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婦人科でのPMSの診察内容とは?治療内容や受診タイミングを紹介

生理の予定日が近づくとイライラしたり、お腹が痛くなったり心身ともに不調になることはありませんか?もしかすると、それらの不調はPMSが原因かもしれません。

PMSは、身体の不調以外にも心の不調も伴うので、つらい思いをする女性が多くいます。我慢をせずに早めに医療機関で相談することが大切です。

今回は、PMSの治療内容や受診のタイミングについて解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

PMSとは

生理前3〜10日前から続く精神的、身体的な症状の中でも生理が始まると症状が治るのがPMS(月経前症候群)です。症状として情緒が不安定になる、不安感、眠気、睡眠障害、めまい、食欲不振、腹痛、頭痛などがあります。PMSの中でも精神症状が強くあらわれているものはPMDD(月経前不快気分障害)といわれています。PMS、PMDDともに医師の診察を受けたうえで出る診断名です。

PMSの原因については、女性ホルモンの変動が関わっているのではないかとされていますが、未だ原因解明には至っていません。排卵から生理までの間に女性ホルモンが多く分泌されますが、生理前になると女性ホルモンの分泌が急激に低下します。女性ホルモンの急激な変動によって脳内の神経伝達物質に異常が起きると考えられています。

婦人科での診察内容

婦人科では、問診や検査などをもとに、診断基準に基づいて診察します。米国産婦人科学会のPMS診断基準によると、過去3回の連続した生理周期において生理前5日間に精神的症状(抑うつ、いらだち、不安など)や身体的症状(乳房の張りや腫れ、お腹の張り、頭痛など)のうち少なくとも一つが存在すればPMSと診断できるとされています。

また、PMSと似たような症状がみられる病気との判別や他の病気が隠れていないか診察を通して医師が確認します。PMS以外にも月経困難症や子宮内膜症には下腹部痛などPMSと似た症状がみられます。PMSの精神症状についてもうつ病など精神疾患と判別することも重要です。

医療機関や医師の判断によって異なりますが、PMSの治療法としてカウンセリングや生活指導、運動療法、薬物療法などさまざまなものがあります。

婦人科と心療内科どちらに受診すべき?

PMSの精神症状が強くあらわれている場合、医師の診察を受けた上でPMDDと診断名される可能性もあります。PMDDは、抑うつや不安などの精神症状が強くみられ、日常生活や社会生活にも影響する場合は治療対象です。精神症状が強く出ている場合は心療内科や精神科へ受診するのもおすすめです。

また、婦人科へ受診した場合でも必要に応じて婦人科から心療内科や精神科へ紹介されることもあります。

同じように心療内科などから婦人科へ紹介されることもあるかもしれません。

もし日常生活や社会生活にも影響するような症状が起こっている場合は、我慢せずにまずは医療機関を受診してみましょう。

PMSの治療方法

PMSには精神的、身体的にさまざまな症状がみられるため、症状に合わせた治療方法が存在します。

こちらではPMSの治療方法について紹介します。

カウンセリング・認知行動療法

PMSに対してはカウンセリングや認知行動療法という心理的アプローチが行われることもあります。

その一つに症状日記をつけることがあります。

症状の記録を日記に付けることで、症状がみられる頻度や症状が出る時期、症状の強さなどのパターンを把握します。生理前にみられる症状への理解が深まっていくので、症状が楽になることがあります。

また日記をつけて症状が出るパターンを知ることで、症状が強くみられるときにはあらかじめ仕事を調整するなど、日常生活でもゆっくりと休める環境を整えることができるようになります。

ストレスによってPMSが重症化することもあるので、カウンセリングや生活指導と同時に行い、PMSの症状や自身の状態を認識することから始めます。

生活指導

PMSに対して生活指導が実施されることもあります。

アルコールの摂取を制限し、禁煙、規則正しい睡眠や生活、定期的な適度の運動を行うことも一定の効果があるとされています。

その他にも、マグネシウムの摂取なども症状を緩和させる可能性があると言われています。

低用量ピルを服用する

低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンが配合されているお薬です。

排卵を抑える働きがあり、女性ホルモンの変動を少なくする作用があります。

生理前にみられる精神的不調の原因として女性ホルモンの影響を受けて起こっている可能性が考えられています。

そのため低用量ピルには避妊効果のほかに、PMSなどの生理前にみられる症状を緩和する可能性があると言われています。

排卵を抑える働きは低用量ピルを服用している期間だけなので将来の妊娠にも影響しません。

低用量ピル以外のお薬

PMSには低用量ピル以外のお薬が使われることもあります。症状にあわせて治療薬が選択されるので、医師に対して症状を正確に伝えることが重要です。

こちらでは、低用量ピル以外のお薬について説明します。

鎮痛薬

PMSに伴う腹痛や腰痛、頭痛などの痛みに対して鎮痛薬が使われます。PMSに使われる主な鎮痛薬としてNSAIDsとアセトアミノフェンがあります。

NSAIDsは、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどがあり、痛みや発熱、炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑制する医薬品です。プロスタグランジンは、子宮収縮させる物質でもあり、生理痛の原因でもあるためNSAIDsは生理痛にも使われます。

アセトアミノフェンは、NSAIDsに比べると副作用が少ないという特徴があります。NSAIDsは、胃に負担がかかるという特徴があるため、気になる方はアセトアミノフェンを選んでも良いでしょう。

漢方薬

漢方薬は、体質や症状などをみて東洋医学的な考え方の「証」をもとに薬を選びます。体質に合わない漢方薬を選ぶと症状が悪化する可能性もあるので、医師と相談することが大切です。

利尿薬

PMSであらわれるむくみに対しては、利尿薬が使われます。利尿薬は、体内の余計な水分を尿として体外へ排出する働きがあります。水分が多く排出されることもあるので、医師の指示に従った方法で服用するようにしましょう。

精神安定剤

PMSによって起こる不安や不眠などについては精神安定剤SSRI(選択的セロトニン再取り込み薬)などの医薬品が使われることがあります。

受診するタイミング

生理前に精神的に落ち込んだり、腹痛やむくみなどの体調変化が起きて生理がくると落ち着く場合は医師からPMSと診断される可能性もあります。生理前後の体調変化がつらいと感じたら一人で悩まずに受診してみてください。

PMSでお悩みの人はスマルナに相談しよう

PMSは、生理3〜10日前からあらわれる精神的、身体的症状のうち、生理開始とともに軽減するものをまとめたものです。イライラや不安など感情が不安定になったり、腹痛や不眠、頭痛、むくみなどが起きたり、日常生活にも影響することもあります。

PMSに対しては認知行動療法やカウンセリングなどの心理的アプローチから低用量ピルなどの薬物療法が行われます。低用量ピルなどでPMSの症状が緩和される可能性も期待されています。我慢せずに早めに婦人科へ受診することが大切です。

スマルナでは、助産師や薬剤師による無料相談も行っており、オンラインによる医師の診察も受けられます。PMSで気になることがある方は、まずスマルナにご相談してみてください。

参考資料

産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2023

月経前症候群ー日本産科婦人科学会

女性の健康包括的支援のための診療ガイドブック

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