体温を上げる黄体ホルモンが分泌される高温期の基礎体温は、通常よりも0.3℃以上高くなるのが一般的です。基礎体温の上昇は、排卵後に分泌される黄体ホルモンの働きによるものであり、女性の健康や妊娠の準備において重要な指標となります。
基礎体温を記録すると、排卵のタイミングや体のリズムを把握できるだけでなく、健康状態の変化にも気づくことが可能です。
当記事では、主に以下のことを解説します。
- 生理前の高温期は何度になるのか
- 高温期に注意すべき症状
- 高温期を把握するための基礎体温の測り方
最後まで読んでいただくことで、高温期が何度になるか分かり、体調管理や妊活に役立てられるようになるでしょう。
生理前の高温期は何度になる?基礎体温の目安を解説
生理前の高温期は、低温期と比べて0.3℃以上高くなります。排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)には、体温を上げる働きがあるためです。
高温期は、おおよそ14日間続くことが特徴です。ただし、基礎体温は睡眠時間や起床時間、季節の変化といった生活環境によっても変動するため、日々の測定を習慣化することが重要です。
基礎体温を継続的に記録することで、排卵日や排卵の有無を見極めやすくなります。気になる症状があれば、早期に対処することが可能です。
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低温期・高温期の体温変動を生理周期別に解説
生理開始から排卵までは「低温期」と呼ばれ、基礎体温は安定した低い状態が続きます。
そして、排卵が起こると排卵後の卵胞は黄体に変化し、そこから黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、その働きで体温が0.3℃以上上昇し、高温期へ移行します。基礎体温が上がる前の日が排卵日です。
高温期は約14日間持続し、妊娠が成立しなければ体温が下がり、生理が始まります。
なお、生理前の体温変化については以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
高温期に気をつけたい症状は?受診が推奨される3つのケース
高温期に気をつけたい症状は以下の3つが挙げられます。
- 高温期が10日以下と短い場合:黄体機能不全
- 高温期が17日以上続く場合:妊娠の可能性
- 高温期がない場合:無排卵月経
基礎体温の異常がある場合、健康トラブルや妊娠の可能性があります。基礎体温の変化を見逃さず、気になる症状があれば早期に婦人科を受診することが大切です。
ここでは、受診が推奨される高温期の状態について詳しく解説します。最後まで読んでいただくことで、高温期に注意すべき症状が分かり、体の変化に気づきやすくなるでしょう。
高温期が10日以下と短い場合:黄体機能不全
高温期が10日以下の場合、黄体機能不全が疑われます。黄体から分泌されるホルモンが不足することが原因で、子宮内膜が妊娠の準備を整えられない状態になります。
以前は基礎体温や血中プロゲステロン値から診断されていました。しかし、現在ではほとんど行われていません。基礎体温から黄体機能不全が疑われる場合は婦人科を受診することが大切です。
高温期が17日以上続く場合:妊娠の可能性
高温期が17日以上続いている場合、妊娠の可能性があります。排卵後に始まる高温期は、通常14日程度で終了し、生理が始まります。
しかし、妊娠が成立すると、体温は下がらず高温期が維持されることが特徴です。
妊娠の確認には、生理予定日から約1週間後に妊娠検査薬を使用することが推奨されます。陽性反応が出た場合は、早めに婦人科を受診し、妊娠の確定診断を受けましょう。
子宮外妊娠などの異常妊娠が見つかる可能性もあるため、医師の診察を受けることが重要です。
なお、妊娠初期症状として、高温期の持続の他、吐き気や嘔吐、倦怠感などがあらわれる場合もあります。
妊娠した際の症状については以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
もしかして妊娠してる?生理痛と妊娠初期の症状の違いについて紹介
高温期がない場合:無排卵月経
基礎体温を記録しても高温期が確認できない場合、無排卵月経(無排卵性周期症)の可能性があります。無排卵月経では、排卵が起こらず、生理に似た出血が見られることが特徴です。
