夜にしっかり寝ていたはずなのに日中も眠気を感じる…特に生理前の眠気がひどくて困っているという人もいるのではないでしょうか?
生理前はホルモンバランスの影響で、眠気が出やすくなることもあるといわれています。今回は、そんな生理前の眠気の原因や、その対処法について説明します。生理前の眠気にお悩みの方は、ぜひご一読ください。
生理前に眠気がおこる原因とは
生理前におこる眠気は、女性ホルモンの変動が影響しているのではないかと考えられています。
女性の身体では生理周期に伴って女性ホルモンが変動しており、排卵後から生理が始まるまでの期間(黄体期)に入ると、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加します。
このとき、黄体ホルモンが体内で分解されて「アロプレグナノロン」という物質になり、これが脳内で抗不安作用や鎮静作用を示し、眠気を感じると考えられています。
また、黄体期は黄体ホルモンの働きによって、基礎体温が少しだけ上がります。
人間の身体の仕組みとして、睡眠中は深部体温という、内臓などの身体の内側の体温が下がることで全身が休息状態に入るのですが、黄体期は体温がいつもより上が
るため、眠りが浅くなりやすく、日中の眠気やだるさにつながります。
生理前の眠気が仕事や生活に支障をきたす場合は「PMS」かも
生理前の眠気がひどく、仕事や普段の生活に支障をきたす場合はPMS(月経前症候群)かもしれません。
PMSとは
PMSとは、生理前の3〜10日間続く、身体的・精神的なさまざまな不調のことです。「premenstrual syndrome」を略してPMSと呼びます。現れる症状は人によってさまざまですが、眠気以外にもむくみやイライラ、腹痛や乳房の張りなどの症状が見られることもあります。
生理前に症状があらわれ、生理が始まると症状が軽くなったり消失したりすることが特徴です。生理がある女性のうち、約70~80%は生理前に何らかの不調を抱えているといわれています。
PMDDとの違い
PMSの症状のなかでも特に心の不調が強くあらわれる場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されることがあります。抑うつや不安、緊張、情緒不安定、イライラなどの症状が目立ってみられます。
PMSやPMDDは日常生活に支障が出るほどの精神的な症状があらわれることもあるため、症状に合わせてカウンセリングや生活指導、低用量ピルなどによる治療が行われます。精神症状が強い場合は精神安定薬や抗うつ薬などが用いられることもあります。
生理前の眠気への対処法
生理前の眠気を少しでも抑えることができる、いくつかの対処法をご紹介します。眠気だけでなく、PMSによるさまざまな症状の改善にもつながりますので、自分に合う対処法を見つけてみましょう。
食事や生活習慣を見直す
生活習慣の改善により、PMSの改善効果が期待できます。例えば、タバコやお酒、コーヒーなど、PMSを悪化させる可能性があるものの摂取をなるべく控えることや、定期的な運動、規則正しい睡眠リズムの確保、ストレスをこまめに解消したりすることも有効です。
また、カルシウムやビタミンB6、マグネシウムの摂取がPMSの症状を緩和させる可能性があるといわれています。カルシウムが多い乳製品や、マグネシウムの多いナッツ類や海藻類、ビタミンB6が多いカツオやマグロなどの魚類など、意識して食事を取ることもおすすめです。
漢方薬や抗不安薬を服用する
PMSがひどい場合は、気になる症状に合わせてお薬を服用することも症状を緩和させるのに有効です。不安や憂うつ感がつらい場合には、医師の判断によって抗うつ薬や精神安定薬などを用います。PMSそのものを改善する治療ではありませんが、症状をやわらげる効果が期待できます。
また、漢方薬を用いることもあります。一般的に、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん)などが処方されます。体質に合わせて漢方薬を選ぶことが大切ですので、医師と相談しながら服用するお薬を決めていきます。
低用量ピルを服用する
低用量ピルは、2種類の女性ホルモンを配合した薬です。排卵を抑制してホルモンの変動を少なくすることで、PMSを軽減する効果が期待されています。
眠気がひどいだけでも婦人科に相談してみよう
生理前の眠気がひどくても、どうしようもない、と諦めていませんか?
眠気をはじめとする、毎月悩まされるPMSは病気のひとつであり、さまざまな治療法があります。生理前の眠気で日常生活に支障をきたしているようなら、婦人科を受診して医師に相談してみましょう。
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参考資料
大坪天平. 精神科からみた PMS/PMDD の病態と治療. 女性心身医学. 2018 Mar;22(3):258–265.
松本欣三, etc. ストレスと睡眠・情動障害: 神経ステロイド・アロプレグナノロン系の関与. 日本薬理学雑誌. 2005;126(2):107–112.