生理中の温泉利用は、以下2点の問題からあまり推奨できません。
- 温泉施設側の利用規約
- 細菌感染の問題
どうしても温泉旅行を楽しみたい場合には、リスクを正しく理解し、対策を講じることが重要です。
当記事では、主に以下のことが分かります。
- 生理中に温泉に入っても大丈夫なのか
- 生理中に温泉に入る場合の注意点
- 生理中に温泉に入る場合の対策
最後まで読んでいただくことで、生理中に温泉に入る際の注意点や対策が分かり、安心安全に過ごせるようになるでしょう。
生理中に温泉に入るのはNG?
生理中の温泉の利用は絶対にNGではありませんが、以下の2つの観点から推奨できません。
- 温泉施設側の利用規約
- 細菌感染の問題
この見出しでは、生理中に温泉の利用がおすすめできない理由を詳しく解説します。
最後まで読んでいただくことで、生理中に温泉へ入る問題点が理解でき、どう対処すべきか判断できるようになるでしょう。
温泉施設側の利用規約
衛生面を重視し、生理中の入浴を控えるようお願いしている温泉施設は少なくありません。規約を確認せず入浴すると、他の利用者だけでなく、温泉施設の従業員に迷惑をかける可能性があります。
また、利用規約に記載がない場合でも、スタッフに確認するなど、事前に施設のルールを確認することが重要です。
細菌感染の問題
生理中は膣内環境がよりデリケートになり、雑菌から身体を守ってくれているバリア機能が一時的に弱まる可能性もあります。
そのため傷などがあると、雑菌が付着して増殖したり、炎症を起こしたりすることもあります。
また、公共の温泉施設は不特定多数の人が利用するため、普段の生活とは異なる様々な雑菌に触れる機会が増えます。
こうした理由から、温泉の利用は慎重に検討することが必要です。
さらに、温泉水に含まれるレジオネラ属菌により、「レジオネラ症」という感染症を発症するリスクもあります。
レジオネラ症は、湯気やしぶきを介した感染が主な感染経路とされています。
日本国内でも、循環式浴槽や露天風呂を原因とする感染事例が報告されており、レジオネラ症の症状としては、倦怠感や頭痛、高熱、筋肉痛などがあります。
施設側が定期的に清掃や消毒を行っていても、完全にリスクをなくすことは難しいため、その状況をしっかりと理解した上で、温泉の利用を検討することが大切です。
生理中に温泉に入る場合の3つのリスク・注意点
生理中に温泉に入る場合のリスク・注意点は以下の3つが挙げられます。
- 感染症を発症する
- 貧血・脱水状態になる
- 浴場・脱衣所などを汚す可能性がある
生理中に温泉を利用する際には、体調や衛生面など、いくつかのリスクを考慮する必要があります。
この見出しでは、生理中に温泉に入る際のリスクについて解説します。最後まで読んでいただくことで、生理中の温泉でのリスクや注意点が分かり、トラブルを未然に防げるでしょう。
感染症にかかりやすい
生理中はホルモンバランスの変動が大きく、膣内環境もデリケートになりやすい時期です。
また、血液というのは細菌が増殖するのにとても条件の良い環境です。
そのため、生理などで出血がみられている期間は細菌の増殖や普段感染しないような細菌感染が起こりやすいことが考えられるため、多くの人が利用する温泉施設の利用は慎重に検討した方がよいでしょう。
膣内環境が弱まっている生理中には、感染リスクが高まることが注意点の一つです。
温泉施設側では、浴槽を定期的に清掃・消毒することで衛生を保っていますが、利用者も自身で対策を取る必要があります。
生理中の長時間入浴は避け、体調に配慮した利用が求められます。
貧血・脱水状態になる
生理中に温泉を利用する際は、貧血や脱水症状にも注意が必要です。とくに、過多月経の場合は体内の鉄分が不足しやすく、めまいやふらつきなどの貧血症状を引き起こすことがあり、急な体調変化や転倒などさまざまなリスクが考えられます。
また、温泉の高温環境では汗をかきやすく、水分が失われるため脱水状態に陥るリスクも高まります。脱水を防ぐためには、入浴前後に水分補給を行う他、長時間の入浴を避けることが大切です。
体調が優れない場合や出血量が多いときは、湯船に浸からずシャワーで済ませるのも選択肢の一つです。
