生理中でもないのにお腹が痛くなることはありませんか?排卵日前後に痛みが起きる場合は、排卵痛の可能性があります。生理痛以外にも痛みがあると、仕事やプライベートにも支障をきたすため、両方を充実させるためにも避けたいところですよね。
当記事では、排卵痛を和らげるために飲んでいい薬と対処法を解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
排卵痛とは
排卵痛とは、排卵が起こる際に生じる痛みのことと、言われています。ホルモンの作用により卵子を包んでいる卵胞が2cmほどに成熟すると、卵胞は破れて卵子が卵巣から放出される「排卵」が起こります。このとき卵巣の膜が破れるため、痛みを伴う場合があると考えられています。
多くの場合、排卵痛の痛みは軽い腹痛程度ですみますが、ストレスや体質などによって腰痛が起きたり、痛みの度合いが強くなったりすることもあるので注意が必要です。
まれに、排卵によって破れた卵巣膜から出血することがあり、強い腹痛や腰痛を起こします。出血が多い場合は手術が必要になることもあります。
排卵痛に効く鎮痛薬の種類
排卵に伴う痛みがつらい場合、鎮痛薬を使うのも良いでしょう。普段、生理痛を抑えるために使っている鎮痛薬でも、排卵痛を和らげることが可能と考えられます。鎮痛薬は医師の診察を受けて処方してもらう以外にも市販薬を購入する方法があります。
こちらでは、排卵時に生じる痛みの緩和が期待できる鎮痛薬の種類について解説します。
ロキソプロフェンなどのNSAIDs
ロキソプロフェンやイブプロフェンなど医療用医薬品や市販薬で流通している鎮痛薬の多くはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類されています。NSAIDsは、痛みや熱、炎症などを引き起こす体内物質「プロスタグランジン」が作られないようにして痛みを抑制します。プロスタグランジンは子宮を収縮する働きがあり、過剰に分泌されると生理痛を引き起こすので、生理痛を抑えるときにもNSAIDsが使われます。
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、NSAIDsと同様にプロスタグランジンの生成を抑制することで痛みを抑えると考えられています。NSAIDsに比べるとアセトアミノフェンは副作用が少ないので、胃痛などNSAIDsの副作用が気になる人におすすめです。
多くのNSAIDsは、15歳未満の子どもに対して使用が推奨されていませんが、アセトアミノフェンの成分量によっては15歳未満への使用が認められているのが特徴です。
鎮痛薬を服用する上での注意点
鎮痛薬には副作用が現れることがあり、NSAIDsの代表的な副作用として胃痛や胃の不快感などがあります。アセトアミノフェンも比較的副作用が少ないとされていますが、気分が悪くなったり、肝臓に負担がかかったりすることもあるので注意が必要です。鎮痛薬を使用して体調に変化が起こった場合は、鎮痛薬の使用をやめて医療機関へ受診してください。
鎮痛薬によっては薬の作用に影響する可能性があるので注意が必要です。また、鎮痛薬と風邪薬の中には成分が重複していることもあります。持病や風邪などで薬を服用している場合は、鎮痛薬を使用する前に医師や薬剤師などの専門家に相談した方が良いでしょう。
妊娠中に鎮痛薬を使用すると、お腹の赤ちゃんの発育に影響する可能性もあるため、妊娠の心当たりがある場合は婦人科へ受診することをおすすめします。
排卵痛を和らげるほかの対処法
排卵痛の痛みが強く出ると仕事や趣味にも集中できなくなり、日常生活にも影響します。鎮痛薬を服用することで排卵痛を抑えることも可能ですが、鎮痛薬以外にも症状を和らげる方法があります。
ストレスを解消する
排卵痛は、ストレスによって痛みが強くなることがあります。仕事や人間関係などストレスの原因はさまざまですが、ストレスの原因から離れてみるのも良いでしょう。休日には仕事のことを忘れて趣味に没頭したり、親しい人や家族とゆっくり過ごしたりしてストレスを溜め込まないようにすることが排卵痛を和らげるためにも重要です。
低用量ピルを服用する
低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を配合した医薬品です。低用量ピルを正しく服用すると、排卵が抑制されます。そのため、排卵痛を和らげることができると考えられます。
また、低用量ピルは生理痛やPMS、月経困難症などの生理に伴うつらい症状の改善が期待できるとされています。低用量ピルの服用をやめると生理も再開し、将来の妊娠にも影響はないので、生理に伴う症状や排卵痛で悩んでいる場合は低用量ピルの服用がおすすめです。
いつもより痛い排卵痛は病気の可能性も
少しお腹が痛む程度の排卵痛の場合、鎮痛薬や低用量ピルなどを服用することで対処できますが、痛みが通常より強い場合は病気が隠れている可能性があります。
いつもより排卵痛が強い場合は以下の病気の可能性もあるので、婦人科で検査を受けた方が良いでしょう。
子宮内膜症
子宮内膜症は、何らかの要因によって子宮の内側以外で子宮内膜が発生する疾患です。20〜30代の女性で発症することが多く、経血がうまく排出されなかったり、臓器どうしが癒着したり子宮組織に癒着したりすることで痛みが起こります。放置していると不妊症の原因にもなるので、将来的に妊娠を希望している場合は、早期の治療が必要です。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣嚢腫は、卵巣に発生した腫瘍であり、大きいもので30cmを超えることもあります。卵巣嚢腫を発症するとお腹が張って苦しくなったり、下腹部痛や頻尿が起きたりします。腫瘍が破裂したり、茎捻転(けいねんてん)という腫瘍がねじれた状態になったりすると強い痛みが生じます。
卵巣嚢腫が悪性腫瘍だった場合は、手術や抗がん剤による化学療法が治療の選択肢となります。生存率を高めるためにも早期治療が重要です。
卵巣出血
排卵日に強い痛みが生じる場合、卵巣出血の可能性があります。卵巣出血にはいくつか原因がありますが、排卵に伴って断裂した血管から出血する場合があります。出血の程度により、痛みは様々です。出血が多かったり、痛みが強かったりする場合は、手術が必要になることもあります。
排卵痛でお悩みのかたはスマルナに相談しよう
ホルモンの作用によって、成熟した卵胞が破れて、卵子が卵巣から放出される「排卵」が起こります。排卵によって卵巣の膜が破れることで腹痛が起きる「排卵痛」を感じることもあり、ストレスや体質などによって痛みが強く出ることもあります。
排卵痛が起きたときは、NSAIDsやアセトアミノフェンなどの鎮痛薬や低用量ピルを服用することで痛みを和らげることもできるので、ひとりで我慢せずに婦人科に受診するようにしましょう。
スマルナでは薬剤師や助産師に無料で相談でき、専用のアプリを通して医師の診察も受けられます。排卵痛がひどくて悩んでいる方は、ぜひスマルナにご相談ください。
参考資料
第 3 回「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編」コンセンサスミーティング