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月経困難症の治療は何がある?低用量ピルやピル以外の治療法も解説

生理が始まったときや生理前後で強い下腹部痛や腰痛を感じたことはありませんか?

生理がくるたびに痛みが現れる場合は、月経困難症の可能性があります。月経困難症は、適切に治療をしないと仕事や趣味にも集中できず、日々の生活に支障や影響を及ぼすことがあります。

当記事では、月経困難症の治療法や低用量ピルなどについても解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

月経困難症の原因と症状

月経困難症は、生理に伴って強い痛みや不快な症状がみられる疾患です。生理中や生理直前から強い下腹部痛や腰痛、吐き気や頭痛、食欲不振、イライラ、下痢などの症状がみられることもあります。月経困難症の痛みは、生理開始後1~2日の出血の多いときに痛みが強くなりやすく、次第に軽快していく傾向があります。

月経困難症が起こる原因の一つプロスタグランジンという物質です。プロスタグランジンは子宮内膜から放出され、子宮を収縮させることで経血を排出させる働きがあります。しかし、何らかの理由でプロスタグランジンが多く放出されたり、その影響を強くうけると、子宮が強く収縮して痛みが生じます。

月経困難症は、初経後から半年〜3年より始まるとされ、子宮内膜症や子宮筋腫などの疾患が原因で起こることもあるので注意が必要です。

機能性月経困難症と器質性月経困難症がある

月経困難症は、原因によって「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」に分類できます。機能性月経困難症と器質性月経困難症は、適切な治療を受けることが大切なので、気になる場合は婦人科へ受診してください。

こちらでは、月経困難症の分類について解説します。

機能性月経困難症とは

子宮筋腫や子宮内膜症などの病気などが見つからない場合の月経困難症は、機能性月経困難症です。機能性月経困難症は、思春期に多くみられ、生理初日から2日目ごろの出血の多いときに強い痛みがあらわれます。機能性月経困難症の原因は、子宮頸管とよばれる子宮の入り口が狭くなっている身体の構造的な問題によるものや、痛みの原因物質のプロスタグランジンがによるものといわれています。

もし生理中に強い痛みが伴う場合は、月経困難症ではないかを判別するため、一度婦人科へ受診することをおすすめします。

器質性月経困難症とは

子宮内膜症や子宮筋腫など原因疾患が存在するものが器質性月経困難症に分類されています。思春期における器質性月経困難症には、生まれつき子宮の形に問題があって経血がうまく排出できない場合にも起こることがあります。近年では、女性のライフスタイルの変化などによって10〜20代でも子宮内膜症が増えているため、生理中に強い痛みが伴う場合は婦人科へ受診することをおすすめします。

月経困難症の治療はどうするの?

生理に伴って強い痛みがあったり、不快な症状が現れる場合は、婦人科へ受診することが大切です。こちらでは、婦人科における月経困難症の治療について解説します。

問診や内診、検査を行う

まずは、月経困難症やそれ以外の婦人科に分類される病気にも罹っていないか問診や検査を行います。問診では、初経年齢や初経後の生理の状態、生理痛の程度や部位、持続時間、鎮痛薬など薬の服用歴や副作用歴、性交の有無などを聞き取ります。

子宮などに疾患があるか判別するためにエコー検査やMRI検査、内診などを行います。

必要に応じて処方薬を服用する

診察を受けて月経困難症と診断されると、必要に応じて医薬品が処方されます。月経困難症で処方される医薬品には、低用量ピルや鎮痛薬、漢方薬などがあります。

低用量ピルの服用

低用量ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンが配合された医薬品です。体内の女性ホルモンの変動を抑えることで排卵を抑制し、月経困難症に伴う痛みなどの症状を抑えます。

ピル以外の治療法

月経困難症で起こる痛みに対して、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、一般的には「痛み止め」とよく言われているお薬が処方されることがあります。非ステロイド性抗炎症薬は、生理に伴う痛みの原因物質が産生されないようにする働きがあり、生理痛や頭痛などさまざまな痛みを抑えるために処方される医薬品です。

漢方薬も月経困難症を改善するために処方されることがあります。芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、筋肉のけいれんを抑える働きがあり、けいれん性の痛みの改善に効果が期待できます。そのほかにも、漢方医学的に症状を見て当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが選択されます。

経口の黄体ホルモン剤は、服用することで子宮内膜が厚くならないようにし、月経痛や子宮内膜症を押さえる薬です。子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ®)は、子宮内に挿入することで内膜を薄く保ち、避妊とともに月経痛や月経量を減らす効果ができます。

治療薬を服用する上での注意点

月経困難症の治療薬は、少ないながらも副作用のリスクが存在します。治療薬を服用する上での注意点を知っておくことで、安全にお薬を服用することにつながります。

月経困難症の治療薬を服用する前に参考にしてみてください。

低用量ピル

低用量ピルは、比較的副作用の少ない医薬品ですが、血栓症のリスクがあるので注意が必要です。血栓症を起こすと足の痛みやむくみ、頭痛、動悸、呼吸困難、麻痺などがみられます。血栓症と思われる症状があらわれたら、低用量ピルの服用を中止して医療機関へ相談してください。

ピル以外の治療法

非ステロイド性抗炎症薬は、胃に負担をかけることがあるため空腹時の服用は避けた方が良いでしょう。食後の服用が難しい場合は、胃粘膜保護剤を処方してもらうのも良いでしょう。痛みを我慢してから鎮痛薬を服用すると、痛みの原因物質であるプロスタグランジンがすでに産生されているので、痛みが和らぐまで時間がかかります。痛みを感じたらすぐに鎮痛薬を服用してください。黄体ホルモン剤や子宮内黄体ホルモン放出システムでは不正出血が出ることがあります。少量であれば、服用を続けて問題ありませんが、月経2日目以上の出血量が続く場合は産婦人科医へ連絡が必要です。

生理痛がひどい場合は早めに受診しよう

生理中や生理前後に強い下腹部痛や腰痛があらわれる場合は、月経困難症の可能性があります。月経困難症は、特定の病気から来るものではない機能性月経困難症と子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因で起こる器質性月経困難症があり、どちらも婦人科での治療を受けることが重要です。

近年では、月経困難症は、低用量ピルや鎮痛薬などでなどで治療をしたり、症状を緩和させたりすることができるため、生理痛がひどい場合は早めに治療を受けることをおすすめします。

スマルナでは、薬剤師や助産師に無料で相談でき、アプリで、医師の診察も受けられます生理痛に悩んでいる方は、ぜひスマルナにご相談ください。

参考資料

月経困難症ー公益社団法人日本産婦人科医会

ヤーズフレックス配合錠

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