「生理になると、どうしても旦那にイライラしてしまう」
「どうすればこのイライラを抑えることができるの?」
生理中は、すぐにイライラしてしまうという人も多いのではないでしょうか。相手に優しくしたいと心の中では思っているのに、どうしても人や物に当たってしまうことがあります。生理がくるたびに家族や友人、パートナーなどと喧嘩し、「またやってしまった…」と後悔するということを繰り返している人もいるかもしれません。
いったいなぜ、生理中はイライラしやすくなるのでしょうか。今回は、生理中にイライラする原因や、対処法について詳しく解説します。
なぜ生理中にイライラするの?
生理中にイライラしやすくなる原因としては、大きく分けて精神的な要因となっている場合と、ホルモンバランスの変化が要因となっている場合の2種類があります。
精神的な要因は、人間関係がうまくいかなかったり仕事でストレスがたまったりするときにイライラすることを指します。生理中は生理痛や出血があること、デリケートゾーンのムレなどもストレスと感じることがあるかもしれません。
また、ホルモンバランスの変化が要因の場合、本人の意思とは関係なくイライラしてしまう人が少なくありません。生理周期に伴って、女性ホルモンのバランスは大きく変化します。生理前には分泌される女性ホルモン量が急激に減り、PMS(月経前症候群)となることがあります。PMSの症状には精神的症状が挙げられます。
PMSは生理が始まると軽くなったりなくなったりしますが、生理が始まったばかりの時はまだその影響を受けている可能性も考えられます。
月経困難症とPMSの違い
生理に伴いつらい症状が現れる場合、生理前はPMS(月経前症候群)、生理中は月経困難症の可能性があります。生理前から生理中まで同じような症状が続いているという人もいるかもしれませんが、これらの違いについても解説します。
PMSの原因と症状
PMSとは、生理前の3~10日間にわたって起こる身体的あるいは精神的な症状のことです。一般的には生理がくると症状が減弱したり消えたりするといわれています。症状は人それぞれですが、次のようなものが代表的です。
〈身体的な症状〉
- 腹痛
- 頭痛
- 腰痛
- むくみ
- お腹の張り
- 乳房の張り
- のぼせ
- 食欲不振
- 過食
- 倦怠感
〈精神的な症状〉
- 情緒不安定
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
PMSの原因についてはまだはっきりとしたことが分かっていません。一説によると、生理前に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が急激に低下することが引き金になり、さまざまな影響を及ぼしているのではと考えられています。
月経困難症の原因と症状
月経困難症とは、生理に伴って起こる病的な症状のことです。下腹部痛や腰痛、疲労、脱力感、食欲不振、そしてイライラなどの症状がみられます。
大きく器質性月経困難症と機能性月経困難症に分けられ、子宮内膜症や子宮筋腫など何らかの疾患が原因となって起こるものが器質性月経困難症、とくに疾患がないにもかかわらず起こるのが機能性月経困難症です。
器質性月経困難症の場合は、子宮腺筋症や子宮の形状異常などが原因となっていることもあります。
生理中のイライラを抑える方法
イライラしたくて周りの人に当たってしまう人はいません。「なんでこんなにイライラしてしまうのだろう…」と自分を責めてしまう人もいるでしょう。生理中にイライラしやすいときの対処法をいくつかご紹介します。
イライラの原因を考える
イライラしやすい人は、どのような理由で何にイライラしているのか原因を明確にしてみましょう。イライラの原因を解消することで、周りの人に当たってしまうことが少なくなる可能性があります。原因を取り除くことがまずは大切です。
とはいえ、原因が周りの行動だったり人間関係だったりする場合は、解消するのが難しいかもしれません。そのようなときは、生活する環境を変えたり、相手から言われたことの受け取り方を見直してみたりしてみるとよいでしょう。
生活習慣を見直す
イライラを解消するためには、ストレスを解消することも重要です。日頃からストレスを溜め込まないように、次のことに気をつけて過ごしてみてください。
- 十分な睡眠時間を確保して身体的、身体的疲労を回復させる
- 十分な休養をとる
- ウォーキングやジョギングなどの運動をしてストレスを発散する
- バランスの良い食事を心がける
- アルコールやカフェインを摂りすぎない
- 入浴したり好きな音楽を聴いたりしてリラックスする時間をとる
漢方薬を服用する
機能性月経困難症が原因でイライラする場合は、漢方薬の服用が有効なケースがあります。治療に使われる漢方薬は、次のようなものが代表的です。
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
漢方は飲み続けることで効果を発揮するため、4週間から12週間ほど続けて服用すると症状の改善が期待できるといわれています。
低用量ピルを服用する
低用量ピルの服用によってイライラを抑えられる可能性があります。月経困難症やPMSの症状を改善する効果が期待できる低用量ピルは、生理に関係する卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが配合されたお薬です。ホルモンバランスを整え、生理に伴うつらい症状の改善効果が期待できます。
イライラがひどくなる前に早めに受診しよう
「どうしてこんなにイライラするの?」と悩んでいる女性は多くいます。自分の感情をコントロールできず、泣いてしまう人もいるかもしれません。生理中にイライラしやすくなるのは、精神的な要因やホルモンバランス的な要因が原因だといわれています。
女性は生理周期に伴ってホルモンバランスが変化するので、自分の意思とは関係なく、精神的・身体的な症状が出てしまう人もいます。生理中のイライラはお薬で改善することもできる可能性があるので、気になる人は一度婦人科で相談してみてください。
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参考資料
産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020