生理中に「いつもより疲れやすい」「脱力感がある」と感じることはありませんか?
生理中のこうした不調には、原因として鉄不足による「鉄欠乏性貧血」が隠れていることもあります。
貧血は自覚症状がないまま進行することもあるため、日常生活の中で体調の変化に気づき、早めに対処することが大切です。
この記事では、生理と貧血の関係や主な症状、受診の目安、治療法、そして日常でできる予防策について詳しく解説します。

女性の貧血はなぜ起こる?生理との関係性は?
女性の鉄欠乏性貧血の原因は、毎月の生理に伴う出血、鉄分の摂取不足や吸収障害、消化管の出血による鉄喪失まで様々です。
なかでも、生理や不正出血(生理時以外の出血)は鉄分を失う大きな要因のひとつです。
ここでは、生理に関係する貧血として、3つのケースをご紹介します。
- 毎月の生理による鉄分の喪失
- 過多月経や過長月経などの生理の異常
- 生理以外の時期に起こる不正出血
毎月の生理による鉄分の喪失
生理がある女性は、毎月の生理の際に経血とともに鉄分が失われます。
赤血球の中に存在するヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)は鉄を材料に作られるため、鉄不足ではヘモグロビンが作れず、めまいや息切れ、倦怠感などが現れます。
通常、失われた鉄は食事から補う必要がありますが、生理で毎月鉄を失う女性は、必要量が男性より多くなるのが特徴です。
食事だけで十分な鉄を確保できない場合や、胃腸に障害があって鉄の吸収がうまくいかない場合には、より鉄不足が進行しやすくなります。
過多月経や過長月経などの生理の異常
生理の期間や出血量(経血量)には個人差がありますが、正常範囲から外れている場合には貧血につながることもあります。
【過多月経】
1回の生理の総出血量は約20~140mLくらいが正常とされており、これより多い場合は過多月経といわれます。
目安として、ナプキンを2時間ごとに替えてももたないような場合は、過多月経が疑われます。
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【過長月経】
正常な生理の期間は3~7日間とされており、8日以上続く場合は過長月経とされます。
過多月経や過長月経では、体質の他に子宮筋腫や子宮腺筋症などの婦人科系の病気が隠れていることもあります。
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気になる症状は放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。
不正出血
生理以外の時期に出血が見られる「不正出血」は、鉄分の喪失を招き、貧血につながることがあります。
不正出血の原因は様々で、病気や妊娠が関連していることもあるため、やはり早めの婦人科受診が推奨されます。
【不正出血の主な原因】
出血の種類 | 主な原因 |
|---|---|
機能性出血 | 卵胞ホルモンと黄体ホルモンのバランスが崩れることや、血液凝固異常などで起こる出血 |
妊娠に関連する出血 | 妊娠初期の着床出血や流産による出血 |
感染・炎症による出血 | 性感染症などにより子宮や膣内で炎症が起こるケース |
器質的疾患による出血 | 子宮頸がん・子宮体がん・子宮内ポリープ・子宮筋腫など、子宮や内膜の異常によるもの |
貧血ではどんな症状が現れる?
ここでは、鉄欠乏性貧血による主な症状をご紹介します。
疲れやすさやだるさ、動悸など
貧血になると、体内の酸素が不足するため、心臓や肺はより多くの酸素を全身に届けようと働きを強めます。
これらの臓器への負担が高まることで、疲れやすさやだるさ、動悸や息切れなど様々な症状が現れます。
顔色や唇、爪の血色が悪くなる
貧血により血液中の赤血球やヘモグロビンが不足すると、全身の組織に十分な酸素が行き渡らなくなります。
その結果、顔色が青白く見える、唇や爪の赤みが薄くなるなど、血色の変化が現れることがあります。
貧血があっても自覚症状がないこともある
大きな出血などがない限り、鉄欠乏性貧血は通常ゆっくりと進行するとされています。
貧血が徐々に進行した場合や慢性的な貧血では、自覚症状が現れないこともあります。
健康診断などで貧血を指摘されたら、自覚症状がなくても医療機関で詳しく検査を受けることが大切です。
病院を受診するタイミング
貧血の症状が続く、または貧血以外の症状を伴うといった場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
次のようなケースでは、婦人科や内科での詳しい検査を検討してください。
- 不正出血や強い腹痛を伴う
- 生理の出血量が多い、血の塊が出る
- 貧血の症状が頻繁に起きる、または日常生活に支障がある
原因を正確に把握し、適切な治療につなげることが大切です。
不正出血や強い腹痛を伴う
不正出血の原因は、ホルモンバランスの乱れ、子宮・卵巣の病気、妊娠に関連する出血など多岐にわたります。
不正出血があった場合は、出血の量や期間にかかわらず早めの受診が推奨されます。特に、次に当てはまるようなケースではできるだけ早く婦人科を受診しましょう。
