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PMSの異常な眠気はなぜ?原因や対策、ピルや漢方を用いた治療法を紹介

夜にしっかり寝ていたはずなのに日中も眠気を感じる…特に生理前の眠気がひどくてお困りではありませんか?

生理前の眠気は、PMS症状のひとつとして知られています。今回は、そんなPMSと眠気の関係や、その対処法について説明します。PMSの眠気にお悩みの方は、ぜひご一読ください。

PMSと眠気の関係性

PMSとは、生理前に3〜10日程度にわたって続く、身体的・精神的にさまざまな不調のことで、「premenstrual syndrome」を略してPMSと呼びます。生理が始まると症状が軽くなったり、消失したりすることが特徴です。これは女性ホルモンの変動による影響と考えられており、人によって現れる症状は異なりますが、眠気はPMSの代表的な症状のひとつです。 

女性の身体では、排卵後から生理が始まるまでの期間(黄体期)に、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が増加します。このとき、黄体ホルモンが体内で分解されて「アロプレグナノロン」という物質に変わり、これが脳内で抗不安作用や鎮静作用を示すことで眠気を感じると考えられています。

仕事などに支障をきたす場合は医療機関に受診を

たかが眠気といえど、あまりにもひどい場合は、日常生活にも支障をきたしてしまいます。生理前の眠気でお困りの方は、婦人科を受診することをおすすめします。必要に応じて、生活指導、低用量ピルや症状に合わせた薬による治療が行われます。

PMSの薬による治療方法

眠気だけではなく、日常生活に支障をきたすほどにPMS症状がひどい場合は、お薬による治療が行われます。具体的には以下のようなものです。

ピルなどの排卵抑制療法

低用量ピルは、2種類の女性ホルモンが配合されたお薬です。先に説明したように、PMSは女性ホルモンの変動による影響と考えられています。そのため、低用量ピルを服用することで排卵を抑制し、女性ホルモンの変動を抑えることで、PMSの改善が期待できます。

症状に対する治療

PMSとして眠気以外にも症状が現れる場合は、気になる症状に合わせた対症療法が行われます。例えば、頭痛や下腹部痛には鎮痛薬、不安や憂鬱感には抗うつ薬や精神安定剤などが用いられます。PMSそのものを改善するわけではありませんが、症状を緩和させて日々の生活への影響を小さくします。

漢方薬を用いた治療

古くから、女性特有の不調に対して漢方薬が用いられてきました。一般的にPMSに対して、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などが処方されます。

漢方薬は体質に合ったものを選ぶことが重要です。医師と相談しながら、自分の体質に合った漢方薬を見つけていきましょう。

市販薬を用いたセルフメディケーション

PMSに対して効果が期待できるお薬は、市販されているものもあります。手軽にドラッグストアなどで手に入れることができますので、医療機関を受診する時間がない方や、気軽にPMSの対策を始めてみたい方におすすめです。

具体的には、西洋ハーブのチェストベリーはPMSの症状を改善する効果があると確認されており、医薬品として販売されています。ただし、チェストベリーは摂取後お身体の中で女性ホルモンに影響することが知られていますため、低用量ピルとの併用はおすすめできません。

低用量ピルに限らず他にお薬を服用している方は、飲み合わせに問題がないか、医師や薬剤師に必ず服用前に相談するようにしましょう。

薬以外の日常生活でできる対策

お薬の服用以外にも、日常生活の中でPMS症状の改善が期待できる対策があります。いくつかご紹介しますので、日々の生活の中でできることから取り組んでみましょう。

睡眠環境の改善

何かと忙しい現代の生活では、十分な休息が取れていない可能性があります。まずは睡眠環境の改善を図りましょう。一般的に、理想の睡眠時間は67〜9時間程度といわれています。自分にとって最適な睡眠時間の確保に加えて、規則正しい睡眠リズムを整えることが重要です。起床時間や入眠時間を揃えるように意識することで、日々の生活の中で自然と眠りやすいリズムが生まれます。寝つきが悪い方は、リラックスする香りのアロマオイルなどを使ってみるのもおすすめです。

タバコ・お酒・コーヒーはなるべく控える

タバコやお酒、コーヒーなどの嗜好品は生活に欠かせないという人も多いと思いますが、いずれも刺激物です。できるだけ控えるようにしましょう。カフェインの摂取や喫煙は、PMSがひどくなる原因にもなります。

お酒の飲みすぎも要注意です。生理前は、女性ホルモンの影響でいつもに比べるとアルコールが分解されにくくなるため、酔いやすくなります。アルコール摂取はPMSのリスクを高めるといった報告もあるため、なるべく控えるようにしましょう。

甘いものの食べ過ぎに注意

生理前は甘いスイーツが食べたくなるかもしれませんが、食べ過ぎると急激な血糖値の上昇を招きます。血糖値が急に上がったり下がったりすると、イライラや眠気、過食につながります。甘いスイーツは適度な量で止めるようにしましょう。

ぬるま湯や蒸しタオルでリラックスを

ストレスフルな生活は、PMS症状を悪化させることがあります。この現代で全くストレスのない生活を送ることは難しいですが、避けられるストレスは避け、リラックスする時間を確保するようにしましょう。ぬるま湯に浸かったり、蒸しタオルを首元などに当てて温めると、副交感神経が活発になり、リラックス効果が期待できます。自分なりのリラックス方法を見つけてみましょう。

ストレッチや適度な運動をおこなう

定期的な運動習慣は、PMSの対処法のひとつでもあります。普段、全く運動習慣がない方にとってはハードルが高いかもしれませんが、日常生活の中でできるだけ階段を使う、歩く時間を増やしてみるなど、少しでよいので意識することから始めましょう。軽いストレッチやウォーキングなどを行うと、ストレス発散にも効果的です。

PMSの症状でお悩みの人はスマルナに相談しよう

PMSで悩まされる女性は多く、生理がある女性のうち約70~80%は生理前に何らかの不調を抱えているといわれています。

眠気をはじめとする、毎月悩まされるPMSは病気のひとつであり、さまざまな治療法があります。PMS症状で日常生活に支障をきたしているようなら、婦人科を受診して医師に相談してみましょう。

眠気が気になるだけで受診なんて…と受診に対してハードルが高いと感じる方は、ぜひ「スマルナ」のサービスをご活用ください。

スマルナでは、助産師・薬剤師が365日、ピル・PMS・生理・避妊などのお悩みを無料で相談することができます。

スマルナアプリからチャットで簡単にメッセージが送れますので、気になる症状がある場合や、病院を受診したほうがいいか悩んでいる場合など、ぜひお気軽にご相談ください。


参考資料

産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2023

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)|日本産科婦人科学会

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