を服用される患者さまへ

ファボワールを適正にお使いいただくための情報をお届けいたします。

はじめにお読みください

この薬を服用中に身体の異常に気づいた場合には、すみやかに医師または薬剤師に相談・報告してください。

効能・効果

効能・効果に関する使用上の注意

避妊効果は必ずしも100%とはいえません。
(のみ忘れを含めた一般的な使用における失敗率は9%と報告されています。)

用法・用量

ファボワール錠28

ファボワール錠28を初めて服用する場合は、月経の始まった日から1日1回1錠ずつ毎日ほぼ一定の時刻に数字の順番どおりに28日間連続して服用します。
通常、シート4段目の緑色の錠剤を服用している間に、月経のような出血がおこります。
出血が終わっていても続いていても28錠すべて服用し終わったら続けて新しい錠剤シートを服用し始めます。

用法・用量に関する使用上の注意

※服用開始日が月経第1日目から遅れた場合、服用し始めの最初の1週間は他の避妊法を併用してください。
※のみ忘れた場合は、(28錠製剤の緑色錠を除く)、のみ忘れが1日であれば、翌日までに気付いた時点で直ちにのみ忘れた錠剤を服用し、その日の錠剤も通常どおりに服用してください。すなわち、その日は2錠服用することになります。2日以上連続してのみ忘れがあった場合は服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで再び服用を開始してください。なお、のみ忘れにより妊娠する可能性が高くなりますので、その周期は他の避妊法を使用してください。
※誤って多く服用した場合は医師または薬剤師に相談してください。
※医師の指示なしに、自分の判断で服用を止めないでください。

服用前の注意点

喫煙について

経口避妊薬服用中の喫煙は、静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などの副作用の危険性を高めると報告されています。
この危険性は年齢(35歳以上)および喫煙量(1日15本以上)により増加するといわれています。
したがって、35歳以上の方でこの薬を服用する場合は、禁煙することが必要です。

次の方は服用してはいけません。

  • 以前経口避妊薬を服用して過敏症をおこしたことのある方
  • 乳癌、子宮内膜癌(しきゅうないまくがん)、子宮頸癌(しきゅうけいがん)およびその疑いのある方
  • 原因不明の性器出血のある方
  • 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患にかかっている方、またはこれらの病気にかかったことのある方
  • 35歳以上で1日15本以上たばこを吸う方
  • 閃輝暗点(せんきあんてん)、星型閃光(ほしがたせんこう)などの前兆がみられる片頭痛のある方
  • 肺高血圧症または心房細動のある心臓弁膜症の方、亜急性細菌性心内膜炎にかかったことがある心臓弁膜症の方
  • 血管病変のある糖尿病にかかっている方(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症など)
  • 血栓性素因のある方
  • 抗リン脂質抗体症候群の方
  • 4週間以内に手術を予定している方、手術後2週間以内の方、産後4週間以内の方、および長期間安静状態の方
  • 重症の肝障害のある方
  • 肝腫瘍のある方
  • 脂質代謝異常のある方
  • 高血圧のある方(軽度の高血圧を除く)
  • 耳硬化症(じこうかしょう)の方
  • 妊娠中に黄疸、持続的なかゆみまたは妊娠ヘルペスの症状があらわれたことのある方
  • 妊婦または妊娠している可能性のある方
  • 授乳中の方
  • 骨成長が終了していない可能性がある方

次の方は、処方を受ける前に医師に相談してください。
また、処方を受けた後でも心配になったときは医師または薬剤師に相談してください。

  • 40歳以上の方
  • 子宮筋腫のある方
  • 乳癌にかかったことがある方
  • 乳癌の家族歴(家族に乳癌になった方がいる)または乳房にしこりのある方
  • たばこを吸う方
  • 肥満の方
  • 血栓症の家族歴のある方(家族に血栓症にかかったことがある方がいる)
  • 前兆のない片頭痛の方
  • 心臓弁膜症の方
  • 軽度の高血圧のある方(妊娠中に高血圧が認められた方も含む)
  • 糖尿病またはその疑いのある方
  • ポルフィリン症の方
  • 肝障害のある方
  • 心臓の病気、腎臓の病気にかかっている方、またはこれらの病気にかかったことのある方
  • てんかんのある方
  • テタニーのある方

医師の治療を受けている方の服用について

この薬には併用してはいけない薬や併用を注意すべき薬があります。
他の薬を使用している場合や、新たに使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

