日本で一番使われている避妊方法はコンドームということをご存知ですか?
多くの方が避妊法として使用しているコンドームですが、どれくらいの避妊効果があるかご存知ですか?
また、正しく使っているつもりでも、避妊効果を下げてしまっていることがあります。
今回は、コンドームの避妊効果や適切な使い方、コンドームよりも避妊効果の高い避妊方法などについて解説していきます。
コンドームの避妊率とメリット・デメリット
まずはコンドームやその他のさまざまな避妊法における避妊率と、コンドームのメリット・デメリットについて解説します。
コンドームの避妊率
多くの人が避妊法として使っているコンドームですが、その避妊効果は100%ではありません。
下記の表は、100人の女性が1年間その避妊法を用いてセックスを行った場合に、何人が妊娠するのかを表したものです。
避妊方法 | 理想的な使用 | 一般的な使用 |
---|---|---|
コンドーム | 2 | 13 |
ピル(経口避妊薬) | 0.3 | 7 |
銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD) | 0.6 | 0.8 |
IUS(ミレーナ) | 0.1 | 0.1 |
リズム法 | 5 | 12 |
女性不妊手術 | 0.5 | 0.5 |
男性不妊手術 | 0.1 | 0.15 |
避妊しなかった場合 | 85 | 85 |
参考:R.A.Hatcher, A.L.Nelson, J.Trussell, et al. ”Contraceptive Technology 21st edition, Ardent Media”. Contraceptive Technology. 2018.
コンドームを正しく使った場合、1年間では100人中2人が妊娠します。
実際には途中で破れたり、外れたり、液が漏れたりすることがあり、その失敗した場合を含めると100人中13人が妊娠するという結果になります。
コンドームを使用していても、 妊娠してしまうことがあるのです。
ピル(経口避妊薬)を正しく服用した場合は、1年間で100人中0.3人が妊娠します。もう少しわかりやすくすると、1年間で1,000人中3人が妊娠するという結果です。
100%避妊できるわけではありませんが、コンドームよりも高い効果があることが分かります。
また、「一般的な使用」には低用量ピルの飲み忘れなど、適切な使用ができておらず避妊に失敗した場合の数を含みます。
ピルや銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)、IUS(ミレーナ)など、他の避妊法と比べてみると、コンドームは避妊の失敗率が高いことが分かります。
コンドームのメリットとデメリット
- メリット
コンドームは、コンビニや薬局、ネット通販などで価格面でも安価に入手することができます。また、避妊だけでなく性感染症(STD:Sexually Transmitted Diseases)の予防にもなります。
- デメリット
コンドームの保管方法や装着方法が間違っていたり、サイズが合っていなかったりすると、使用途中で破れたり外れたりして避妊に失敗する確率が高くなります。 また、セックス時に男性器に装着して使用する避妊法なので、男性の協力が必要になり、女性が主体的に行うのが難しいというデメリットもあります。
コンドームの理想的な使用方法コンドームの理想的な使い方とはどのようなものなのでしょうか?
- 品質の良いコンドームを使う コンドームに使用期限があることをご存知でしたか?
古かったり保存状態が悪かったりすると劣化して、装着時や使用時の破損の原因となります。パッケージに記載の使用期限をチェックしてくださいね。
また、品質の保証には、JIS規格品であることも参考になります。購入時に確認しておきましょう。
- サイズが合っているものを選ぶ コンドームとペニスのサイズが合っていないと、途中でコンドームが外れてしまい、避妊失敗につながることも。
サイズが合ったものを使用することが大切です。
- 正しく装着する ペニスが勃起状態になってから、腟と接触する前にコンドームを装着しましょう。
コンドームはとても薄いので、爪で傷つけてしまわないよう指の腹で触れるようにしてください。
- 射精後は速やかに外す 射精後はすぐにコンドームの根元を押さえながら、ゆっくり膣からペニスを抜き取りましょう。
- 繰り返し使わない コンドームは繰り返し使用することはできません。1度使ったコンドームは破棄して新しいものを使いましょう。
その他にも、よく「お財布に入れて持ち歩いている」という話も耳にしますが、コンドームは硬貨などによる「摩擦」や「銅」に弱く、破れやすくなってしまうため注意が必要です。また、コンドームの素材が「ラテックス」の場合、アレルギー反応が起こる方もいます。
その場合は「ポリウレタン」や「イソプレンラバー」など、ラテックス以外の素材のものを選ぶといいでしょう。
コンドーム以外の避妊方法
コンドーム以外にもさまざまな避妊方法があります。
ここでは、コンドームより効果の高い避妊方法をいくつか紹介しますね。
低用量ピル
低用量ピルは経口避妊薬やOC(Oral Contraceptive)とも呼ばれるお薬です。
卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の合成された女性ホルモンの成分が配合されており、排卵を抑制して妊娠を防ぎます。毎日飲み忘れなく服用を続ければ99.7%と非常に高い避妊効果が得られます。
