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PMSの症状は低用量ピルで改善する?効果や副作用、効かない場合やピル以外の対処法を紹介

「PMSの症状は低用量ピルで改善すると聞いたけど本当?」

「低用量ピルは何となく怖いイメージがあるけど、副作用はないの?」

低用量ピルは、PMSの症状を軽減するのに有効だといわれています。しかし、低用量ピルを服用することに抵抗を感じている人、本当に効果があるのか不安に思っている人もいるでしょう。

そこで今回は、PMSの症状は低用量ピルで改善する理由や低用量ピルの副作用などについて詳しく解説します。低用量ピル以外の方法でPMSを改善する方法も紹介しているので、参考にご覧ください。

PMS(月経前症候群)とは

PMSとは、生理前の3~10日間にわたって起こる身体的・精神的な症状のことです。生理がくると、PMSの症状は軽減したり消失したりするとされています。生殖年齢女性の約70~80%で生理前になんらかの症状が現れるといわれていることから、生理周期に伴う症状に悩まされている女性は少なくはないといえるでしょう。

PMSの症状

PMSの症状には、大きく分けて身体的症状と精神的症状の2つがあります。

〈身体的症状〉

  • 乳房の張り
  • 腹部膨満感
  • 頭痛
  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • 体重増加
  • むくみ

〈精神的症状〉

  • 抑うつ
  • 怒りの爆発
  • イライラ
  • 不安
  • 混乱
  • 社会的引きこもり

PMSの原因

PMSの原因については、まだはっきりとしたことが分かっていません。現段階では、排卵が起こってから生理が始まるまでの黄体期と呼ばれる期間の後半になると、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が急激に低下することがPMSと関係しているのではないかと考えられています。

PMSの症状が低用量ピルで改善する理由

PMSの症状が低用量ピルで改善するのは、低用量ピルの服用によって卵胞ホルモンや黄体ホルモンの分泌量の変動を少なくできるためです。低用量ピルには、2種類の女性ホルモンが含まれています。外から女性ホルモンを補充することで、体内の女性ホルモンの増減をゆるやかにできるのです。

なお、低用量ピルの服用を止めると、女性ホルモンのバランスが元に戻るため、PMSの症状が再発する恐れがあります。基本的に低用量ピルの服用は止めたいと思ったときに止められますが、PMSが再発する可能性があることを覚えておきましょう。

低用量ピルの服用方法と注意点

低用量ピルは、PMSの症状を改善する効果が期待できるお薬です。服用することで毎日の生活が楽になる人もいるでしょう。しかし、低用量ピルを服用するにあたって、いくつか注意点もあります。

服用方法

低用量ピルにはさまざまな種類がありますが、服用方法はどれも同じです。1日1回、毎日ほぼ同じ時間に1錠を服用してください。一定の時間に服用する必要があるため、朝食後や寝る前など飲み忘れにくい時間を自分で決めて服用するとよいでしょう。

副作用

低用量ピルを服用しているときに気をつけたいのが、血栓症の副作用です。血栓症になると、血液の一部が固まって肺塞栓症や脳梗塞、心筋梗塞などを起こすことがあります。このほか、副作用として次のものが知られています。

  • 性器出血
  • 下腹部痛
  • 悪心・嘔吐
  • 頭痛
  • 片頭痛
  • 乳房不快感
  • 便秘
  • 下痢
  • 傾眠
  • 浮腫
  • うつ病

副作用がつらくて低用量ピルの服用を継続するのが難しいと感じた場合は、処方してもらった医師に相談しましょう。

服用できない人

次のような人は低用量ピルを服用することができません。該当する人は、低用量ピル以外のお薬を使った治療も検討してみてください。

  • 乳がんや子宮内膜がんなど、エストロゲン依存性悪性腫瘍がある人
  • 診断が確定していない異常性器出血がある人
  • 肺塞栓症や脳血管障害などがある人
  • 35歳以上で1日15本以上の喫煙をしている人
  • 前兆がある片頭痛がある人
  • 重篤な肝障害や腎障害がある人
  • 高血圧の人
  • 妊娠または妊娠している可能性がある人
  • 授乳中の人

このほかにも低用量ピルを服用できないケースがあるため、事前に医師としっかり相談して問題がないことを確認してから服用を始めることが大切です。

PMSの症状が低用量ピルで改善しないと感じたら(200~300)

PMSの症状を改善するために低用量ピルを飲み始めたのになかなか効果が出ない、という人もいるでしょう。人によっては、1シートや2シート目では十分な効果が出ないことがあります。

このような場合、まず3シートは続けて服用してみてください。継続して服用することで効果が現れることがあります。

また、低用量ピルで改善しないと感じたら、PMSではなくPMDD(月経前不快気分障害)の可能性もあるかもしれません。PMDDとは、抑うつやイライラなど精神症状がとくに強く出るもののことです。低用量ピルの種類によっては、PMDDにはあまり効果が出ない場合があります。

低用量ピル以外のPMSの治療法

低用量ピルを服用したくてもできない、副作用がつらくて継続できなかったという人もいるでしょう。PMSの症状を軽減する治療法は、何も低用量ピルだけではありません。低用量ピルを服用できない人、身体に合わない人はほかの治療法も検討してみてください。

食事や運動習慣の見直し

食事や運動習慣の見直しによってPMSの症状が改善する場合があります。カルシウムやビタミンB6、マグネシウムの摂取はPMSの症状を緩和させる可能性があるといわれているため、意識して摂取してみるとよいでしょう。

また、適度な運動もPMSの改善に良いといわれています。無理をしない程度に身体を動かしてみてください。運動はストレス解消にもつながり、不安感や疲労感の軽減にも効果があると考えられています。

利尿薬や漢方薬の服用

浮腫や乳房の張りに対して、利尿薬を使うこともあります。利尿薬は、身体に溜まっている余分な水分を尿と一緒に排泄するお薬です。対症療法とはなりますが、一時的に症状を楽にできる可能性があります。

また、漢方薬を使った治療が行われることも少なくありません。漢方薬にはさまざまな種類があるため、自分の体質に合ったものを服用することが大切です。代表的な漢方薬には次のものがあります。

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 五苓散(ごれいさん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

抗不安薬の服用

精神症状が気になる場合は、抗不安薬が有効なこともあります。また、抗うつ薬の一つであるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)もPMSの改善に効果があるといわれています。婦人科で処方してもらうこともできますが、精神症状が強いときは精神科や心療内科を受診したほうがよいでしょう。

低用量ピルで不安な人はスマルナに相談しよう

低用量ピルは、女性ホルモンの分泌量を一定に保つ働きがあるため、PMSの改善に有効だといわれています。自分に合う低用量ピルを服用することで、PMSに悩まされない明るい毎日を送ることができるでしょう。

しかし、人によっては低用量ピルの服用が向いていなかったり、そもそも体質的に服用できなかったりすることもあります。そのような場合は、漢方薬や抗不安薬などを使った治療も検討してみてください。

スマルナでは、一人ひとりに合ったピルを必要に応じて医師がオンラインで処方します。「スマルナ医療相談室」では、助産師や薬剤師に365日いつでも相談ができるので、こちらもぜひご利用ください。



参考資料

産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2023

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS) ? 公益社団法人 日本産科婦人科学会

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