生理とは、血液と一緒に子宮内膜が排出される現象です。約1ヶ月に1回訪れ、3〜7日間にわたり出血が続きます。
生理前や生理中は、腹痛や腰痛、気分の変化など、女性にとって大きな負担となることがあります。そのため、男性が生理についての知識を持つことは、女性の気持ちや体調を理解し、より良いコミュニケーションを築くためにも重要です。
当記事では、主に以下のことを解説します。
- 男性にも分かりやすい生理の基本知識
- 男性でもできる生理中の女性へのサポート方法
- 生理に関する一般的な誤解
最後まで読んでいただくことで、生理の基本知識やサポート方法が分かり、思いやりを持った対応ができるようになるでしょう。
なぜ、男性でも女性の生理を理解する必要があるのか
男性が女性の生理を理解することは、家庭や職場での良好な関係構築に重要です。生理は、腹痛や腰痛などの身体の不調に加え、感情の不安定さを伴うことがあります。
生理の知識が全くない場合、配慮ができず、誤解や喧嘩の原因になることも考えられます。
生理の基本を知り、女性の身体の変化を理解することが、思いやりのある行動につながると言えるでしょう。
男性が生理を理解することで得られるメリット
男性が生理を理解する大きなメリットは、女性が感じている負担や不安に寄り添えるようになることです。
日本では、労働基準法に基づき、「生理休暇」が設けられています。生理休暇は、生理に伴う症状が重く仕事が困難な場合、女性が休暇を申請できる制度です。
生理休暇の申請を受けた企業は、休暇を与えることが義務づけられています。
しかし実際の取得率は1~3%程度、中には、男性の同僚や上司に相談しづらいと感じる女性もいます。男性が生理について理解を深め支援することは、女性にとってより良い職場環境になります。
家庭でも同様に、男性が生理の知識を持つことで、パートナーや娘への配慮ができるようになるでしょう。
生理の基本知識を男性にも分かりやすく解説
生理の基本知識は以下の3つです。
- そもそも生理とは
- 生理周期の仕組み
- 初潮から閉経までの流れ
男性が生理の仕組みを理解することで、女性の体調や感情の変化に共感し、サポートしやすくなります。
ここでは、男性に向けて生理の基本知識を分かりやすく解説します。最後まで読んでいただくことで、生理の基本的な情報が分かり、女性の身体を知るきっかけとなるでしょう。
そもそも生理とは
生理とは、子宮内膜が剥がれ落ち、血液と共に体外に排出される現象です。初潮と呼ばれる最初の生理は思春期に始まり、閉経を迎えるまで続きます。
生理期間中は、多くの女性に腹痛や腰痛、頭痛などの身体的不調が現れることが特徴です。また、ホルモンバランスの変化により、イライラや落ち込み、不安感などが起きる場合もあります。
生理周期の仕組み
生理周期は以下の4つが挙げられます。
- 卵胞期
- 排卵期
- 黄体期
- 月経期
生理周期は、生理が始まった日を1日目と数え、次の生理が始まる前日までの期間を指します。卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの期間に分けられ、各周期で異なる変化が起こります。
※月経:生理の医学用語。
また、生理周期は通常25日〜38日間が正常とされており、個人差があることが特徴です。
ここからは、生理周期中に体内で起こっていることについて詳しく解説します。
卵胞期
卵胞期は、生理の出血が始まった日からスタートします。卵巣内で複数の卵胞が成長をはじめ、卵胞期の後半になるとそのうちの1つのみが成長を続けて成熟卵胞となります。
卵胞の成長に伴い、エストロゲン(女性ホルモンの一種)の分泌量が増加し、子宮内膜が厚くなっていきます。卵胞期の期間は個人差がありますが、通常13〜14日程度です。
排卵期
排卵期に入ると、成熟した卵胞から成熟した卵子が放出されます。放出された卵子は、卵管を通りながら子宮内膜に向かいます。
