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花粉症のおくすりとピルは併用して大丈夫?

年々、患者が増えている花粉症。2019年の全国調査では、花粉症の有病率は42.5%であることが分かりました。

低用量ピルを服用中の方にも「花粉症がつらい」「ピルと花粉症のお薬は併用できるの?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

そこで、今回はピルと花粉症のお薬の併用について解説します。花粉症対策は早めに始めると効果的だとされているので、悩んでいる方はぜひご覧ください。

花粉症のお薬とピルの飲み合わせは「コレ」を確認!

「花粉症のお薬」にはさまざまな種類があります。飲み薬もあれば、目薬や鼻から投与する点鼻薬もあります。また、お薬に含まれている成分もさまざまです。

自分が使用したい花粉症のお薬と低用量ピルが併用できるかどうかは、花粉症のお薬と、ピルに添付されているそれぞれの「添付文書」で確認しましょう。
ただ、添付文書の記載内容は少し難しいこともあるかもしれません。その場合は医師や薬剤師に「この薬とピルを併用してもいいですか?」と確認すると、大丈夫かどうか教えてくれるのでおすすめです。

添付文書のどこを見たらいいの?

添付文書は文字がいっぱいで、どこを見ればいいのか分かりにくいこともあるかもしれません。

そんなときは、ピルと花粉症の飲み合わせを「相互作用」という項目でチェックしましょう。
相互作用には、一緒に飲むことができないお薬(併用禁忌)と飲み合わせに注意が必要なお薬の成分(併用注意)などが記載されています。

使用したい花粉症のお薬の添付文書に成分の記載がなければ、併用しても問題ありません。

それでは、スマルナで取り扱っている低用量ピル「トリキュラー」を例に挙げましょう。

▼トリキュラーの併用注意(併用に注意すること)の成分(一部抜粋)。

参考:トリキュラー錠21/トリキュラー錠28共通添付文書(バイエル ファーマ ナビ)

トリキュラーの併用注意をチェックすると、花粉症のお薬に用いられるステロイド成分が併用注意であることが分かります。ピルとステロイド剤を併用すると、ステロイド剤の作用が強くなるおそれがあるためです。

花粉症のお薬には、ステロイド剤が配合されていることがあります。 併用しても大丈夫なお薬を見分けることが難しいと感じる場合は、花粉症のお薬を処方してもらう病院や、購入する薬局で、ピルの服用中であることを伝えて相談してみてください。

花粉症はどうしてなるの?メカニズムを知ろう

花粉症は、鼻や目から入ってきた花粉を身体が「異物だ!」とみなすことで起こります。身体が花粉を異物と判断すると、体内では異物に対抗するための「抗体(IgE抗体)」がつくられます。
IgE抗体は花粉に接触するたびにつくられ、蓄積量が一定のレベルに達すると、体内から異物を取り除こうとする反応が起きます。これがアレルギー反応です。

鼻から花粉が入ってアレルギー反応を起こすと、くしゃみや鼻みず、鼻づまりといった症状があらわれます。目の表面を覆う結膜(けつまく)でアレルギー反応が起こると、まぶたのかゆみやなみだ目といった症状があらわれるのです。

IgE抗体の蓄積量が一定のレベルに達すると「去年までは平気だったのに、今年から花粉症になった」ということが起こります。今は花粉症じゃないから大丈夫という人も、この抗体の量が増えると発症する可能性があります。

花粉症対策は早めに始めよう

花粉症のお薬を用いることで、約5~6割の人は症状がほとんど出ずに、生活の質を保ったままで花粉症シーズンを過ごせます。
毎年、激しい症状がみられる人には初期療法が有効です。

初期療法では、花粉が飛び始めたタイミング、または症状が少しでもあらわれた時点で花粉症の薬を使用します。早めにお薬を飲み始めることで、重症化を抑えることが可能です。

初期療法で推奨されている花粉症のお薬

初期療法では、第2世代抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、遊離抑制薬のいずれかの使用が推奨されています。症状の種類や重さによって適したお薬が異なるため、いつから始めるか、どのお薬を使用するかは、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。

【第2世代抗ヒスタミン薬】 くしゃみや鼻みずが主な症状の場合に用いられます。効果があらわれるまで数日程度と、ほかのお薬と比べて即効性があり、効き目が持続します。第2世代は、第1世代の抗ヒスタミン薬と比べて眠気などの副作用が軽減されているのも特徴です。

例:ザジテン、エバステル、アレグラなど。市販薬ではアレグラFXやアレジオン20など。

【抗ロイコトリエン薬】 鼻づまりが主な症状の場合によく用いられるお薬です。鼻粘膜の血管を拡張させる作用があり、鼻づまりの原因となる鼻粘膜の腫れを改善します。鼻みずやくしゃみの改善にも効果的です。眠くなる成分は含まれていません。

例:オノン、シングレア、キプレスなど。

【遊離抑制(ゆうりよくせい)薬】 くしゃみ・鼻みずが主な症状の場合によく使用されます。充分な効果が出るまでには、1~2週間程度の日数がかかります。副作用が少ないことも特徴です。

例:インタール(点鼻薬)、リザベン、ソルファなど。

花粉症のお薬とピルの併用は早めにチェックしよう!

花粉症の重症化を防ぐには、早めに花粉症のお薬を使用する初期療法が効果的です。
ただし、低用量ピルには併用ができなかったり、併用に注意が必要なお薬があるため、花粉症のお薬を飲む前には添付文書を確認するか、医師や薬剤師に相談しましょう。

病院で花粉症のお薬を処方してもらう場合は、ピルを服用中であることを医師にお伝えください。

お薬を正しく活用して、花粉症シーズンを乗り切りましょう。

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