毎月やってくるつらい生理痛に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。鎮痛薬などですぐに対処ができるタイミングだったらよいのですが、授業中や仕事中など難しいときもあるかもしれません。そのようなときに試してみたいのが、生理痛に効くといわれるツボを押すこと。ツボを押すポイントや、ツボ押し以外で生理痛を和らげる方法もご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
そもそもツボって何?
ツボは東洋医学の概念に基づいており、東洋医学では人間が生きるためのエネルギーを「気」と捉え、気の通り道を「経路」とよびます。経路には、それぞれの臓器とつながっているといわれる「経穴(けいけつ)」というポイントがあり、それがいわゆるツボです。
ツボを押して気を流すことで、身体の血液の巡りや代謝がよくなり、心身の不調を和らげる効果があるといわれています。ツボは実際に目に見えるものではありませんが、WHO(世界保健機構)で361のツボが定められており、さまざまな効果があることが認められています。
生理痛の原因
そもそも生理痛はなぜおこるのでしょうか。生理痛にはさまざまな原因があり、日常生活に支障をきたすような状態を月経困難症といいます。月経困難症は、「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」に分けられます。
機能性月経困難症:特定の病気はないけれども、症状が出現する場合のことを指します。子宮頚管が狭かったり、プロスタグランジンというホルモンの影響で子宮の筋肉が収縮しすぎたりすることなどが原因と考えられます。
器質性月経困難症:子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症など、子宮や卵巣・卵管などになんらかの病気が原因の月経困難症です。器質性月経困難症の場合、医療機関で適切な治療を受けることが大切です。
生理痛を和らげるツボ
手軽におこなえるツボ押しですが、ツボを押す際の注意点とポイントをお伝えします。ツボを押す際は力任せに刺激するのではなく、痛気持ちいいと感じる程度にしましょう。
指の腹でゆっくり押し、5秒程度同じ位置でとどめ、ゆっくり押し戻します。内出血ができない程度に、4~5回ほど繰り返しましょう。また、ツボは押すだけでなく、カイロやホットタオルで温めるのも効果的です。
では実際に生理痛に効果的なツボをご紹介します。
お腹のツボ
お腹には、婦人科系や消化器系、泌尿器系など、さまざまな臓器に効果的なツボがあります。
気海(きかい)
おへそから、指本分下の位置にあります。
全身の「気」が集まる場所であり、ツボを押すことで気を補うと考えられています。また、生理痛や生理不順に効果があり、生理の1週間くらい前から押すのも効果的です。
関元(かんげん)
おへそから、指4本分下の位置にあります。
生理痛や生理不順、冷え性、不眠にも効果があるといわれています。関元を中心に手のひらを当て、のの字にマッサージするとお腹全体が温まります。
中極(ちゅうきょく)
関元からさらに、指1本分下の位置にあります。または、恥骨から指の横幅2本分上の位置。
生理痛や生理不順、また尿漏れや頻尿などの泌尿器系のトラブル改善にも効果的です。
腰のツボ
腰にも生理痛に効くといわれているツボがあります。生理のときに腰が痛くなる方はぜひ試してみてください。
腎愈(じんゆ)
おへその高さあたり、左右それぞれ背骨から指2本分横の位置にあります。
血液の巡りをよくし、冷えを改善する効果があるといわれています。生理痛や、生理時の腰痛緩和にも効果が期待されます。
足のツボ
足は全身の血液の巡りに関わっており、足のツボを押すことで血流やむくみの改善につながります。
血海(けっかい)
膝の内側、お皿の上から指3本上の位置にあります。
血液の巡りをよくする効果が期待でき、生理痛などに効果が期待できるといわれています。
足三里(あしさんり)
膝のお皿のすぐ下にある外側のくぼみから5cm下の位置にあります。
血行を良くし、胃腸の働きを整えるツボであり、生理中に胃腸の調子が悪くなる場合や、生理痛などに効果が期待できます。また、養生のツボともいわれており、疲れが溜まっている場合にも試してみたいツボです。
三陰交(さんいんこう)
くるぶしの内側から、指4本分上の位置にあります。
全身の血行を良くするツボといわれており、婦人科系の悩み全般に効果があると考えられているツボです。身体の冷えを改善したり、生理痛などが緩和したりする効果が期待できます。
照海(しょうかい)
内くるぶしの一番高くなっている骨から、親指1本分下の位置にあります。
免疫力を高めたり、血液の巡りをよくしたりし、ホルモンバランスを整える効果があるといわれています。日常的に刺激しておくのもいいといわれています。
手のツボ
手にあるツボは、いつでも手軽に刺激できるのでおすすめです。特に、手の中でも万能といわれているツボをご紹介します。
合谷(ごうこく)
手の甲の、親指と人差し指が交わり、くぼみのある位置にあり、やや人差し指よりに位置します。
全身の気を整え、万能なツボであるといわれています。生理痛の緩和効果や、自律神経を整えてストレスを和らげる効果、頭痛や肩こりにも効果が期待できます。
ツボ以外で生理痛を和らげる方法
生理痛がつらいときに、ツボ押しとともにできるセルフケア方法についてご紹介します。セルフケアを行っても生理痛が改善しない場合は、お薬や医療機関で治療を行うことも一つの方法です。ご自身に合った方法を選択しましょう。
身体を温める
生理痛の痛みを和らげる方法の一つとして、身体を温めることがあります。身体を温めることで血行が良くなり生理痛が和らぐといわれています。腹巻きや使い捨てカイロでおなか周りを温めることはもちろん、レッグウォーマーで下半身を温めることは全身を温めるのに効果的です。
鎮痛薬を服用する
つらい生理痛は、集中力や行動力の低下につながることもあります。また、大切な予定があるときに生理痛があると思う存分に楽しめないこともあるかもしれません。
生理痛を和らげる方法の一つに鎮痛薬の服用があります。用法用量を守り、適切なタイミングで服用をすれば、生理痛の改善効果が期待できます。
痛みが強くなってからではなく、痛みを感じ始めたタイミングで服用するようにしましょう。
低用量ピルを服用する
低用量ピルは、生理に関係する2種類の女性ホルモンを配合した薬です。子宮内膜の増殖を抑えることでプロスタグランジンの分泌量を少なくし、生理痛の軽減が期待できます。経血量の減少効果も期待できるため、経血量の多い過多月経の治療薬としても使われることもあります。さらに、低用量ピルは偽薬(休薬)期間に出血が起こるため、生理不順の改善効果も期待できます。
ひどい生理痛は早めに婦人科を受診しよう
自分の悩みに合わせて、ツボを押すセルフケアで生理痛が和らいだり、全身の血行が良くなって調子が整うかもしれません。ぜひ時間ができたときに試してみてはいかがでしょうか。
セルフケアを取り入れていても、なかなか生理痛が改善しなかったり、だんだんと生理痛がひどくなっていく場合には病気が原因となっている可能性もあります。日常生活に支障をきたす程に生理痛がつらい方は、婦人科の受診を検討しましょう。
スマルナではオンライン診療をおこなっています。スマホ一つで受診が可能であり、低用量ピルの処方にも対応しています。また、助産師や薬剤師によるチャットでの相談も可能です。365日、無料で相談可能なため、ささいな悩み事でもお気軽にご相談ください。
参考資料