卵子が受精できる期間は、排卵後の最大12時間程度です。精子は体内で3〜5日間生存できつため、排卵の5日前から1日後は妊娠の可能性が最も高い期間となります。
また、一部の女性は排卵の前後に「排卵痛中間痛」と呼ばれる下腹部の痛みを感じることがあります。
黄体期
黄体期は、排卵が終わった後から次の生理が始まるまでの約14日間のことです。黄体期では、卵胞が黄体に変化し、プロゲステロン(女性ホルモンの一種)を多く分泌します。
プロゲステロンの作用で子宮内膜がさらに厚くなり、受精卵が着床しやすい環境が整えられます。また、子宮頸部の粘液が変化し、細菌や新たな精子の侵入を防ぐことも役割の一つです。
月経期
受精が起こらなかった場合や、受精卵が着床しなかった場合、つまり、妊娠しなかった場合プロゲステロンとエストロゲンの分泌が低下することで子宮内膜が剥がれ落ち、生理が始まります。
月経期は通常3〜7日間続き、腹痛や頭痛、倦怠感などの身体的症状を伴うことがあります。
初潮から閉経までの流れ
女性の生理は、思春期の初潮から始まり、平均50歳ころの閉経によって終わりを迎えます。
初潮の平均年齢は12歳です。個人差があるため、12歳より早い人や高校生になってから生理が始まる人もいます。
初経から数年たち、女性として「成熟期」を迎えると、生理周期は安定し、妊娠・出産を考える時期になります。
成熟期を過ぎ40代後半になると、卵巣の機能が衰え始め、女性ホルモンの分泌が徐々に減少します。いわゆる「更年期」と呼ばれる時期です。生理の間隔が不規則になったり、疲労感や不眠などの症状が現れたりすることが特徴です。
12ヶ月以上生理がない場合、閉経と診断されます。日本の女性の閉経年齢は、平均49.5歳、中央値は50.5歳です。
男性でも分かる生理中の身体的・精神的変化
生理は、女性の身体だけでなく心にも大きな変化をもたらします。男性が生理による変化を理解することは、女性への思いやりを深め、家庭や職場での円滑な関係を築くために重要です。
ここでは、以下の2つのことについて解説します。
- 月経前症候群(PMS)の症状と影響
- 生理中の気分の変動
最後まで読んでいただくことで、生理中に現れる症状が分かり、女性が感じる辛さに寄り添えるようになるでしょう。
月経前症候群(PMS)の症状と影響
月経前症候群(PMS)とは、生理が始まる3〜10日前に現れる身体的・精神的な不調を指します。症状は、生理が始まると軽減または消失することが特徴です。
PMSの原因は明らかにされていませんが、女性ホルモンの変動によって起こると考えられています。
PMSの代表的な症状は以下の通りです。
- 腹痛
- 頭痛
- むくみ
- 腹部・乳房の張り
- 眠気・倦怠感
- イライラ
- 不安感
- めまい
症状の程度には個人差があるため、必ずしも全ての女性が同じ辛さを経験するわけではありません。しかし、自宅から出られないほどの強い痛みに襲われたり、感情のコントロールができなくなったりするなど、重い症状が現れる女性がいるのも事実です。
精神症状が強く現れるケースでは、「月経前不快気分障害(PMDD)」と診断される場合もあります。
生理中の気分の変動
生理開始後に、PMSの症状が続く女性もいます。イライラや抑うつなどの精神的な症状が現れると、女性自身でコントロールできなくなる場合も少なくありません。
また、生理中は気分の変動だけでなく、腹痛や腰痛、吐き気など、さまざまな症状が伴うケースもあります。
男性は生理中の症状を理解し、女性に思いやりを持つことが重要です。女性がリラックスできる環境を整えることで、負担の軽減につながります。
男性が知っておくべき生理の痛みの実態
ここからは、男性が知っておくべき生理の痛みについて解説します。
- 生理痛|男性に例えるとどのような痛みか?