浴槽・脱衣所などを汚す可能性がある
生理中では、浴槽や脱衣所の床、タオルに経血が付着する可能性があります。他の利用者に不快な思いをさせてしまうだけでなく、施設の衛生面にも影響を与えるため、事前の対策が重要です。
公共の温泉施設では、多くの人が利用するため、一人ひとりの配慮が求められます。温泉利用時のマナーを守り、他の利用者と快適な空間を共有できるよう心がけることが重要です。
生理中に温泉に入りたい場合は?5つの選択肢を解説
生理中に温泉へ入りたい場合の選択肢として以下の5つが挙げられます。
- シャワーで済ませる
- 部屋のお風呂を利用する
- 月経カップを使用する
- タンポンを使用する
- ピルを服用する
生理中に温泉に入ることはおすすめできませんが、どうしても利用したい場合は事前の対策が必要です。
ここでは、生理中に温泉に入りたい場合の選択肢を詳しく解説します。最後まで読んでいただければ、生理中に温泉に入る際の対策が分かり、旅行先でも快適に過ごせるようになるでしょう。
シャワーで済ませる
生理中に温泉に入る場合は、シャワーで済ませることも選択肢の一つです。
公共温泉施設では、多くの人が同じ浴槽を利用するため、経血が混入しないよう配慮が求められます。その点、シャワーだけなら他の利用者を気にする必要もありません。
短時間で済ませられるため、体調が優れない場合や長時間の入浴が負担になるときにも適しています。
部屋のお風呂を利用する
生理中に温泉に入りたいなら、部屋のお風呂を利用すると良いでしょう。プライベートな空間で入浴することで、経血が漏れて周囲に迷惑をかける心配がなくなります。
また、公共の温泉と違い、衛生面の不安も軽減され、リラックスして過ごせることもメリットです。部屋のお風呂は自分の好きなタイミングで利用できるため、無理なく体を温められます。
ただし、部屋風呂の場合でも、利用する施設の設備によっては、レジオネラ属菌に感染する可能性はゼロではないため、注意が必要です。長時間の入浴は避け、入浴後はしっかりと換気を行いましょう。
月経カップを使用する
生理中に温泉を楽しむための対策として、月経カップの使用が挙げられます。月経カップは膣内に装着し、経血をためる器具です。
正しく使用すれば経血の漏れを防ぐことができるため、温泉利用時も安心できるでしょう。
ただし、初めて使用する場合は、装着に慣れるまで時間がかかることがあります。きちんと装着されていないと漏れる可能性もあるため、事前にご自宅で練習しておくと安心です。
温泉に入る前に正しく装着し、利用後は衛生的に消毒することが重要です。なお、月経カップの使用方法については、以下の記事を参考にしてください。
タンポンを使用する
タンポンは、膣内に挿入して経血を吸収する生理用品です。タンポンを使用することで、経血が外に漏れるのを防げます。
ただし、長時間の使用は、感染症の発症リスクが高まるため注意が必要です。温泉から出た後は、速やかにタンポンを交換してください。
正しい使い方を守ることで、より安心して温泉を楽しめるでしょう。なお、タンポンの使用方法については、以下の記事を参考にしてください。
ピルを服用する
生理中の温泉旅行が不安な場合、ピルの服用で生理のタイミングを調整することも1つの選択肢です。
普段ピルを服用されていない方の場合、中用量ピルを使用して生理日の調整を行う場合があります。
低用量ピルを継続して飲んでいる場合は、低用量ピルを使用して生理日移動を行うこともあります。
低用量ピルは、お薬に含まれる女性ホルモンが作用し、排卵を止めることで生理をコントロールする仕組みです。
低用量ピルの服用には、避妊効果や生理日の調整だけでなく生理痛の軽減や経血量の減少、生理前症候群(PMS)の症状改善といった多くのメリットがあります。
ただし、生理日移動の服用方法は、通常の飲み方と異なるため医師の指示が必要です。
またピルを服用するには医師の診断と処方が必要であり、副作用や禁忌事項についても十分理解しておくことが大切です。
ピルについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
ピルの種類の基礎知識|いろいろあるけど、どれを飲めばいいの?
