理に伴う痛みは我慢せずに、こちらで紹介する対処法を試してみてください。
日常生活の改善
生活習慣が乱れると、生理痛が強く出る可能性があります。
20〜39歳の日本人女性321人を対象とした調査では、76.19%が生理痛を経験しており、重症と判定されたグループは動物性タンパク質の不足、砂糖の摂取量の過多が軽症のグループよりも多かったと報告されています。
また、食事以外にも入浴習慣がある人についても生理痛が軽症であることが多かったという結果となりました。
栄養バランスの取れた食生活や、入浴をする習慣をつくることで生理痛が緩和する可能性もあると考えられます。
鎮痛薬を服用する
鎮痛薬として広く使われている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、生理痛の原因物質のプロスタグランジンの産生を抑制する働きがあります。
生理痛はプロスタグランジンが過剰に分泌されることで起きるため、NSAIDsを服用することで痛みが抑えられます。
NSAIDsは、胃に負担がかかることがあるので、胃の負担を軽減する成分が配合されているものを選ぶのがおすすめです。
低用量ピルを服用する
低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが配合されている医薬品です。
生理によって女性ホルモンが大きく変動することで、生理痛やPMSなどの症状があらわれるため、低用量ピルを服用して排卵を止めて女性ホルモンの変動が少なくなることで、下腹部痛などの症状を改善できます。
低用量ピルは市販薬で購入することはできません。婦人科やオンライン診察を受けて、医師の判断のもと処方してもらうようにしましょう。
生理に伴う症状で不安なことはスマルナで相談しよう
生理がきそうでこないのに起こる下腹部痛が起きる原因として、生理前のPMSの症状や排卵痛など、さまざまな要因が考えられます。
排卵時に起こる痛みは「排卵痛」と一般的に呼ばれており、軽い腹痛を感じることがありますが、ストレスや体質、他の要因などによって痛みを強く感じることもあるので、まずは生活習慣などを改善してみるのも良いでしょう。
妊娠初期や子宮内膜症、子宮筋腫などでも生理前に下腹部痛が起きる可能性があるので、「大丈夫だ」と自己判断せずに医師の診察を受けるようにしましょう。
生理に伴う痛みについては、低用量ピルなど症状を抑える治療薬も開発されているので、我慢をせずに婦人科を受診するようにしましょう。
スマルナではオンラインで医師の診察を受けられるだけではなく、薬剤師や助産師などの専門家から無料でアドバイスを受けられます。生理に伴う症状で不安なことがある方は、ぜひスマルナにご相談ください。
参考資料
産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2023|日本産科婦人科学会/日本産科婦人科医会
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|公益社団法人 日本産科婦人科学会