生理前に体温が上がるのは、女性ホルモンの働きによる自然な現象です。体温は生理周期に伴って次のような流れで変化します。
- 卵胞期:基礎体温が低温期で安定する
- 排卵期:体温が上昇を始める
- 黄体期:基礎体温が高温期に移行する
- 月経期:基礎体温が低下し、低温期に戻る
平常に戻る
生理は体温の変化だけでなく、だるさや眠気、頭痛などの症状に悩むケースもあります。体調管理のためにも、生理特有の症状について理解を深めることが大切です。
当記事では、主に以下のことについて解説します。
- 生理周期ごとの体温変化
- 生理前に体温が上がる原因
- 生理前に現れる体温上昇以外の5つの症状
最後まで読んでいただくことで、生理における体温の動きが分かり、日々の生活をより快適に過ごすための知識を得られるでしょう。
生理前の体温の変化を周期ごとに解説
生理周期ごとの体温変化は以下の4つが挙げられます。
- 卵胞期:基礎体温が低温期で安定する
- 排卵期:基礎体温が上昇を始める
- 黄体期:基礎体温が高温期に移行する
- 月経期:基礎体温が低下し、低温期に戻る
平常に戻る
女性の体温は、生理周期によって変化することが特徴です。生理前の体温の変化は、女性ホルモンである「プロゲステロン」の分泌量が大きく影響しています。
ここでは、生理周期ごとの体温の動きを詳しく解説します。最後まで見れば、各生理周期の体温の変化が分かり、身体の仕組みを知るきっかけになるでしょう。
卵胞期:基礎体温が低温期で安定する
卵胞期は、生理が始まった日から排卵が起こるまでの期間を指します。体温は低温期に該当し、安定して低い状態が続きます。
卵胞期の平均的な長さは約13〜14日ですが、人によって差が見られることが特徴です。
排卵期:基礎体温が上昇を始める
排卵期は、卵胞期の終わりから排卵が起こる短い期間を指します。基礎体温は排卵後に上昇し、高温期へと移行します。
また、排卵日前後に数分から数時間、下腹部の痛みを感じることがあるのも特徴です。
黄体期:基礎体温が高温期に移行する
黄体期は、排卵後から次の月経開始までの約2週間のことです。基礎体温はプロゲステロンの影響で上昇するため、高温期となります。
体温の変化に伴い、倦怠感や眠気、イライラといった月経前症候群(PMS)の症状が現れることもあります。
月経期:基礎体温が低下し、低温期になる
月経期は、基礎体温が高温期から低温期に戻る時期です。排卵後、黄体が退縮することで黄プロゲステロンの分泌が減少し、体温が低下します。
通常生理は3〜7日間続き、次の排卵まで低温期が維持されます。
生理前に体温が上がるのはなぜ?原因を解説
生理前に体温が上がる理由は、プロゲステロンの分泌量が増えることに深く関係しています。
前述の通り、生理周期は卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの時期に分けられ、黄体期には基礎体温が高温期に移行します。黄体期の基礎体温の上昇は、身体が妊娠に備えるための自然な反応です。
プロゲステロンは子宮内膜を厚くし、受精卵が着床しやすい環境を作りますが、体温を上げる働きもあります。
生理前に体温が上がる以外でみられる代表的な5つの症状
生理前は体温の上昇以外にも、さまざまな症状が現れることがあります。代表的な症状を以下で紹介します。
- 眠気・倦怠感
- 腹痛
- 頭痛
- 食欲・体重増加
- 気分が変わりやすくなる
生理前の症状は、女性ホルモンの変化が関係していると考えられており、身体的・精神的な症状に悩むケースは少なくありません。
ここでは、生理前の代表的な症状について詳しく解説します。最後まで読んでいただくことで、生理前に体温が高くなること以外の症状が分かり、体調変化に対処できるようになるでしょう。
眠気・倦怠感
生理前に眠気や倦怠感を感じるのは、体温が高温期に移行することで、睡眠の質が低下することが理由の1つとして知られています。黄体期にはプロゲステロンの分泌量が増え、一日の体温変動が少なくなります。
この状態では夜間の体温が下がりにくくなり、深い眠りにつきづらいです。その結果、日中に眠気やだるさを感じやすくなります。
また、ホルモンの変化は自律神経にも影響を与えるため、疲れやすさを引き起こす場合もあります。
腹痛
生理前に起こる腹痛の原因は、プロスタグランジンという物質の分泌だと考えられています。プロスタグランジンは子宮を収縮させる働きを持ち、痛みを引き起こす要因となります。
温かい飲み物を摂取したり、腹部を温めたりすることで血流を促進し、痛みを和らげる効果が期待できます。痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤を使用することも検討してください。
頭痛
生理前に頭痛が起こる理由の一つは、エストロゲンの減少が報告されています。