授乳期の服用について

授乳中の方は、この薬を服用することはできません。
母乳中に経口避妊薬の成分が検出されることが報告されています。
また、経口避妊薬は母乳の量・質を低下させることがありますので、授乳期間中はこの薬を服用せず、他の避妊法を使用してください。

服用中の注意点

副作用について

頻度は少ないものの生命にかかわる重大な副作用として、
血栓症(血管内に血のかたまりが詰まる病気)を発現する可能性があります。

※血栓症の早期発見のためにも定期的な診察を受けてください。

次のような症状があらわれた場合は、すぐに救急医療機関を受診してください。
  • 突然の足の痛み・腫れ
  • 手足の脱力・まひ
  • 突然の息切れ、押しつぶされるような胸の痛み
  • 激しい頭痛、舌のもつれ・しゃべりにくい
  • 突然の視力障害(見えにくいところがある、視野が狭くなる)  など
次のような症状があらわれた場合は、血栓症の疑いがあります。
症状が軽くてものむのをやめてすぐに医師に相談してください。
  • 足の痛み・腫れ・しびれ・発赤・ほてり
  • 頭痛
  • 吐き気・嘔吐(おうと)  など
次のような状態になった場合、のむのをやめてすぐに医師に相談してください。
  • 体を動かせない、脱水  など

※長時間同じ姿勢でいたり、水分が不足したりすると血栓症が起こりやすくなります。適度に体を動かしたり、こまめに水分をとるようにしましょう。

次の症状がひどい場合や長く続くときは医師に相談・報告してください。

※経血量の変化、乳房痛、吐き気、嘔吐、頭痛、片頭痛、皮膚や白目が黄色くなる、動悸など

以下の症状は服用を始めて1~2周期中によくあらわれますが、
通常はのみ続ける事によって見られなくなります。

※しかし、ひどい場合や長く続く場合には、すみやかに医師または薬剤師にご相談ください。

  • 軽度の吐き気
  • 頭痛
  • 乳房の張り
  • 周期中におこる軽度の出血

定期的な検診

外国での疫学調査の結果、血栓症や乳癌、子宮頸癌の発生する可能性が高くなるとの報告があります。
安全に服用するためには検診がとても大切です。
この薬を長期間服用する場合には、問診と検診(血圧測定、臨床検査、乳房・腹部の検査)を6ヵ月ごとに、子宮頸部の細胞学的診断を1年に1回、子宮・卵巣を中心とした骨盤内臓器の検査を1年に1回以上受けるようにしてください。
また、糖尿病またはその疑いのある方は、医師に相談し定期的に血糖値などの検査を受けるようにしてください。

乳癌の自己検診

乳癌を早期発見するためには自己検診が大切です。
検査方法は医師の指導をあおいでください。
乳房のしこりなどに気がついた場合は医師に相談してください。

正しい服用方法

のみ忘れにより妊娠する可能性が高くなります。
指示された服用方法を守ることが大切です。

のみ忘れた場合

万一のみ忘れがあった場合(ファボワール錠28の緑色の錠剤を除く)

のみ忘れが1日の場合

気付いた時点でのみ忘れた1錠を直ちに服用し、その日の錠剤も通常どおりに服用してください。
すなわち、その日は2錠服用することになります。

2日以上連続してのみ忘れた場合

服用を中止し、次の月経を待って新しいシートで再び服用を開始してください。
なお、のみ忘れにより妊娠する可能性が高くなるので、その周期は他の避妊法を使用してください。

※次の月経を持って新しいシートで服用を開始してください。

28錠の緑色の錠剤をのみ忘れた場合

のみ忘れた錠剤は服用したものとみなし、のみ忘れた錠剤は服用せず、以降は通常通りに服用します。

月経のような出血が来ない場合

月経のような出血が1周期来ないときでも、次の周期は通常どおり服用を続け、医師に出血が来なかったことを報告してください。
2周期続けて出血が来なかったり、説明どおりに服用せずに出血が来ないときは、妊娠の可能性もありますので、直ちに医師の診察を受けてください。
妊娠中の服用に関する安全性は確立されていませんので、妊娠していないことがはっきりするまでこの薬の服用を中止し、他の避妊法を使用してください。

下痢あるいは嘔吐が続く場合

激しい下痢または嘔吐が続く場合はこの薬の成分が吸収されにくくなり、妊娠する可能性が高くなりますので、他の避妊法を併用し、
医師または薬剤師に相談・報告してください。