- 生理痛以外の症状
最後まで読んでいただくことで、生理の辛い症状が分かり、女性の体調の変化に気づけるようになるでしょう。
生理痛|男性に例えるとどのような痛みか?
生理痛を男性に分かりやすく例えると、鋭い痛みや締めつけられるような痛みです。胃腸炎で起こる下腹部痛にも似ています。生理痛は持続的に続く場合もあれば、消失したり発生したりを繰り返す場合もあります。
生理痛の程度は人によってさまざまです。歳を重ねるにつれて痛みが強まる、または弱まるケースもあります。
また、痛みは腹部だけでなく腰や脚に広がることがあるのも特徴です。仕事や学校に行けないほどの生理痛を経験する女性もいます。
生理痛以外の症状
女性が経験する生理痛以外の症状として以下が挙げられます。
- 腹部の膨満感
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- 疲労感
- 食欲不振
- イライラ
- 下痢
日常生活に支障をきたすほどの症状がみられる場合は、月経困難症と診断されることがあります。
パートナーが生理の辛い症状で悩んでいるときは、一緒に婦人科に行くことも一つの選択肢です。
男性でもできる生理中の女性へのサポート方法
男性でもできる生理中の女性へのサポート方法は以下の3つが挙げられます。
- 体調を気遣う声がけの方法
- 外出デートの際のサポート方法
- おうちデートや同棲時のサポート方法
生理中の女性にとって、体調や気分の変化は避けられないものです。男性がサポートすることで、女性の負担軽減につながります。
ここでは、生理中の女性へのサポート方法を解説します。最後まで読んでいただくことで、パートナーが生理になった際の対応が分かり、戸惑うことがなくなるでしょう。
体調を気遣う声がけの方法
生理中の女性へは、無理をさせないことを基本に、相手の気持ちに寄り添う言葉を選ぶことが重要です。「体調は大丈夫?」「何か手伝えることはある?」など、体調を確認する一言が相手に安心感を与えます。
また、「今日は無理しなくていいからね」「ゆっくり休んで」といった言葉で休息を勧めるのも良いでしょう。
大切なのは、女性の気持ちに寄り添い、サポートを申し出ることです。
外出デートの際のサポート方法
生理痛は断続的に現れることもあるため、デート中に急に体調が悪くなる可能性を想定しておきましょう。
また、ナプキンをこまめに取り換えられるようトイレへ行きやすい配慮をしてください。
とくに生理2日目は最も経血量が多いとされています。長時間同じナプキンをつけていると、痒みやかぶれ、菌が増殖する原因になります。
経血量は個人差があるため、数時間ごとのナプキン交換が必要となります。トイレ休憩を適度に挟むよう心がけてください。
外出デートは生理中はもちろん、生理中でなくてもでは、女性の体調を確認しながら無理のないスケジュールを組むことが基本です。女性が「休憩したい」と言った場合には、快く応じましょう。急な予定のキャンセルも、生理が重なったときには理解してあげてください。
おうちデートや同棲時のサポート方法
おうちデートや同棲生活では、女性が快適に過ごせる環境を整えることが最優先です。体を温めるための毛布や飲み物を準備したり、ソファやベッドで安静に過ごせるよう配慮したりしましょう。
また、家事や料理など負担を軽減できる作業を率先して行うのも良いサポートです。生理中はとくに思いやりを持って接し、女性の話に耳を傾けてください。
生理に関する一般的な誤解
生理に関する一般的な誤解は以下の3つが挙げられます。
- 生理中の妊娠可能性についての誤解
- 生理痛は我慢すべきものという誤解
- 生理周期は常に一定であるという誤解
男性は生理を経験することがないため、誤解が生じてしまう場合もあります。
ここでは、生理に関する誤解について分かりやすく解説します。最後まで読んでいただくことで、生理に関する正しい知識が身につき、女性をサポートできるようになるでしょう。
生理中の妊娠可能性についての誤解
生理中の性行為でも妊娠する可能性はあります。排卵のタイミングは、ストレスや生活習慣などの影響で前後する場合があるためです。
精子の寿命は3〜5日間程度とされているため、生理中の性行為でも妊娠の可能性を完全に排除することはできません。
