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ピルは40代になっても服用できる?続けるメリットとリスク

40歳でもピルの服用はできるの?今回はそんな疑問を解決します。
ピルは閉経まで服用可能とされていますが、40歳からのピルの服用は血栓症などのリスクが高くなるため注意が必要です。

今回は40歳から50歳の方のピル服用について、服用継続のための条件・注意点・ピルを飲めない場合の代替療法までご紹介します。

40歳からのピル服用はメリット・リスクを理解した上で医師に相談しましょう。

ピルとホルモン補充療法の違い

頭痛やめまい、ホットフラッシュや動機など、更年期症状などが現れ出す40代。
それらの症状の治療としてホルモン補充療法(HRT)という言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
ホルモン補充療法は女性ホルモンが配合されたお薬を使用しますが、同じく女性ホルモンが配合されている低用量ピルとはどのような違いがあるのでしょうか。
ピルとホルモン補充療法の違いを解説します。

ピル

ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが配合されたお薬です。
ホルモンの配合量によって超低用量ピル(LEP)・低用量ピル(OC)・中用量ピル・アフターピルに分かれ、それぞれ使用目的が異なります。

超低用量ピル…低用量ピルよりも卵胞ホルモンを少なくしたお薬。吐き気などのの副作用が比較的出にくいのが特徴で、月経困難症や子宮内膜症などの治療薬として処方されます。

低用量ピル…1日1錠決まった時間に服用します。適切に服用することで排卵が抑制され、99.7%の避妊効果や、生理不順や月経前症候群(PMS)の改善、肌荒れの改善などの副効用も期待できます。

中用量ピル…低用量ピルよりも卵胞ホルモンを多く配合したお薬で、主に月経困難症や過多月経などの治療薬として処方されます。また旅行や試験日などに合わせて生理日を移動させたいときにも用いられます。

アフターピル…避妊に失敗したときなど、妊娠の可能性がある性交渉後に服用する緊急避妊薬です。性交渉後、72時間以内に服用すれば約84%の避妊効果が期待できます。事後に緊急的に服用するもので、服用後の性交渉に対する避妊効果はありません。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法(HRT)もピルと同じく女性ホルモンを配合したお薬を使う治療法です。
ピルが避妊や月経困難症などに使用されるのに対し、ホルモン補充療法(HRT)は「ほてり」や「のぼせ」などの更年期症状を改善するために用いられます。

更年期症状は卵巣機能が低下し、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることで起こるため、ホルモン補充療法では主に卵胞ホルモンを補充し症状を改善します。
しかし卵胞ホルモンのみの補充では子宮体がんのリスクが高まるため、黄体ホルモンを配合しているお薬もあります。

ホルモン補充療法で用いられるホルモン剤は、避妊効果は期待できません。

ピルは40代になっても服用できる?

ピルは閉経するまで安全に服用できるお薬ですが、40歳を過ぎると処方が難しいことがあります。40歳以上の低用量ピル服用にはどのような注意点やリスクがあるのでしょうか?

医師によっては処方しない場合がある

ピルは初経から閉経まで安全に服用できるお薬です。
しかし年齢があがるにつれて血管年齢も上昇するため「血栓症」のリスクがあがり、40歳以上は一般的に心筋梗塞などの心血管系障害が起こりやすい年代といわれています。
そのため、身体の状態によってはピルの処方が難しいこともあるのです。

一般的に、ピルの服用には血栓症のリスクが伴うため服用していない人よりも2~3倍リスクが上がると言われていますが、ピル服用者の血栓症による死亡率は1/100,000とわずかなものです。

血栓症のリスクは年齢の他にも喫煙や肥満によっても高くなります。40代で喫煙者やBMI数値の高い方は、ピルの処方が難しいと考えたほうがよいでしょう。

一度中断した後の再開は難しい

血栓症が伴うとはいえ、定期的な検査と医師の指導の下であればピルは閉経まで服用できます。
しかし、一度ピルをやめたあと、40歳以降でピルの服用を再開することは難しいと判断されます。

避妊目的でピルの服用を検討しているのであれば、他の避妊法を検討しましょう。

また40代から50代にかけては女性ホルモンが減少し、身体が変化する時期。
40歳以上になると卵巣機能が徐々に衰え、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減っていきます。更年期症状や身体の不調を治療する場合、40代から50代は基本的にホルモン補充療法が検討されます。

医師と相談した上で、治療を行うようにしましょう。

40歳以降もピルの服用を続けるメリットとリスク

血栓症のリスクが伴うとはいえ、ピルは初経から閉経まで服用できるとされています。さまざまなリスクについて説明しましたが、40歳以降もピルの服用を続けるメリットとは何があるのでしょうか?