頭痛により、吐き気を伴う場合もあります。生理前の頭痛対策として、こめかみを冷やしたり、静かな場所で休んだりするなどの応急処置が有効です。
症状が重い場合は、婦人科に相談することをおすすめします。
食欲・体重増加
生理前に食欲が増加したり、体重が増えたりする理由は、黄体期に分泌が増えるプロゲステロンが大きく関わっています。
また、プロゲステロンには体内に水分を貯留する作用があり、むくみや一時的な体重増加を引き起こすことも特徴です。
食欲が高まる時期には、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。体重増加が気になる場合は、軽い運動やストレッチで代謝を促進することもおすすめです。
気分が変わりやすくなる
生理前に気分が変わりやすくなるのは、女性ホルモンの分泌量が急激に変動し、神経伝達物質である「セロトニン」に影響を与えるためであると考えられています。です。セロトニンは、精神を安定させる働きを持つ物質であり、不足すると不安感やイライラを引き起こしやすくなります。
また、疲れやだるさといった身体的な症状と相まって、感情が不安定になる場合も少なくありません。
気分の変動に悩む場合は、ストレス解消を目的とした趣味や運動を取り入れることが効果的です。気分の変化を記録することで、体調管理の一環としても役立ちます。
生理が来ても体温が下がらない場合に考えられる2つの原因
生理が来ても体温が下がらない場合に考えられる原因は以下の23つが挙げられます。
- 妊娠
- 風邪による発熱
生理が始まったにも関わらず、体温が下がらない場合、さまざまな原因が考えられます。
ここでは、生理後も体温が下がらない場合に考えられる代表的な原因を解説します。最後まで見れば、生理開始後に体温が高い理由が分かり、状況に応じた適切な対処ができるようになるでしょう。
妊娠
生理が来たと思っても体温が下がらない場合、妊娠の可能性を考える必要があります。妊娠が成立すると、基礎体温は高温期を維持するのが一般的です。
一方、生理と似た出血がみられたとしても、着床出血の可能性もあります。
妊娠初期には、胸の張りや倦怠感、吐き気といった症状が現れることがあるため、兆候に気付いたら早めに妊娠検査薬を使用すると良いでしょう。
風邪による発熱
生理が始まったのに体温が下がらない場合、風邪も一つの原因です。とくに、咳や鼻水、喉の痛みなどの症状がある場合は、風邪の疑いがあります。
風邪の症状が続く場合や体温が異常に高い場合には、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
生理前の体温が高い時期にできる3つの対処法
生理前の体温が高い時期にできる対処法は以下の3つが挙げられます。
- 基礎体温の測定・記録
- 規則正しい生活を心がける
- 婦人科を受診する
生理前の体温が高くなることは、ホルモンバランスの変化による自然な現象です。しかし、微熱や倦怠感、眠気といった症状が日常生活に影響を与えることがあります。
体調の変化に対処するには、自分の体を知り、日頃からケアを行うことが大切です。
ここでは、高温期にできる対処法について解説します。最後まで見れば、生理前の高温期を快適に過ごすための対策が分かり、自分の身体と向き合っていけるようになるでしょう。
基礎体温の測定・記録
基礎体温を測定・記録することで、生理前の体調や体温変化を把握できます。
基礎体温は、朝起きた直後の動き出す前に測るのが一般的です。専用の体温計を使用し、舌の裏側に挟んで測定します。
測定結果をノートやアプリに記録することで、体温の変化や生理周期を視覚的に把握できます。基礎体温の測定は、毎日同じ時間に行うことが望ましいです。
基礎体温の記録を日常習慣に取り入れることで、体調管理がしやすくなるでしょう。
規則正しい生活を心がける
生理前の体温が高い時期を快適に過ごすためには、規則正しい生活を心がけることが大切です。バランスの良い食事を取り入れ、十分な睡眠時間を確保しましょう。
また、自分の好きなことに打ち込み、ストレスを発散することも重要です。
規則正しい生活を心がければ、生理前の体温上昇による不調を軽減し、心身ともに健康的な状態を保てるでしょう。
婦人科を受診する
生理前に体温が高い状態が続き、日常生活に支障をきたしている場合は、早めに婦人科を受診しましょう。生理開始後に体温が下がらない場合も同様に、婦人科の受診が望ましいです。
婦人科を受診することで、専門的な診断を受け、必要な治療やアドバイスを得られます。受診の際は、基礎体温の記録を持参すると、医師が状態を把握しやすくなります。
不安がある場合は放置せず、婦人科で積極的に相談することが健康を守る第一歩となるでしょう。
生理前の辛い症状・PMSの3つの治療法
生理前の辛い症状・PMSの治療法は以下の3つが挙げられます。
- 低用量ピルを服用する
- 漢方を服用する
- 対症療法を用いる
