月経困難症に低用量ピルが効く理由は?ピルの種類や副作用、値段も紹介
「生理痛がひどくて仕事に集中できない」「生理痛の影響で勉強に支障が出ている」とお悩みはありませんか?生活に支障が出るほど生理痛が強い場合は、月経困難症の可能性があるかもしれません。
月経困難症の改善に効果があるといわれているのが、低用量ピルです。低用量ピルは避妊に使うイメージがあるかもしれませんが、実は月経困難症の緩和に役立つことがあります。
今回は、低用量ピルを服用することで月経困難症を改善できる理由をみていきましょう。低用量ピルの種類や副作用、値段も紹介しているので参考にご覧ください。
月経困難症は2種類に分けられる
月経困難症とは、生理に伴って起こる病的な状態のことです。下腹部痛や腰痛、腹部膨満感や吐き気、頭痛などの症状がみられることがあります。
月経困難症は治療によって症状を改善できる可能性があるので、気になる人は婦人科で相談してみましょう。月経困難症は、お薬による治療や原因となる病気がある場合にはその病気の治療をしながら対応していくのが一般的です。
機能性月経困難症
機能性月経困難症とは、特定の疾患がないにもかかわらず起こる月経困難症のことです。プロスタグランジンの働きによって子宮が過度に収縮することが原因だといわれています。
プロスタグランジンは子宮を収縮させ、はがれた子宮内膜を外に押し出すのに必要な物質です。生理を引き起こすのに必要な物質ですが、過剰に分泌されると生理痛を強く感じる原因となってしまいます。
器質性月経困難症
器質性月経困難症は、何らかの病気が原因で起こる月経困難症です。原因となる病気には、次のようなものがあります。器質性月経困難症の場合は、まず原因になる病気を治療することが大切です。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮腺筋症
- 卵巣のう腫
- 骨盤癒着
- 頚管きょうさく
- 骨盤内炎症性疾患
- 先天性器奇形
月経困難症に低用量ピルが効く理由
月経困難症の改善には、低用量ピルが有効だといわれています。低用量ピルを服用すると、子宮内膜が通常より薄く保たれるようになるので一般的に経血量が減るとされています。このことに伴い生理痛が軽くなることが期待できるといわれています。
実際に月経困難症の人に低用量ピルや中用量ピルを服用してもらった研究では、プラセボを服用したグループや無治療のグループと比べて生理痛を改善する効果が高かったことが分かっています。
低用量ピルの服用は、「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」でも推奨されている治療法です。
低用量ピルについて
低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが含まれているお薬です。この女性ホルモンの働きにより、月経困難症を改善する効果が期待されています。
種類
低用量ピルには、さまざまな種類があります。どの低用量ピルにも卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれていますが、黄体ホルモンの種類はお薬によってさまざまです。黄体ホルモンの種類によって、低用量ピルは第一世代から第四世代まで分けられます。
世代 | 黄体ホルモンの種類 |
第一世代 | ノルエチステロン |
第二世代 | レボノルゲストレル |
第三世代 | デソゲストレル |
第四世代 | ドロスピレノン |
また低用量ピルには1相性と3相性のものがあります。
1相性のピルは実薬に含まれているお薬の成分の量がすべて同じです。
3相性のピルは実薬に含まれているお薬の成分の量が3段階に変化します。
このほか実薬が21錠と休薬を7日間設ける21錠タイプ、実薬21錠と偽薬7錠の28錠タイプのピルがあります。
※偽薬とは「お薬の成分が入っていない錠剤」
※休薬とは「何も飲まないこと」を指します。
服用方法
服用方法は、21日シートと28日シートでやや違いがあります。
〈21日シート〉
1日1回、1回1錠を毎日できるだけ同じ時間に服用してください。連続して21錠を服用したら、その後7日間は休薬します。休薬期間は何も服用する必要はありません。休薬期間が終わったら、また1錠目から飲み始めましょう。
〈28日シート〉
1日1回、1回1錠を毎日できるだけ同じ時間に服用してください。連続して21錠を服用したら、偽薬(お薬の成分が入っていない錠剤)を服用します。ピルは休薬期間のどこかで生理が来るように設計されています。
生理の出血が続いているかどうかにかかわらず、休薬偽薬の期間が終わったら、また1錠目から飲み始めましょう。
副作用
重大な副作用として、血栓症が知られています。血栓症とは、血液の一部が固まって詰まってしまう病気のことです。このほか、次のような副作用も報告されています。
- 吐き気
- 頭痛
- 乳房痛
- 浮腫
- めまい
- 眠気
- 下痢
- 不正出血
また通常、副作用は3ヶ月以内に消失することが多いと言われています。
値段
低用量ピルの値段は、種類や処方日数などによって変わります。
また、保険診療か自由診療でも異なります。
医師の診断を受けて月経困難症の治療に用いられる低用量ピルを服用する場合は保険適用になるため、全額自己負担になることは基本的にありません。
1~3割負担で低用量ピルを服用することができます。
自由診療の場合は自己負担は10割となります。
服用する上での注意点
低用量ピルは月経困難症の改善に効果があるといわれているお薬ですが、すべての人が服用できるわけではありません。次のような人は低用量ピルを服用できないので注意しましょう。
- 診断の確定していない異常性器出血がある人
- 血栓性静脈炎や肺塞栓症などがある人
- 35歳以上で1日15本以上喫煙している人
- 重篤な肝障害がある人
- 血栓ができやすい素因がある人
- 高血圧の人
- 前兆を伴う偏頭痛がある人
低用量ピルが効かないと感じたら
人によっては、低用量ピルを服用しても月経困難症の症状が思うように改善しないケースがあります。
飲み始めのタイミング
低用量ピルを飲み始めてすぐのタイミングは、まだ体内のホルモンバランスが安定していません。服用を始めて1~3か月ほどで身体が慣れてくるといわれているので、まずは3シートほど服用を続けてみましょう。
3シート服用しても症状が改善しない場合は、低用量ピルの種類が合っていない場合があるので医師に相談してみてください。
ピル以外の方法を試す
月経困難症は、低用量ピルを服用する方法以外にも治療法があります。たとえば市販で購入できる漢方薬です。漢方薬を服用することで月経困難症の症状を改善できる可能性があるといわれています。代表的な漢方薬は、次のとおりです。
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
このほか、子宮発育不全が原因で月経困難症が起こっている場合は、鎮痙剤ブチルスコポラミン臭化物を用いることもあります。
処方医に相談する
低用量ピルを服用しても月経困難症が改善しない場合は、処方医に相談してみるのもおすすめです。低用量ピルの種類を変えてもらえたり、ほかの治療法を提案してもらえたりするので、自分に合った治療法を見つけやすくなります。
低用量ピルをもっと知りたい人はスマルナに相談しよう
低用量ピルを服用すると、子宮内膜が通常より薄く保たれるようになるので一般的に経血量が減るとされており、それに伴い生理痛が軽くなることが期待できるといわれています。
低用量ピルにはいくつか種類があるため、自分に合うものを服用しましょう。まずは産婦人科で生理痛について相談してみてください。
スマルナでは、さまざまな種類の低用量ピルを取り扱っています。近くに婦人科がない人、気軽に受診したい人はぜひスマルナをご活用ください。
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参考資料