ピルの服用を続けるメリット

ピルの服用を続ける大きなメリットはやはり避妊効果です。40代以上でも妊娠する可能性は十分にあります。妊娠を希望していない場合、高い避妊効果を持つ低用量ピルの服用を検討する方もいるのではないでしょうか。
またピルには避妊以外にも生理周期の安定や月経困難症・過多月経の改善などの効果があります。

日本の平均閉経年齢は50.5歳ですから、40代でもあと約10年は生理に悩まされることになります。月経困難症や過多月経など症状が重い人はもちろん、頭痛や腹痛など生理にまつわるマイナートラブルもピルの服用によって改善されるので、ピルを服用するメリットは多くあるといえます。

ピルの服用を続けるリスク

ピルには前述したように血栓症のリスクが伴います。また長期服用により、わずかながら子宮頸がんの罹患リスクも上がると言われています。一方、卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響を大きく受ける乳がんのリスクについては多くの研究がされているものの、関連性については専門家でも意見が分かれるようです。

そのためピルを服用するにあたって、医師から定期的な子宮頸がんや乳がんの検診を受けるようにすすめられる場合もあります。一方ピルの服用によって子宮体がん・卵巣がん・大腸がんのリスクは下がると言われています。

40代でのピルの服用はこれらのデメリットを考慮した上で、身体へのメリットの方が多い場合に処方が検討されます。

ピルの代替療法の例

ピルを継続して服用できなくなると、避妊への不安や生理痛など治まっていた症状が戻ってくるのではないかと心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
ピルの服用が難しくなった場合の避妊法や、生理に伴うつらい症状の治療法についてご紹介します。

避妊目的で服用している場合

低用量ピル以外にもさまざまな避妊法があります。避妊方法や特徴が異なりますので、自分にあった避妊法を探してみてくださいね。

避妊法

避妊失敗率

特 徴

避妊手術

0.5%

精管または卵管を塞ぐ外科的手術。
ほぼ100%の避妊効果が得られる。

ピル / 経口避妊薬(OC)

0.3~9%

毎日決まった時間に服用することが重要。
正確に服用することで99.7%の避妊効果が得られる。

子宮内避妊器具(IUD)

0.6~0.8%

子宮内に装着することで受精卵の着床を妨げ妊娠を防ぐ。
IUDに黄体ホルモンが付加されているのがIUS。

子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)

0.2%

コンドーム

2~8%

装着することで妊娠を防ぐ。
装着ミスや破損などによる失敗がある。

参考:あすか製薬避妊法別メリット/デメリット/失敗率

一覧の避妊失敗率は理想的な使用を前提にまとめたものです。コンドームには避妊以外にも性感染症を防げることや、ドラッグストアやコンビニで気軽に購入できるというメリットがあります。

IUDやIUSは低用量ピルも高い避妊効果があり、一度装着すると3〜5年はつけたまま過ごすことができます。IUDにはプラスチックタイプと、より避妊効果の高い銅付加タイプがありますが、表内の避妊失敗率はIUD(銅付加タイプ)を参考にしたものです。
※装着後は、IUDやIUSの状態を確認するため医師の指示に従い受診しましょう。

生理関連のトラブルを改善する目的で服用している場合

過多月経や月経困難症でピルを服用している場合は、ピル以外にもさまざまな治療法があります。
漢方治療や、ピルとは異なるホルモン剤の治療、IUSの装着など、症状やライフスタイルに合わせて検討できます。治療目的であれば保険適用内で処方・施術が可能です。

そのほかエストロゲンに似た働きをするサプリメント(エクオール)を使う方法もあります。

40代からのピル服用は医師とよく相談を

ピルは初経から閉経まで服用できるお薬ですが、血栓症のリスクが伴うた40歳以上の方には検査を経て慎重に投与されます。ピルを飲めなくなることを不安に感じる方もいらっしゃいますが、避妊法や月経にまつわる辛い症状を改善する代替方法があるので安心してください。

40歳から50歳にかけて変化を感じやすい年齢ですが、ピルやホルモン補充療法などを利用して美と健康を手に入れましょう。

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