「ピルを飲んでいるけど、乳がんのリスクは大丈夫?」そんな不安を感じたことはありませんか。
ピルは生理のつらさや避妊のために役立つ一方で、副作用やリスクなど健康への影響も気になりますよね。
ガイドラインでは、ピルの服用中に乳がんリスクがわずかに高まる可能性が示されています。ただし、上昇するリスクの程度はごくわずかであり、服用中止後は徐々に低下するとされています。(OC・LEPガイドライン2020年度版)
本記事では、ピルと乳がんリスクの関係や検診の重要性、医師相談が必要なケースなどを分かりやすく整理しました。
ピルの服用を安心して続けるために、ぜひ参考にしてください。
関連:低用量ピルの効果と副作用|避妊・生理痛・PMSへの影響を詳しく解説

乳がんの早期発見には検診が重要
乳がんは女性がかかるがんの中で最も頻度の高いがんです。
厚生労働省は40歳以上の女性を対象に2年に1回の乳がん検診(問診・マンモグラフィなど)を推奨しています。
マンモグラフィは乳房専用のレントゲン撮影で、小さなしこりや石灰化(乳腺の中にカルシウムが沈着した状態)など早期の病変を見つけることができます。
石灰化の多くは良性と考えられていますが、なかには注意が必要なものが含まれる場合もあります。特に微細な石灰化はマンモグラフィで見つけやすいとされています。
低用量ピルを服用している方もそうでない方も、早期発見・治療のためには、年齢や状況に応じた乳がん検診を受けることが重要です。
ピルの服用で乳がんリスクはわずかに上昇する可能性がある
ここでは、「OC・LEPガイドライン2020年度版」に基づいて、ピルと乳がんリスクの関係について解説します。
ガイドラインによれば、低用量ピルの服用は「わずかに乳がん発症リスクを増加させる可能性がある」と記載されています。一方でピルの種類や含まれる成分の違いによっては、リスクが増加しない可能性も示されています。
また、乳がんの家族歴の有無によってもリスクの程度は異なります。
乳がんの家族歴がない方
乳がんの家族歴がない方は、念のため1〜6か月ごとの自己検診を行えば、通常は低用量ピル服用に問題はないと考えられています。
40歳以上の方では、2年に1回の定期検診(問診・マンモグラフィ)が推奨されます。
乳がんの家族歴がある方
乳がんの家族歴は、乳がんの発症リスクを高める要因の一つです。
また、乳がんのタイプによっては、低用量ピルの服用でわずかに乳がん発症リスクが増加する可能性があるとされています。
そのため、乳がんの家族歴がある方では、1〜6か月ごとの自己検診や定期的な検診(1年ごとの超音波検査/マンモグラフィ)を行うことが望ましいとされています。こうした検診を定期的に受けていれば、通常は服用に大きな問題はないと考えられています。
ピル服用前に医師相談が必要な人の例
ピルは多くの女性にとって安全に使えるお薬ですが、中には注意が必要な場合もあります。
以下に当てはまる方は、ピルの処方が難しい、または慎重投与となることもありますので、問診では生活習慣や家族歴などを正確に申告してください。
【ピルの処方が難しい・慎重投与となるケース例】
- 家族に乳がんの患者がいる
- 40歳以上の方
- 基準以上の喫煙者の方
家族に乳がんの患者がいる場合
一般的に母親や姉妹など、血縁者に乳がんの既往がある場合は乳がんの発症リスクが高まるとされています。
そのため、乳がんの家族歴がある方では、ピルの服用可否は医師によって慎重に判断されます。
ピルの処方時には、問診などで乳がんの家族歴をチェックする項目が設けられていますので、正確に申告してください。
40歳以上の場合
40歳以上の方では血栓症のリスクが増すため、ピルの処方については慎重に判断されます。
既往歴や体質など、その他の要素によっても処方が可能かどうかは異なるので、詳しくは診察時に医師までご相談ください。
喫煙習慣がある場合
タバコを吸う人は、吸わない人に比べて心筋梗塞や静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高まります。
特に35歳以上で1日15本以上の喫煙をしている場合は、ピルの服用は禁忌とされており、服用することができません。
上記に当てはまらない場合でも、喫煙習慣がある方に対しては医師の管理のもと慎重な投与が必要とされています。
スマルナで医師に相談することも検討する
ピルの服用に不安があるときや、自分がリスクに当てはまるか判断が難しいときは、医師に直接相談することが重要です。
近年では、オンライン診療サービスを活用して医師に相談できる仕組みも整っています。
スマルナは女性特有の身体の悩みに特化したオンライン診療サービスで、スマートフォンから医師に相談し、必要に応じて処方まで受けられるのが特徴です。
通院の手間が省けるだけでなく、対面では聞きにくい内容も相談しやすいというメリットがあります。
特に「40歳を超えていて心配」「家族に乳がんの既往がある」「喫煙習慣がある」など、医師判断が必要なケースでは、こうしたサービスを活用することで早めに専門的な意見を得ることができます。

ピルと乳がんに関するよくある質問
乳がん以外のがんのリスクも上がりますか?
低用量ピルの服用により、リスクがわずかに高まる可能性があるがんと、リスクが下がるがんがあります。
OC・LEPガイドライン2020年度版では、長期間の低用量ピルの服用によって子宮頸がんのリスクがわずかに増加する可能性があるとされています。
関連:ピルで子宮頸がんリスクは上がる?影響の程度と正しい予防法を解説
一方で、子宮体がん(子宮内膜がん)や卵巣がん、大腸がんについては、ピルの服用によりリスクが下がることが示されています。
ピルを服用している方もそうでない方も、がんの予防・早期発見には定期的な検診が重要です。
胸のしこりを見つけたらピルはすぐにやめるべきですか?
自己判断で服用を中止するのではなく、まずは医療機関(乳腺外科など)を受診して検査を受けましょう。
その際はピルを服用中であることを医師にお伝えください。
胸のしこりの多くは良性(乳腺症や線維腺腫など)とされていますが、なかには乳がんが見つかることもあります。
乳がんが疑われる場合は、マンモグラフィや超音波検査、生検などの検査や医師の診察が必要です。万が一乳がんと診断された場合は、禁忌にあたるためピルを服用することはできません。
ピルはホルモンバランスに関わるお薬であり、乳がんは女性ホルモンと深く関わっていることから、服用の中止・再開については医師の指示に従ってください。
まとめ
ピルを服用すると、乳がんのリスクがわずかに上昇する可能性があるとされていますが、その程度はごくわずかであり、服用中止後は徐々に低下すると言われています。
多くの場合、定期的な検診を受けていれば通常はピルの服用に大きな問題はないと考えられています。
家族に乳がんの既往がある場合や、その他のリスク要因がある場合は、医師と十分に話し合い、自分に合った選択をすることが大切です。
年齢や体調に合わせて乳がん検診を継続することで、万が一の変化も早期に発見でき、より安心して服用を続けられます。さらに、早期発見は治療の選択肢を広げることにもつながります。
参考文献・資料
- 「OC・LEPガイドライン 2020年度版」日本産婦人科学会/日本女性医学学会,2020年
- 「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」日本産婦人科学会/日本産婦人科医会,2023年,2025年10月閲覧
- 「乳がん診療ガイドライン2022年度版」一般社団法人日本乳癌学会,2025年10月閲覧
- 「がん検診」厚生労働省,2025年10月閲覧
- がん情報サービス「がん統計情報 乳房」国立研究開発法人国立がん研究センター,2025年10月閲覧

