生理前に現れるさまざまな不調、それがPMSです。「10代の頃よりひどくなってきたかも?」と、これまでよりしんどいと感じることが多くなってきていませんか?
今回は、20代になってPMSがひどくなると考えられる原因や対処法を説明します。PMSにお悩みの方はぜひご一読ください。
PMS(月経前症候群)とは
PMS(月経前症候群:Premenstrual syndrome)は、生理が始まる3〜10日前ぐらいから始まる身体的症状および精神的症状のことをいいます。生理が始まるとそれらの症状が軽くなったり、治ったりすることが特徴です。
PMSの症状
具体的なPMS症状としては、以下のようなものがあります。実際にどのような症状があらわれるのか、その症状の程度などは人によってさまざまです。
身体的症状:下腹部の張り、頭痛、腰痛、浮腫みやすくなる、乳房の張りなど
精神的症状:イライラしやすい、憂鬱な気分になる、集中力が下がる、情緒不安定になる、眠気や不眠がひどくなる、突然涙が出て悲しくなる、不安を感じやすくなるなど
また、PMS症状の中でも特に心の不調が強い場合は、PMDD(月経前不快気分障害:Premenstrual dysphoric disorder)と呼ばれます。
PMSの原因
PMSの原因は未だはっきりとはわかっていません。
女性の身体では卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが働いています。PMSのさまざまな症状は、この2種類の女性ホルモン分泌量の変化に関連していると考えられています。
PMSの診断方法
PMSは何かの検査を受けてはっきり診断されるわけではありません。基本的には、どのような症状が起きているか、それは生理周期に伴って起きているのか、これまでの妊娠・出産歴などについての問診を基に診断が行われます。
精神的症状が強い場合はPMDDと診断されることもあります。この場合、うつ病などではないことを確認するために、さらに専門的な問診や検査が行われることがあります。
20代でひどくなる?考えられる原因とは
PMSの症状には個人差が大きいものの、20代になるとPMS症状がツライと感じるようになる方も多く、ひどくなると日常生活に支障をきたす場合もあります。20代になってPMSがひどくなる原因としては、以下のようなことが考えられます。
ホルモンバランスの変動
20代になると、学生から社会人へと日常生活も大きく変わっていく人も多くいます。これまでとは違う慣れない生活は、気づかないうちにストレスを抱えてしまうことも。小さなストレスでもそれが積み重なって女性ホルモンのバランスが乱れ、PMSを悪化させてしまうこともあります。
また、20代になると10代の頃に比べて生理周期も安定してきます。その分、身体の中の女性ホルモンの変動に気づきやすくなったり、それに過敏に反応してPMS症状が現れる人もいます。
生活環境の乱れ
20代は一人暮らしを始めたりして、日頃の生活リズムも崩れやすい傾向にあります。夜更かしが続いて慢性的な睡眠不足の状態であったり、無理なダイエットで食事のバランスが悪かったりといった生活習慣の乱れがPMSの悪化につながります。
20代のうちは比較的体力もあり、ついつい無理をしてしまいがちでもありますが、規則正しい生活を心がけることが大切です。
PMSの対処法
日常生活の中でも、少し意識して行動するだけでPMS症状の軽減が期待できる対処法があります。いくつかご紹介しますので、自分に合う対処法を見つけていきましょう。
不安感を軽減させるには、症状日記が効果的
いつ、どんなときに、どんな症状があらわれているのかを「症状日記」として記録していきます。記録することで自身の体調や気分の変化に気づくことができ、どんな時期にどんな症状に悩んでいるのかを把握することができるようになります。
PMS症状が生理のたびに同じというわけではないかもしれませんが、記録することで症状があらわれる傾向を掴み、PMSに対して準備や対処がしやすくなります。
タバコ・お酒・コーヒーはなるべく控える
タバコやお酒、コーヒーなど、刺激物の摂取をなるべく控えるようにしましょう。カフェインの摂取や喫煙は、PMSがひどくなる原因にもなります。
お酒の飲みすぎも要注意です。生理前は、女性ホルモンの影響でいつもに比べるとアルコールが分解されにくくなるため、酔いやすくなります。アルコール摂取はPMSのリスクを高めるといった報告もあるため、なるべく控えるようにしましょう。
甘いものの食べ過ぎに注意
生理前になるとついつい甘いスイーツが食べたくなる人もいるかもしれません。甘いスイーツの食べ過ぎは、急激な血糖値の上昇を招きます。血糖値が急に上がったり下がったりすると、イライラや眠気、過食にもつながりますので、甘いスイーツも適度な量でとどめるようにしましょう。
ぬるま湯や蒸しタオルでリラックスを
ストレスはPMS症状を悪化させます。日頃のストレスを意識的に解消させるようにしましょう。
ぬるま湯に浸かったり、蒸しタオルを首元などにあてて温めたりすると、副交感神経が活発になってリラックス効果が期待できます。好みのアロマオイルを使ってみるなど、自分がリラックスできる方法を見つけてみましょう。
ストレッチや適度な運動
適度な運動を取り入れることも、PMSへの対処法としては大切です。
普段、運動習慣がまったくない方にとってはハードルが高いかもしれませんが、日常生活の中で階段を使用したり、少し歩く歩数を増やすだけでも構いません。軽いストレッチやウォーキングなどを行うと、ストレス発散にも効果的です。
漢方やお薬を使ったケア
PMS症状に合わせたお薬を対症療法として服用することも効果的です。痛みがつらい場合は鎮痛薬、むくみが気になる場合は利尿薬、精神的症状がひどい場合は精神安定剤などが用いられます。
また、古くから女性特有の不調の改善のために漢方薬も用いられてきました。具体的には、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)などがあります。漢方薬は体質に合ったものを服用することが大切です。
低用量ピルの服用
低用量ピルは、2種類の女性ホルモンを配合したお薬です。排卵を抑制して女性ホルモンの変動を小さくさせます。そうすることで、PMSの軽減が期待できます。
PMSのお悩みはスマルナに相談しよう
PMS症状は他人と比べることができず、そのつらさを一人で抱え込んでしまいがちです。
スマルナでは、助産師・薬剤師が365日、ピル・PMS・生理・避妊などのお悩みを無料で相談することができます。スマルナアプリからチャットで簡単にメッセージが送れますので、PMSのつらさを一人で悩む前に、お気軽にご相談ください。
また、医師の診察もオンライン上で受けることができ、あなたに合ったピルの提案・処方も可能です。毎月悩まされるPMSは病気のひとつであり、さまざまな治療法があります。ぜひ医師にお悩みをご相談ください。
参考資料
産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2023