また、生理中は膣膣や子宮内がデリケートな状態になるため、感染症にかかるリスクもあります。したがって、生理中の性行為は避けるほうが安心です。
なお、生理中の性行為については以下の記事を参考にしてください。
生理中の性行為は危険?終わりかけなら大丈夫?妊娠や性感染症のリスクを解説します
生理痛は我慢すべきものという誤解
「生理痛は自然なことだから我慢すべき」という認識は誤りです。生理痛には個人差があり、軽い症状で済む場合もあれば、日常生活に支障をきたすほど重い症状を伴う場合もあります。
強い痛みを感じる場合は、月経困難症や子宮内膜症、子宮筋腫などの病気が隠れている可能性もあります。パートナーの体調変化に気づくためにも、生理痛について理解しておくことが望ましいです。
生理周期は常に一定であるという誤解
生理周期は、突然予定より早まったり遅れたりすることがあるため、一定という概念は当てはまりません。実際20%の女性が不規則な生理周期を経験しています。
生理周期にも個人差があり、正常の範囲は25日〜38日です。しかし、ダイエットによる体重減少や激しい運動などが原因で、生理が止まってしまうケースもあります。
女性に無理を強いず、身体の調子に合わせたサポートをすることが大切です。
女性生理用品の種類と使い方
生理用品には、ナプキンやタンポンをはじめとするさまざまな種類があります。経血量やライフスタイルに合わせて選べるように設計されており、女性が快適に生理期間を過ごすための必需品です。
ここからは、以下の2つについて解説します。
- 生理用品の種類・特徴
- 生理用品にかかる費用
最後まで読んでいただくことで、生理用品の種類や費用が分かり、パートナーに購入を頼まれた場合でも迷うことがなくなるでしょう。
生理用品の種類・特徴
生理用品の種類として以下の5つが挙げられます。
- ナプキン
- タンポン
- 吸水ショーツ
- 月経カップ
ナプキンやタンポンはさまざまな種類がありますが、最大30mlの血液を吸収できることが特徴です。使い捨てで衛生的ですが、定期的に取り換える必要があります。
生理用品はコンビニや薬局で購入可能です。パートナーに生理用品の購入を頼まれた際は、サイズやブランドなどの商品情報を確認することが重要です。
なお、生理用品については以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
生理用品にかかる費用
厚生労働省が3,000人を対象に行った調査では、生理用品にかかる1ヶ月あたりの費用について明らかにされています。新型コロナウイルス発生前では、「300円〜500円未満」と回答した女性が最も多く、全体の28.1%を占めました。
次いで「300円未満」が18.8%であり、半数近い女性が500円未満の費用で収まっていることが分かります。
近年の調査結果でも同様の傾向が見られ、「300円〜500円未満」が26.8%で最多となっており、平均的な出費として定着していると言えます。
参照元:https://www.mhlw.go.jp/content/000919869.pdf
また、1ヶ月あたりの出費を1,000円とし、生理が12歳〜50歳までの38年間続くと仮定した場合、総額は約50万円に達します。
参照元:https://www.jsog.or.jp/citizen/5764/
まとめ
生理は閉経を迎えるまで毎月繰り返される現象ですが、身体的・精神的な負担を伴う時期でもあります。男性が生理の基本的な知識を持つことで、女性の負担を軽減し、より良い関係を築くことが可能です。
また、日本には「生理休暇」という制度があり、職場でも生理への理解を深め、女性が働きやすい環境を作ることが求められています。
生理を日常の一部としてサポートする姿勢が、男女共に心地良い社会を作る第一歩と言えるでしょう。
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参考資料
月経周期 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
月経痛 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS) - 公益社団法人 日本産科婦人科学会
正常な生理(月経)の目安を教えてください! – 日本産婦人科医会