基礎体温は通常、排卵後に高温期へ移行しますが、無排卵月経の場合は体温が二相性を示さず、低温期が続きます。また、生理周期の乱れの他、経血量や期間にばらつきがあることも症状の一つです。
無排卵月経は思春期や閉経前にしばしばみられることがあり、治療を必要としない場合もありますが、それ以外の年代でみられる場合は不妊の原因になることもあります。そのため、高温期が見られない場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
なお、無排卵月経については以下の記事で詳しく解説しているため、あわせてご確認ください。
病気や不妊の原因に:あなたは大丈夫?意外と多い「無排卵周期症(無排卵月経)」について
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高温期を把握するための基礎体温の測り方
基礎体温は、朝目覚めた直後に測定することが基本です。体を動かすと体温が上がり、正確な値を計測できなくなるため、注意してください。
ベッドの近くに体温計を用意しておき、起き上がる前に測れるようにしておくと良いでしょう。
基礎体温の測定には、小数点以下2桁まで確認できる基礎体温計を使用します。測定は舌の裏側で行い、口を閉じた状態で静かに待ちます。
基礎体温は、できる限り毎日同じ時間に測定することが理想で、基礎体温を測るうえで大切なのは、継続して測り続けることです。例えば1日の測り漏れがあったとしても、継続して測ることで目安が分かります。
また、ピルやホルモン剤を服用していない方は、体調管理の観点から継続して基礎体温を測ることをおすすめします。
また、睡眠不足や性行為など、普段と異なる出来事があった場合はメモしておくことをおすすめします。
基礎体温を測定することで、体のリズムを知り、健康管理や妊娠の参考にできます。高温期や低温期のパターンを見極め、自分の体をより深く理解するために、ぜひ毎日の習慣として取り入れてみてください。
高温期に関する2つのよくある質問
高温期に関するよくある質問は以下の2つが挙げられます。
- 高温期は何度から何度になる?
- 高温期に37度超えることはある?
ここでは、高温期に関するよくある質問に回答します。最後まで読んでいただくことで、高温期の体温についての疑問が解消されるでしょう。
高温期は何度から何度になる?
体温には個人差があるため、高温期は一概に何度から何度になるとは言えません。低温期と比べ、おおよそ0.3℃以上の上昇が目安になります。
毎日基礎体温を記録し、自分自身のリズムを把握することが重要です。
高温期に37度超えることはある?
高温期に体温が37℃を超えるケースもあると考えられます。体温は個人の状態によって異なるためです。
ただし、生理が来ず、高温期が続く場合は、妊娠の可能性もあります。基礎体温の記録を確認し、必要に応じて婦人科へ相談しましょう。
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まとめ
高温期は排卵後に始まり、基礎体温が通常より0.3℃以上上昇する期間です。
基礎体温を毎日記録することで、高温期が短い、長すぎる、または高温期自体が見られないなどの異常を早期に発見できます。
高温期を知り、記録することは、健康管理や妊活に大きく役立ちます。異常を感じた場合は基礎体温表を持参し、婦人科を受診しましょう。
なお、「産婦人科や婦人科を受診するのには抵抗がある」「受診する時間がない」という方は、まず「スマルナ」にご相談ください。
スマルナなら、オンラインで365日いつでも生理に関する相談ができます。また、医師の診察・ピルの処方もオンラインで受けられます。
ピルの処方が確定後、ご指定の住所までお薬をお届けする際には、中身が分からないようにプライバシーに配慮された梱包で郵送されます。相談は無料ですので生理に関して気になっている方は、お気軽にご相談ください。
参考情報
不妊症の概要 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版
排卵があると、なぜ基礎体温が低温期と高温期の二相性を示すのですか? – 日本産婦人科医会
妊娠したと思ったら病院へ行くタイミングはいつ?検査の流れなどを解説|東京・世田谷での出産・分娩なら国立成育医療研究センター 産科