避妊効果以外にも、生理周期の安定化やPMSの緩和、月経困難症の改善、ニキビの改善など、期待できるメリットが多くあります。
子宮内避妊器具(IUD)
子宮内避妊器具(IUD)は、子宮内に装着する小さな避妊アイテムです。
以下のような作用を起こして子宮内の環境を変え、妊娠しにくい状態にします。
- 子宮内で 受精卵の着床を防ぐ
- 精子の運動機能を抑える
- 精子と卵子の受精を阻止する
IUDの挿入は、婦人科やウィメンズクリニックなどの医療機関で行われ、施術は外来で行うことができます。入院などの必要はありません。
【銅付加子宮内避妊具(銅付加IUD)】
IUDに銅が巻かれた銅付加IUDは99.2~99.4%の高い避妊効果を発揮すると言われていて、一度装着すると、 5年間は継続して避妊効果を得ることができます。
緊急避妊法としても使われることがあります。
【子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)】
IUDのうち、黄体ホルモン(レボノルゲストレル)が付加されたものをIUSと言います。
IUSを装着すると黄体ホルモンが子宮内に放出され、受精卵が着床しにくい状態にしたり、精子を子宮内に侵入しにくくしたりします。
IUSの避妊率は99.8〜99.9%であり、その効果は5年間持続します。
さらに、生理痛の緩和や出血量の軽減にも役立つため、IUSは月経困難症や月経過多の治療として使われることがあります。
なお、これらの避妊方法は、性感染症を防ぐ効果は期待できません。
自分とパートナーの身体を守るためにも、 コンドームをつけておくと安心です。
コンドームを使った避妊に失敗したら?大丈夫だと思っていても避妊を失敗しているケースがあります。
いざというときどう対処すればいいか、その方法をご紹介します。
失敗のケースコンドームに穴が開いてしまっていたコンドームの袋を開けるときや装着するときに爪などが引っかかり、穴が開いてしまうこともあるので要注意。
古いコンドームを使用してしまい、途中で破れた何らかの原因でコンドームについた傷やゴムの劣化などが原因で、使用中にコンドームが破損して精液が漏れてしまうことがあります。
使用していたコンドームが途中で外れたり、膣の中に残ったりした男性のペニスのサイズとコンドームのサイズが合っていないと外れやすくなってしまいます。
射精直前にだけ装着した勃起したペニスからは、いつでも射精が起こり得る状態です。最終的な射精のときだけコンドームを装着しても避妊にはならないのです。
裏表を間違えて装着し、そのまま付け直した勃起しているペニスに触れたコンドームには精子が付着している可能性があります。それを付け直して膣へ挿入すると、膣内に精子が入ってしまうことも。
射精後も長い間挿入したままにした長い間膣内へ挿入したままにしておくと、小さくなったペニスとコンドームの間に隙間ができ、精子が漏れたり、コンドームが外れたりする原因になります。
対処法コンドームを使用した避妊に不安を感じた場合の対処法は現状2つあります。
それぞれをご紹介します。
アフターピル
一つはアフターピル(緊急避妊薬)を服用する方法です。
アフターピルは避妊をしなかった、または避妊に失敗したときに内服するお薬です。
アフターピルは、その効果は100%ではないものの、妊娠のおそれがある性行為から72時間以内に服用すれば約84%の避妊効果が期待できます。
また、性行為から服用までの時間が早ければ早いほど効果が高いとされています。
服用のタイミングが性行為から72時間以上経ってしまっても、120時間以内までは一定の避妊効果が期待できることが分かっています。
アフターピルを入手するには、近隣の医療機関を受診、もしくはオンラインで医師の診察を受け、処方してもらうことが必要です。
銅付加子宮内避妊具(銅付加IUD)
IUDのうち、銅が巻かれた銅付加IUDは子宮の中に装着する小さな器具で、日常的に用いられる避妊方法のひとつですが、緊急避妊法としても使用されます。
銅付加IUDは銅イオンを子宮内に放出することで、精子の運動能力を弱める作用や、子宮内に受精卵が着床するのを妨げる作用があります。
緊急避妊法として使用する場合は、避妊をしなかった、または避妊に失敗した性行為後、5日以内に装着する必要があります。
ただし、性感染症にかかっている方は悪化するリスクがあるためIUDを装着できません。
また、出産経験のない方は挿入時に特に痛みを感じやすく、出産経験のある方にしか施術を行っていない医療機関もあります。
IUDは、出産経験があり、しばらくの間は避妊を希望するという方におすすめの避妊方法です。
※IUSは現在のところこのような「緊急避妊法」としては使用されていません。メリット・デメリットを考えて避妊法を選択しよう確実に避妊できる避妊法は今のところありませんが、メリット・デメリットを考慮し、より避妊率の高い方法を選択することが重要です。
99.7%の高い避妊効果に加え、月経困難症の改善、PMSの緩和などさまざまな効果が期待できる低用量ピルや、避妊に失敗してしまったときに内服するアフターピルは、女性が主体的に使用するお薬です。
「スマルナ」では医師によるオンライン診察で、自分に合ったピルの提案・処方を受けることが可能です。
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※処方は医師の判断に基づき行われます。