低用量ピルの副作用として一番多いのは、不正出血といわれています。
低用量ピルの飲み始めの時期に起こる不正出血は、3か月程度の内服継続でおさまっていくことが多いですが、中には注意が必要な症状もあります。
この記事では、低用量ピルの服用中に不正出血が起きる原因、対処法などを詳しく解説していきます。
ピルの副作用全般について知りたい方は、こちらをご覧ください。

低用量ピル服用中に不正出血が起こる原因
低用量ピルの周期投与(毎月1回生理が起こる服用方法)では、休薬期間や偽薬期間中に出血が起こります。
休薬・偽薬期間以外の時期に出血が起こる「不正出血」では、次のような原因が考えられます。
①飲み始め時期の副作用
低用量ピルの服用開始から1〜3か月の期間は、不正出血が起こりやすい時期です。
低用量ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれており、服用を開始すると体内のホルモンバランスが変化します。この変化により、子宮内膜が剥がれやすくなり、不正出血が生じることがあります。
実際に、低用量ピルを服用する女性の約20%が不正出血を経験しており、一般的な副作用の1つと言えます。
この時期の不正出血は一時的なものであり、服用を続けることで自然に落ち着いていくことが多いとされています。
少量の出血であれば、過度に心配する必要はありません。
②低用量ピルの飲み忘れ
低用量ピルは、毎日1錠を決まった時間に飲むお薬です。
低用量ピルを飲み忘れてしまうと、体内のホルモン量が低下してしまうことで出血が起こる可能性があります。
これは休薬・偽薬期間に起こる生理と同じ仕組みによる出血ですが、通常の出血時期とは異なるため「不正出血」となります。
また、低用量ピルの飲み忘れにより避妊効果が下がってしまうことも懸念されます。
避妊効果を正しく得るため、そして飲み忘れによる不正出血を防ぐためにも、毎日規則正しく服用するようにしましょう。服用時間のずれは2〜3時間程度に抑えていただくと安心です。
③低用量ピルの服用以外が原因の出血
低用量ピル服用中にみられる不正出血には、妊娠、性感染症、子宮頸がん、ポリープなど、なんらかの原因が隠れている可能性もあります。
服用開始から4か月以降も不正出血が続く場合や、出血量が多い、期間が長い、腹痛や貧血など他の症状を伴うといった場合は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。
低用量ピル服用中の不正出血はいつまで続く?持続期間
続いて、低用量ピルの服用中に起こる不正出血の時期や期間についても解説します。
ポイントは、次の3つです。
- 飲み始めから1~3か月の間に起こりやすい
- 出血の持続期間には個人差がある
- 服用を続けることで不正出血がおさまることが多い
低用量ピルの副作用である不正出血は、飲み始めてから1〜3か月の、まだ身体が低用量ピルに慣れていない時期に出やすいとされています。
出血する期間や量には個人差があり、飲み始めの時の生理に引き続き不正出血が起こって、1週間以上続いたという人もいれば、1か月ほどだらだらと少量の出血が続いたという人もいます。
低用量ピル服用中の不正出血には、様子を見ていいケースとすぐに受診した方がいいケースがありますので、対処法についても見ていきましょう。
低用量ピル服用中に不正出血が起きたときの対処法
不正出血がみられる場合でも、ピルを服用し始めてから3か月以内であれば基本的にはそのまま飲み続けても問題ありません。
ピルの種類を変更することで不正出血が治まるケースもあるため、不安な場合は医師に相談しましょう。
ただし、以下のような症状がある場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
- 1か月以上連続して不正出血が続く
- 出血量が増え、生理2日目のような多い出血が続く
- 服用開始から4か月目に入っても出血がおさまらない
- 強い腹痛を伴う
このような場合、妊娠や病気が関与している可能性もあるため、自己判断せずに受診しましょう。
よくある質問
ここでは、低用量ピル服用中の不正出血に関するよくある質問にお答えします。
低用量ピルの服用中に不正出血が起きた。飲み続けてもいいの?
服用開始から1〜3か月以内の不正出血は問題がないことも多く、服用を続けることで出血がおさまることも多いため、そのまま飲み続けて問題ありません。
4シート以降も不正出血がある場合や、1か月以上出血が持続する、腹痛や貧血など他の症状を伴うなどの場合は、早めに医師にご相談ください。
低用量ピルの長期服用で不正出血が起きる原因は?
低用量ピルを長期服用している方でも、ストレスや体調変化などによりホルモンバランスが変化して、不正出血がみられることがあります。
また、妊娠、性感染症、子宮の病気などピル以外に原因があるケースもあります
長期服用していて急に不正出血が起きた場合は、自己判断をせず医師に相談しましょう。
また、低用量ピル服用中は、定期的に子宮頸がん検診を受けることも大切です。
ピル服用中に茶色のおりものが出ます。副作用ですか?
低用量ピル服用中は、ホルモンバランスの乱れで不正出血が起こることがあり、おりものに少量の出血が混ざると茶色く見えることがあります。
ただ、不正出血の原因は、ホルモンバランスの乱れ以外にも腟や外陰部の傷、子宮や卵巣の病気などさまざまです。
生理のように多めの出血になったり、茶色いおりものが長期間続く(1~3シート目:1か月、4シート以上:1週間が目安)、おりもののニオイがおかしい場合は婦人科へ受診していただくと安心です。
まとめ
低用量ピルの副作用の多くは、不正出血も含め、身体がピルに慣れるまでの一時的なものです。
もし副作用が現れた場合は、様子をみながら、無理のない範囲でまずは3か月飲み続けてみてくださいね。
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参考文献
- 「OC・LEPガイドライン 2020年度版」日本産婦人科学会/日本女性医学学会,2020年
- 「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」日本産婦人科学会/日本産婦人科医会,2023年