生理中の入浴は温泉以外も避けるべき?
生理中でもご自宅での入浴を控える必要はありません。お湯に浸かることで血行が促進され、生理痛の緩和やリラックス効果が期待できます。
冷えによる血流の悪化は、子宮筋の緊張や骨盤内の鬱うっ血を引き起こし、生理痛を悪化させる原因となることがあります。そのため、体を温めることは生理中の不快感を軽減するうえで重要です。
忙しい平日はシャワーで済ませる方が多いかもしれませんが、週末や時間に余裕のあるときは湯船に浸かる習慣を取り入れてみましょう。ご自宅で入浴する際は、ぬるめのお湯に浸かることをおすすめします。
生理中の温泉に関する3つのよくある質問
生理中の温泉に関するよくある質問は以下の3つが挙げられます。
- 生理が終わりかけのときは温泉に入っても良い?
- 部屋風呂がないなら生理中は温泉に入らないほうが良い?
- 温泉旅行と生理がかぶりそうな場合はどうすれば良い?
ここでは、生理中の温泉に関するよくある質問と回答をご紹介します。最後まで読んでいただければ、生理中の温泉の利用に関する悩みが解消され、自身の状況にあわせて対応できるようになるでしょう。
生理が終わりかけのときは温泉に入っても良い?
生理が終わりかけの時期でも、温泉に入ることは推奨できません。
経血がわずかでも残っている場合、感染症のリスクや周囲への配慮が必要です。必要に応じて、月経カップやタンポンを使用することをおすすめします。
また、入浴前後は水分補給を忘れず、体調に応じて無理のない範囲で温泉を楽しむようにしてください。
部屋風呂がないなら生理中は温泉に入らないほうが良い?
部屋風呂がないなら、生理中に温泉に入ることは控えたほうが良いでしょう。
どうしても公共の温泉に入りたい場合は、月経カップやタンポンを使用してください。また、入浴後は速やかに交換し、感染症を防ぐことが大切です。
公共の温泉を利用する際には、経血漏れや衛生面への配慮が求められます。体調が優れない場合や経血量が多い時期には、無理せずシャワーで済ませることも検討しましょう。
温泉旅行と生理がかぶりそうな場合はどうすれば良い?
温泉旅行と生理が重なりそうな場合は、予定を変更することが選択肢の1つです。旅行の日程を変更できない場合は、低用量ピルや中用量ピルを服用し、生理日をずらすことも検討できます。
ピルは医師の診察のもと処方を受ける必要があるため、事前に婦人科で相談することが望ましいです。旅行前の計画段階で、必要な対策を検討しておきましょう。
まとめ
生理中の温泉利用は、基本的には推奨されません。感染症のリスクや衛生面の問題を考慮すると、公共施設での入浴は慎重に判断することが必要です。
どうしても温泉を利用したい場合は、月経カップやタンポンを適切に使用し、周囲と自分の身体への配慮を忘れないことが重要です。
事前の準備と体調管理を徹底し、安全で快適な入浴を心がけてください。
なお、「産婦人科や婦人科を受診するのには抵抗がある」「受診する時間がない」という方は、まず「スマルナ」にご相談ください。
スマルナなら、オンラインで365日いつでも生理に関する相談ができます。また、医師の診察・ピルの処方もオンラインで受けられます。
ピルの処方が確定後、ご指定の住所までお薬をお届けする際には、中身が分からないようにプライバシーに配慮された梱包で郵送されます。相談は無料ですので生理に関して気になっている方は、お気軽にご相談ください。
参考資料
腟感染症の概要 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
旅館・公衆浴場等におけるレジオネラ症防止対策についてのホームページ
異常子宮出血(AUB) - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
腟感染症の概要 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
競技会があるのに月経になりそうで心配です。どうしたらよいですか? – 日本産婦人科医会
生理中(月経中)はお風呂に入ってよいのでしょうか? – 日本産婦人科医会
ピルの入手方法はどうしたらよいですか? – 日本産婦人科医会