他の薬などを使用している場合

経口避妊薬を服用する前から次のような薬を使用している場合、または経口避妊薬を服用しているときに他の薬を使用する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

※ただし、塗り薬、目薬などは心配ありません。

  • 副腎皮質ホルモン(プレゾニゾロンなど):副腎皮質ホルモン剤
  • 三環系抗うつ剤(イミプラミンなど)、モダフィニル:精神神経用剤
  • セレギリン塩酸塩:抗パーキンソン剤
  • シクロスポリン:免疫抑制剤
  • オメプラゾール:消化管潰瘍用剤
  • テオフィリン:気管支拡張剤
  • リファンピシン:抗結核剤
  • バルビツール酸系製剤(フェノバルビタールなど)、ヒダントイン系製剤(フェニトインナトリウムなど)、カルバマゼピン、トピラマート、ラモトリギン:抗てんかん剤
  • ボセンタン:肺高血圧症治療剤
  • テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンなど)、ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど):抗生物質
  • テルビナフィン塩酸塩、フルコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール:抗真菌剤
  • Gn-RH誘導体(ブセレリン酢酸塩など):ホルモン剤
  • 血糖降下剤(インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤、スルフォンアミド系製剤、ビグアナイド系製剤など):糖尿病治療剤
  • モルヒネ:疼痛治療剤
  • サリチル酸、アセトアミノフェン:解熱消炎鎮痛剤
  • アスナプレビル、グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル:抗ウイルス剤
  • HIVプロテアーゼ阻害剤(ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル(リトナビル併用時)、ロピナビル・リトナビル配合剤):HIV感染症治療剤
  • 非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(ネビラピン、エファビレンツ、エトラビリン):HIV感染症治療剤

経口避妊薬を服用する前から次の食品を摂取している場合、または経口避妊薬を服用しているときに次の食品を摂取する場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

※セイヨウオトギリソウ
ヨーロッパおよびアジアが原産のオトギリソウ科の多年草で山野に自生。
エキスはドイツでは抗うつ薬として使用され、日本では、健康補助食品として販売されています。

臨床検査を受ける場合

ある種の検査値は経口避妊薬に影響されることがありますので、血液検査などを受けるときは医師に経口避妊薬を服用していることを申し出てください。

妊娠を希望する場合

経口避妊薬の使用を中止すれば妊娠は可能ですが、月経周期が回復するまで避妊することが望まれます。
経口避妊薬で長期間避妊を続けた場合は、月経が回復するまでに少し時間がかかることがありますが、その場合でも通常は3~4ヵ月で回復します。
なお、3~4ヵ月経過しても正常な月経が回復しない場合には医師に相談してください。

血栓症、癌に関する疫学調査

  • 外国の疫学調査の結果、経口避妊薬を服用している女性の静脈血栓症リスクは、服用していない女性に比し3.25~4.0倍高くなるとの報告があります。
    また、そのリスクは経口避妊薬を服用し始めた最初の1年間に最も高くなるとの報告があります。
    ≪非服用者での血栓症の発症率は1万人あたり年間1~5人(外国)とされています。≫
    さらに、外国での大規模市販後調査の結果、初めて経口避妊薬の服用を開始した時だけでなく、4週間以上の中断後に服用を再開した時または4週間以上の中断後に別の経口避妊薬へ切り替えた時にも静脈血栓症のリスクが上昇し、そのリスクは服用開始後3ヵ月間が特に高いとの報告があります。
  • 外国の疫学調査の結果、経口避妊薬の服用により乳癌および子宮頸癌になる可能性が高くなるとの報告があります。
  • 外国で、経口避妊薬を2年以上服用した場合、良性肝腫瘍が10万人あたり3.4人発生するとの報告があります。
    また腫瘍の破裂により腹腔内出血を起こす可能性があります。
    一方、悪性肝腫瘍(肝癌)の発生率は極めて低く、100万人あたり1人に満たないとの報告があります。

その他

コンタクトレンズ使用時に、違和感を感じたときは医師または薬剤師に相談・報告してください。

保管上および取扱い上の注意

保管上の注意点

  • 小児の手のとどかないところに保管してください。
  • 直射日光を避け、なるべく湿気のない涼しい所に保管してください。

錠剤の取り出し方

錠剤の入っているシートの凸部を指先で強く押して裏面のアルミ箔を破り、取り出して服用してください。
(誤ってシートのままのみ込んだりすると食道粘膜に突き刺さるなど思わぬ事故につながります)