- 何回も繰り返し出血している
- だらだらと出血が続く
- 強い腹痛を伴う
- 妊娠の可能性がある
生理のときの出血量が多い・血の塊がある
生理の経血量が多い、経血に血の塊がある、といった場合は、過多月経の可能性もあります。
気になる症状がある場合は、婦人科を受診して、過多月経に当てはまるかどうか、また、当てはまる場合は原因に病気が隠れていないかを確認してもらいましょう。
貧血の症状が頻繁・日常生活に支障がある
生理のたびに貧血症状がある、貧血によって日常生活に支障がある場合も、病院を受診する目安のひとつです。
進行するとさらに症状が重くなってしまう可能性もあるため、早めの受診が重要です。
生理に関係する貧血に対して検討される治療やお薬
続いては、生理に関係する貧血に対して、一般的に検討される治療法をご紹介します。
- 原因となる病気の治療
- ピルの服用
- 経口の鉄剤の服用
なお、実際の治療方針については医師の指示に従ってください。
原因となる病気の治療
過多月経や不正出血に伴う貧血では、次のような病気が関係していることがあります。
【過多月経・不正出血の原因となる病気の例】
- 子宮や卵巣などの病気(ポリープ、子宮筋腫、子宮内膜症、がんなど)
- ホルモンバランスの乱れ
- 血液疾患(血が止まりにくい病気など)
- 感染症
このようなケースでは、原因となる病気に対する治療が優先して行われます。
ピルの服用
過多月経や不正出血に対しては、医師の判断により中用量ピルや低用量ピルが検討されることもあります。
ピルには排卵を抑える作用があり、避妊効果の他にも、次のような効果が期待できるとされています。
【ピルの服用で期待される効果の例】
・過多月経の軽減効果(経血量の減少)
・子宮筋腫がある場合の生理の期間の短縮や、貧血、月経困難症の改善
ピルの効果と副作用については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
経口の鉄剤の服用
鉄不足による鉄欠乏性貧血に対する治療としては、経口の鉄剤(鉄分が含まれた内服薬)の服用が検討されます。
慢性的な貧血で体内の鉄が不足している場合は、食事だけでは鉄分を補うことが難しいため、鉄剤の服用により体内の鉄分の量を回復させることを目的として処方が行われます。
日常生活でできる生理時の貧血予防や対策
生理による貧血を防ぐには、生活習慣の見直しが大切です。特に食事内容は、貧血の予防・改善に直結します。
以下のようなポイントを意識すると良いでしょう。
- 鉄分を多く含む食べ物を積極的に摂取する
- 過度な偏食や極端なダイエットを避ける
毎日の食生活を整えることで、生理による鉄分不足を抑え、貧血を未然に防ぐことができます。
鉄分を多く含む食べ物を摂取する
一般的な貧血予防の対策として、普段から食事によって鉄分をしっかり補うことが大切です。
鉄には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、体内への吸収率に違いがあります。
吸収されやすいヘム鉄は肉や魚に多く含まれており、日常的に摂ることで効率よく鉄分を補給できます。
一方、植物性食品に多い非ヘム鉄は吸収率が低めですが、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ることで吸収が高まります。
鉄分の種類 | 多く含まれる食品 |
|---|---|
ヘム鉄 |
|
非ヘム鉄 |
|
参照:「記事・用語辞典|鉄」健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~,厚生労働省
動物性・植物性の食品をバランスよく組み合わせることが、貧血予防には効果的です。
過度な偏食やダイエットを避ける
極端な糖質制限や置き換え食のみの生活、肉や魚を避けるなどの偏った食事は、鉄不足を招きやすくなります。
主食・主菜・副菜をそろえ、鉄分の摂取をしやすい赤身の肉や魚をバランスよく食事に取り入れましょう。
まとめ
今回の記事では、生理と貧血の関係性について解説してきました。
特に、月経量が多い(過多月経)・生理が長く続く(過長月経)場合は、通常より多くの鉄を失うため、慢性的な鉄欠乏性貧血を引き起こしやすくなります。
日常的に鉄を意識して補うことは大切ですが、貧血の症状が続く、生理のときの出血量が多いと感じる、生活に支障が出るといった場合は、早めに医療機関で原因を確認しましょう。
適切な治療やケアによって、生理に伴う不調を軽減できるケースも多いため、気になる方は一度相談してみてください。
参考文献・資料
- 「OC・LEPガイドライン 2020年度版」日本産婦人科学会/日本女性医学学会,2020年
- 「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」日本産婦人科学会/日本産婦人科医会,2023年
- 「鉄欠乏性貧血」MSDマニュアルプロフェッショナル版
- 「健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 鉄(てつ)」厚生労働省