生理前の辛い症状やPMSは、多くの女性が抱える悩みです。不快な症状に対しては、いくつかの治療法が存在します。
ここでは、生理前の症状を軽減するための治療法を解説します。最後まで見れば、各治療法の特徴が分かり、医師と相談しながら最適な選択ができるようになるでしょう。
低用量ピルを服用する
低用量ピルは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンを一定量含む薬です。排卵を抑制することで、ホルモンバランスの乱れを整える働きがあります。
また、低用量ピルは生理周期を規則正しくし、生理痛の緩和にも役立つことが特徴です。服用を開始する際は、医師の診察を受けることが必要です。
服用中に体調の変化や副作用が現れた場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
漢方を服用する
漢方は、生理に関する不快な症状を緩和する薬です。むくみや頭痛、イライラなど、生理前の症状は人それぞれ異なるため、個々の体質や症状に合わせて処方されます。
PMSの治療に用いられる漢方は以下は以下のようなものがあります。
- 当帰芍薬散
- 女神散
- 桂枝茯苓丸
- 加味逍遥散
- 抑肝散
漢方は継続使用による体質改善を目的としているため、日々の服用が大切です。また、自分の症状に合った漢方を見極めるためには、医師や薬剤師への相談が推奨されます。
対症療法を用いる
対症療法とは、特定の症状を改善するための治療法です。頭痛、腹痛、イライラ、不眠といった多岐にわたるPMSの症状に対処するために用いられます。
痛みを和らげるためには鎮痛剤が、精神的不調には精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬が使用されることが一般的です。
しかし、症状が緩和されない場合は、婦人科への相談が必要です。 薬剤の使用は自己判断ではなく、医師の診断を受けた上で行いましょう。
生理前の体温に関する4つのよくある質問
生理前の体温に関するよくある質問は以下の4つが挙げられます。
- 生理前に体温下がる場合でも妊娠の可能性はある?
- 生理前に体温が37度を超えることはある?
- 生理前に体温が下がるのはいつ?
- 生理何日前から体温が上がる?
ここでは、生理前の体温に関連する質問に回答します。最後まで見れば、生理前の体温に関して抱かれやすい疑問が分かり、知識が身につくでしょう。
生理前に体温下がる場合でも妊娠の可能性はある?
生理前に基礎体温が下がる場合でも、妊娠の可能性は完全には否定できません。基礎体温だけで妊娠の有無を判断するのは難しいため、妊娠検査薬の使用、または医療機関での受診をおすすめします。
生理前に体温が37度を超えることはある?
生理前の高温期において、基礎体温が37度を超えることはあります。プロゲステロンの分泌増加により、体温が上昇するためです。
個人差はありますが、37度前後の体温になることは正常な範囲とされています。
ただし、微熱が続く場合や他の症状がある場合は、病気の可能性も考えられるため、医師に相談することをおすすめします。
生理前に体温が下がるのはいつ?
排卵後の黄体期にはプロゲステロンの影響で基礎体温が上昇し、高温期が約14日間続くことが特徴です。その後、妊娠が成立しなかった場合、プロゲステロンの分泌が減少し、生理開始直前に体温が低下します。
基礎体温を日々測定・記録することで、自身の生理周期や体調の変化を把握しやすくなります。
生理何日前から体温が上がる?
排卵後から生理開始までの約14日間は、基礎体温が高くなる高温期が続きます。しかし、個人差があり、高温期の長さや体温の上昇幅は人それぞれです。
生理前の体温変化を正確に把握するためには、毎朝同じ時間に基礎体温を測定し、記録することが大切です。自分の体調やホルモンバランスの変化を客観的に確認でき、健康管理や妊娠計画に役立てられるでしょう。
まとめ
生理前の体温変化は、女性のホルモンバランスや健康状態を知る上で重要な指標です。基礎体温は排卵後の黄体期に上昇し、高温期が続きますが、個人差もあります。
基礎体温の測定・記録を習慣化し、自分の体調リズムを把握することで、健康管理や症状の軽減につながります。
生理前に伴う体温上昇が大きくつらい場合や不快な症状が現れた場合には、婦人科に相談することが大切です。生理前の体温変化を正しく理解し、快適な毎日を目指しましょう。
なお、「産婦人科や婦人科を受診するのには抵抗がある」「受診する時間がない」という方は、まず「スマルナ」にご相談ください。
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参考資料
なぜ基礎体温が低温期と高温期の二相性を示すのですか?-公益社団法人 日本産婦人科医会
基礎体温とはどういうものですか。-公益社団法人 日本産婦人科医会